IBC 2026の平和精機工業 / Libecブースで目を引いたのは、100mm三脚システムの新しい組み合わせだった。ヘッド「GH75」と、グランドスプレッダータイプ(カーボンパイプ)の「GS-750QC」である。
三脚や雲台の展示は、一見すると派手な変化が分かりにくい。だが、実機に触れてみると印象は変わる。パンやティルトの滑らかさだけでなく、カメラを載せる、バランスを取る、脚を広げる、ロックするという一連の動作に、現場で使う道具としての工夫が詰まっていた。
今回の展示で見えてきたのは、単に新しい雲台と三脚が登場したという話ではない。大型化するカメラ構成を支えながら、セッティングにかかる時間や身体への負担をどう減らすか。GH75とGS-750QCは、その部分に踏み込んだ100mm三脚システムである。
GH75が狙う100mmヘッドの実用域
GH75は、最大搭載重量17kgの100mmヘッドである。カウンターバランス範囲は5.5~14kg(重心高125mm)で、メーター付き無段階式カウンターバランスを搭載する。ドラグ切替はフリーおよび7段階、ティルト角度は+90°~-70°。100mmクラスの三脚システムとして、シネマカメラからスタジオカメラ寄りの構成までを見据えた仕様となる。
ブースで説明を聞いていて印象に残ったのは、GH75が従来モデルからの単純な延長ではなく、細部を作り直したヘッドとして紹介されていた点である。カウンターバランスメーターの搭載により、セッティング時の状態を目で確認しやすくなった。
大型のカメラ構成では、カウンターバランスの調整が曖昧なままだと、ティルト操作の安心感に直結する。メーターがあることで、調整作業の再現性が高まる。
ノブ類にも変化がある。各部のノブはアルミ製となり、耐久性を高めている。手で触れる部分の質感が変わると、操作時の印象も変わる。現場で何度も締め、何度も緩める部品だけに、こうした部分の作り込みは地味だが効いてくる。
スライドプレートのロック機構も見直された。従来は両手で扱う場面があった操作を、片手で解除しやすい構造へ変更している。カメラを載せ替える瞬間は、片手でカメラやプレートを支えたい場面が多い。そこでロック解除の操作が分かりやすく、力のかけ方が自然であることは、現場では大きな意味を持つ。
想定されるカメラとしては、Blackmagic DesignのURSA Broadcastクラスから、B4レンズを組み合わせた池上通信機やソニーのスタジオカメラまでが挙げられていた。小型プロンプターを組み合わせる運用も視野に入るが、より大きなプロンプターやボックスレンズを組み合わせる場合は、150mmクラスの上位システムが選択肢になる。
GH75と組み合わせられていたGS-750QCは、カーボンパイプ仕様のグランドスプレッダータイプ三脚システムである。構成はGH75、QL60C、SP-2B、RC-70。最大搭載重量は17kgで、高さは63~175.5cm、重量は7.9kgとなる。
GH75とGS-750QCの本質は、スペック上の最大搭載重量だけでは語り切れない部分にある。17kgまで載るという数字は重要だが、それ以上に、重いカメラ構成を扱うときに、どれだけ迷わずセットアップできるかが効いてくる。カウンターバランスメーター、片手で扱いやすいプレートロック、アルミ製ノブ、クイックロック脚。どれも単独では小さな改良に見えるが、現場の手順全体で見ると意味がつながってくる。
カメラやレンズが注目を集める展示会の中で、三脚システムはどうしても脇役に見えやすい。しかし、カメラが重くなり、構成が複雑になり、現場の移動が増えるほど、支える側の道具が撮影のリズムを左右する。GH75とGS-750QCは、その当たり前を改めて思い出させる展示だった。
平和精機工業 / Libecブースを見終えたあと、100mm三脚というカテゴリーが少し違って見えた。雲台と脚は、ただカメラを載せるための機材ではない。撮影者の手順を整理し、重い機材を扱う不安を減らし、現場の動きを滑らかにするための道具である。GH75とGS-750QCは、その方向へ丁寧に踏み込んだシステムに見えた。