BIRTVの会場を歩いていると、カメラリグの中に見慣れない小さなパーツが組み込まれているのが目に入った。MOFAGE(モーフェージ)のブースである。今回の中心は、ドロップインフィルターアダプター「POCO II」。初代POCOから何が変わったのか、実物を前に担当者へ聞いてみた。

POCO II、進化のポイントは3つ

担当者がPOCO IIについて最初に挙げた変更点は3つ。まず目につくのがEFマウントへの対応だ。従来はPLマウントを中心とした構成だったが、POCO IIではEFレンズを使用できるEFマウントが加わった。シネマレンズだけでなく、EFマウント資産を撮影システムへ組み込みたいユーザーにとって選択肢が広がる。

APO Mini Prime 43mm T2.4のEFマウントとMOFAGE POCO II、ソニー α6700(Eマウント)の組み合わせ

2つ目が、レンズ後部を受け入れるスペースの拡大である。担当者によれば挿入深度は26mmとなり、後玉側が長く張り出したレンズへの対応範囲を広げたという。具体例として、その場で名前が挙がったのがNiSi「ATHENA PRIME」レンズシリーズだった。

左が初代「POCO」、右が小型・軽量化された新型「POCO II」

初代POCOでは組み合わせられなかったATHENAの一部レンズも、POCO IIでは使用できるようになったという。アダプターの進化というとマウントの追加に目が行きがちだが、実際の撮影では「物理的にレンズが入るか」はかなり重要なポイント。この26mmというスペース拡大は、対応レンズを増やすための地味ながら実用的な変更である。

そして3つ目は小型・軽量化だ。担当者は旧モデルとPOCO IIをその場に並べ、「これが古い方、これが新しい方」と比較してくれた。実物を並べると違いが分かりやすい。POCO IIは機能を追加しながら、ボディそのものはコンパクトな方向へまとめられている。

初代POCO(左)とPOCO II(右)を比較。POCO IIでは本体を小型・軽量化している

初代POCOとの互換性も確保

ここで気になったのが、初代POCOとの互換性だった。新型になって全部買い直し、では困る。確認すると、フィルターとカメラマウントは初代とPOCO IIで共通化され、相互に利用できるという。すでにPOCOを運用しているユーザーがPOCO IIへ移行しやすい点は大きい。

そもそもPOCOシリーズのおもしろさは、レンズとカメラの間にドロップインフィルターを組み込めることにある。レンズ前面へフィルターを装着するのではなく、マウントアダプター側でフィルターを交換できるため、レンズ交換を含めた撮影システムとして構成しやすい。今回のPOCO IIでは、その考え方を維持したまま、EFマウント対応、挿入深度26mm、小型・軽量化という方向で実用性を広げてきた。

POCOシリーズ用のドロップインフィルター。初代POCOとPOCO IIで共通して使用できる

さらにBIRTV会場でMOFAGEを追っていると、もうひとつ気になる製品があった。「TALOS Damping Magic Arm」である。これは単にMOFAGEブースの棚に置かれているだけではなく、会場内のさまざまなカメラセットアップに組み込まれていた。

MOFAGE「TALOS Damping Magic Arm」。ダンピング機構により、モニターを取り付けた状態でも角度を調整しやすい

モニターやアクセサリーを固定するマジックアームは撮影現場では珍しくない。しかしTALOSは、さまざまなメーカーの機材と組み合わせることを前提に、リグの中へ自然に入り込むような製品として展開されている。単体で眺めるより、実際のカメラセットアップに組み込まれた状態を見る方が、この製品の狙いは分かりやすかった。

撮影システムの「あと少し」を埋めるMOFAGE

今回MOFAGEを見て印象に残ったのは、大きな機材を前面に押し出すというより、既存の撮影システムの「ここがもう少し便利だったら」という部分を埋める製品づくりである。POCO IIも、単純に初代を小さくしたモデルではない。対応マウントを広げ、レンズ後部のスペースを確保し、それでいて既存のフィルターやカメラマウントとの互換性を残している。

派手な新型カメラが並ぶBIRTVでは、こうした小さなアクセサリーは通り過ぎてしまいそうになる。しかし、実際にリグを組む立場で見ると、この手の製品こそ妙に気になる。POCO IIとTALOSは、カメラそのものではなく、その周囲をどう組み上げるかというMOFAGEらしいアプローチが見えた展示だった。