IBC 2026全体の展示の中でも特に気になっていたのが、非常にコンパクトな新型ネットワークカメラ「Z CAM E1N」だった。ところが、ブースを見渡しても実機が見当たらない。スタッフに声をかけて尋ねてみると、なんとポケットの中からE1Nが出てきた。

IBC 2026のZ CAMブース。E1Nをはじめ、ネットワークを活用した撮影・制作ソリューションを紹介

「そこから出てくるのか」と思わず驚いた。実機を目の前にすると、手のひらに収まりそうなほど小さい。しかし、そのコンパクトなボディにMFTレンズマウントを採用し、ブースでの説明によると4K/60p、HDでは最大120p、10bitに対応する。さらにNDI HX3、IPライブストリーミング、PoE+、SYNCによるマルチカメラ同期にも対応する。

単に小さなカメラを高性能化したというより、「このサイズのカメラをネットワークにつないだら、どこに置いて何が撮れるのか」。ポケットから出てきたE1Nを見ていると、スペック以上にその使い方が気になってきた。

手のひらに収まりそうなサイズのZ CAM E1N。小型ボディながらMFTレンズを交換でき、撮影用途に合わせて画角を選択できる

Z CAMの原点「E1」を現在の制作環境へ

E1Nのベースとなったのは、Z CAM初期の小型カメラ「E1」である。E1は交換式MFTレンズマウントを採用したコンパクトな4Kカメラで、スタッフによれば、発売後もアップグレード版を求める声が寄せられていたという。特に要望が多かったのが10bitへの対応だった。

そこで登場したのがE1Nである。名称の「N」が示すポイントとしてスタッフが強調したのが、ネットワークとの親和性だ。NDI HX3に対応するほか、さまざまなIPライブストリーミング用途を想定する。

レンズマウントにはE1から引き続きMFTを採用する。小型ネットワークカメラというとレンズ一体型を想像しやすいが、E1Nはレンズ交換が可能だ。設置場所や必要な画角、撮影目的に応じてレンズを選択できるため、画角が固定されたネットワークカメラではなく、レンズを含めて撮影システムを構築できる点が興味深い。

E1Nの小ささを生かすうえで重要になるのがPoE+への対応だ。Ethernetケーブル1本でカメラへの給電、制御、映像のストリーミングを行える。

Z CAM E1Nの背面。LAN / PoE+端子やHDMI端子、ディスプレイなどをコンパクトな筐体に搭載する

カメラ本体がいくら小さくても、電源、映像、制御用のケーブルが何本も必要になれば、設置場所には制約が生じる。E1NはEthernetケーブル1本を基本にシステムを構築できるため、本体のコンパクトさを実際の設置自由度につなげやすい。

さらにE1NはSYNCに対応し、複数台のカメラを同期できる。スタッフは、複数のZ CAMをさまざまな場所に配置する用途も紹介していた。1台の小型カメラとして使うだけでなく、複数台を各所に配置してネットワーク経由で運用することで、小型ボディを生かした撮影の可能性がより具体的に見えてくる。