IBC 2026のPortkeysブースで最初に目に留まったのが、「LH5P III」だった。カメラの上に載せるコンパクトなオンカメラモニターでありながら、5.7インチディスプレイ、最大輝度2,200nit、カメラ制御機能まで備えるモデルである。
ただし、今回実機を見て興味深かったのは、単純な高輝度化だけではなかった。縦位置撮影を意識した取り付け方法、UI、ケーブル、給電方法など、モニターを撮影現場でどう使うかという部分まで細かく考えられていた。
さらにブースを見ていくと、「BM5V WR」、21.5インチのディレクターズモニター「MT22DS II」、新型EVF「LEYE IV」へと展示が続く。カメラ上で映像を確認するオンカメラモニターから、複数カメラの映像をまとめて見るディレクターズモニター、そして撮影者が直接のぞくEVFまで、Portkeysが考えるモニタリング環境を順番にたどれる展示だった。

5.7インチ、2,200nitの「LH5P III」。縦位置撮影まで考えたオンカメラモニター
LH5P IIIは、5.7インチ、解像度2160×1080のタッチディスプレイを採用したオンカメラモニターである。最大輝度は2,200nit、コントラスト比は1400:1で、10bitハードウェア処理に対応する。筐体にはアルミニウム合金を採用し、重量は235g。屋外など明るい環境での視認性を確保しながら、カメラ上での取り回しも意識した設計となっている。


実機を操作してみると、画面の明るさだけでなくUIも重要なポイントになっていた。側面にはファンクションキーが用意され、必要な機能を呼び出しやすい。モニターは撮影中に何度も操作する機材だけに、画質や輝度と同じくらい、必要な機能へどのようにアクセスできるかが使い勝手を左右する。
さらに目に留まったのが、縦位置撮影への対応だ。本体には縦位置で取り付けるためのマウントポイントが用意され、カメラを縦位置にした状態でもモニターを自然な向きで配置できる。縦位置で使用する際には、UIも縦表示に対応する。
SNS向けの縦動画をカメラで撮影する機会が増えた現在、カメラを90°回転させるだけでは撮影環境は完成しない。モニターの取り付け位置や画面表示まで縦位置に合わせられることは、実際の撮影を考えると分かりやすいメリットである。

接続面ではHDMI入力とHDMI出力を各1系統備え、最大DCI 4K/60pの入力に対応する。カメラ制御は有線・無線の両方に対応し、取材時にはカメラ制御と映像伝送をまとめた2-in-1ケーブルによる運用も紹介されていた。外部給電用としてUSB Type-C PD入力も備える。


LH5P IIIの隣には「BM5V WR」も展示されていた。こちらも5.7インチ、最大輝度2,200nitの高輝度モニターで、3G-SDIとHDMIの入出力に対応するモデルである。LH5P IIIがHDMI中心のオンカメラ運用を意識したモデルであるのに対し、BM5V WRはSDIを含む現場運用まで視野に入れた構成となる。

BM5V WRではCINENORM OSを採用し、4K60p HDMI 入出力や3G-SDI入出力、USB Type-Cによる給電に加えて2ピンDC端子も備えるなど、複数の給電方法を用意する。また、従来モデルでUSB Type-Aを使用していた部分はSDカードスロットへ変更され、ファームウェアアップデートや3D LUTの読み込みに利用できる。縦位置撮影にも対応し、モニターを縦位置で使用するとUIも縦表示へ切り替わる。


LH5P IIIとBM5V WRを続けて見ると、画面の明るさやサイズだけでなく、縦位置撮影への対応、UI、給電、メディアスロット、SDI対応といった運用面まで見直していることが分かる。小型モニターであっても、実際の撮影現場ではこうした細かな差が使い勝手に直結する。

3つの映像を1台へ。21.5インチのディレクターズモニター「MT22DS II」
小型モニターの次に注目したのが、21.5インチのディレクターズモニター「MT22DS II」である。ここで展示のスケールが一気に変わった。カメラの上で1つの映像を見る世界から、複数のカメラ映像を1台の画面へ集めて確認する世界へ移る。

MT22DS IIは、21.5インチ、解像度1920×1080のディスプレイを採用する。最大輝度は1,500nit、コントラスト比は1200:1。筐体にはアルミニウム合金を採用し、重量は7.15kgとなる。大型のディレクターズモニターでありながら高輝度パネルを採用し、スタジオだけでなく屋外でのモニタリングも意識した仕様である。
映像入力は3G-SDI×2系統とHDMI×1系統の計3系統を備え、出力は3G-SDI×1系統とHDMI×1系統を装備する。HDMIからSDI、SDIからHDMIへの信号変換にも対応するため、複数のカメラや周辺機器を組み合わせる現場で扱いやすい。

3系統の入力を利用すれば、複数のカメラ映像を1台に集約できる。表示レイアウトも複数用意され、縦位置の映像確認やマルチカメラ収録時の確認に対応する。アナモフィックレンズ補正、ARRI False Color、RGBウェーブフォーム、ベクトルスコープ、ヒストグラム、3D LUTなど、映像確認に必要な各種ツールも搭載する。
撮影者が自分のカメラ映像を見るオンカメラモニターとは役割が異なる。複数のカメラが動く現場で、ディレクターやスタッフがそれぞれの映像を同じ場所で確認するためのモニタリング環境である。
背面には、映像トランスミッターを取り付けるための構成も用意されていた。トランスミッター側に個別のバッテリーを載せるのではなく、モニター側の電源系統にまとめることで、背面の配線やバッテリーまわりを整理しやすくなる。

MT22DS II本体への給電は、4ピンXLRによるDC 12〜24V入力に対応するほか、背面のデュアルVマウントバッテリープレートによる運用にも対応する。最大消費電力は50W。スタジオで外部電源を利用するだけでなく、バッテリーを組み合わせてロケーションへ持ち出すことも想定した構成である。
さらにVESAマウントに対応し、展示機ではベビーピンを使った設置方法も紹介されていた。固定されたスタジオモニターとしてだけでなく、撮影場所に合わせてモニタリング環境そのものを移動させるという考え方が見えてくる。

そして、MT22DS IIと一緒に展示されていた専用ケースも印象的だった。EPP(発泡ポリプロピレン)素材を採用した軽量なケースで、ハンドルを備え、必要な場所へ持ち運んで設置できる。モニター本体、映像トランスミッター、バッテリー、ケースまでをひとまとまりで考えることで、現場に到着してから映像を確認できる状態にするまでの手順を簡略化する狙いが見えてくる。

2.4インチの新型EVF「LEYE IV」。3G-SDIと4K HDMI入力に対応
ブースの最後でさらに目に留まったのが、新型EVF「LEYE IV」である。前世代から各部を見直したモデルで、接眼部には柔らかなシリコン素材を採用している。実際に触れてみると、硬い素材をそのまま顔へ当てる感覚とは異なり、接眼部が柔らかくフィットする方向へ改良されていた。

LEYE IVは、2.4インチ、解像度1440×900のディスプレイを採用したカメラビューファインダーである。最大輝度は450nit、コントラスト比は1100:1、視野角は水平160°/垂直160°。本体サイズは125×70×78mm、重量は265gで、8bitの色深度に対応する。
映像入力には3G-SDIとHDMIを備える。HDMIでは最大4096×2160/24pのDCI 4K信号に対応し、3840×2160では最大30pまで入力できる。3G-SDI入力では1920×1080/60pまでの信号に対応するため、HDMIを備えたミラーレスカメラからSDIを中心とするシネマカメラまで、幅広いカメラシステムへの組み込みを想定した構成である。
モニタリング機能も充実しており、3D LUT、ピーキング、輝度ウェーブフォーム、ヒストグラム、ゼブラ、フォールスカラー、ガイド、クロスヘア、グリッド、アナモフィック表示、オーディオメーターなどを搭載する。単に映像を見るためのEVFではなく、フォーカスや露出、フレーミングを確認するためのモニタリングツールを小型のビューファインダーへまとめている。
電源入力はDC 7〜24Vに対応し、キヤノンLP-E6タイプのバッテリーも使用できる。最大消費電力は5W。USB Type-A端子はファームウェアアップデートや3D LUTの読み込みに利用できるほか、5V/2Aのモバイルバッテリーからの給電にも対応する。
今回のPortkeysブースを見ていくと、展示の範囲はカメラの上に載せる小型モニターだけでは終わらなかった。LH5P IIIとBM5V WRではオンカメラモニターの操作性や縦位置撮影への対応を示し、MT22DS IIでは複数カメラ映像を1台に集約するディレクター向けの環境を見せる。そしてLEYE IVでは、撮影者が直接のぞくEVFにモニタリング機能をまとめていた。IBC 2026のPortkeysブースは、「何インチで何nitか」というスペックだけでは見えてこない、撮影現場のモニタリング環境そのものを提案する展示になっていた。