IBC 2026のSIRUIブースで目に留まったのは、方向性の異なる2つのレンズ群だった。ひとつはフルフレーム対応のAF単焦点レンズ「Aurora」シリーズ、もうひとつは横位置と縦位置の撮影を切り替えられるアナモフィックレンズ「Saturn V2」シリーズである。

SIRUIといえば、アナモフィックレンズやシネマ系レンズの印象が強い。その一方で、今回のブースでは軽量なAF単焦点レンズから、縦型動画の視聴環境を意識したアナモフィック表現まで、幅広い撮影スタイルを見据えた展開が見えてきた。

IBC 2026のSIRUIブース。AuroraシリーズやSaturn V2シリーズなど、静止画からシネマ用途までを意識したレンズ群が並んでいた

フルフレーム対応AF単焦点「Aurora」シリーズ

最初に確認したのは、SIRUIの「Aurora」シリーズである。ブースでは35mmと85mmに加え、15mmや24mmといった広角側のレンズも紹介されていた。4本の焦点距離をそろえることで、スナップやポートレートだけでなく、風景や広い空間の撮影にも対応しやすい構成になっている。

手に持ったSIRUI Aurora 24mm F1.4と15mm F1.6。フルフレーム対応のAF単焦点レンズとして、広角側のラインアップが紹介された
ブースで確認したAuroraシリーズの資料。15mm F1.6、24mm F1.4、35mm F1.4、85mm F1.4の4本が並ぶ

説明および資料では、Auroraシリーズはフルフレーム対応をうたうオートフォーカス単焦点レンズで、E、L、X、Zマウント向けの展開が示されていた。軽量なAF単焦点レンズを探すユーザーにとって、選択肢が広がるポイントになる。

展示されていたAurora 85mm F1.4と35mm F1.4。ポートレートからスナップまでを想定しやすい焦点距離だ

Auroraシリーズは、明るい開放F値とAF対応を備えながら、日常的に持ち出しやすいサイズ感を目指したレンズ群だ。15mmや24mmといった広角域まで含めて展開する点に、同シリーズの広がりが見える。

縦位置撮影に対応する「Saturn V2」アナモフィック

続いて紹介されたのが、シネマレンズの「Saturn V2」シリーズである。1.6倍スクイーズのフルフレーム対応アナモフィックレンズで、横位置と縦位置の撮影を切り替えられる点が特徴だ。実機はコンパクトで、一般的なシネマレンズの大きさを想像していると、より身近なサイズに見える。

手に持ったSaturn V2 75mm T2.9。アナモフィックレンズながら、取り回しを意識したサイズ感にまとまっている
Saturn V2 75mm T2.9の鏡筒部。フォーカスはMFで、シネマレンズらしいギアリングを備える

通常、アナモフィック表現は横長の画面を前提に語られることが多い。一方、Saturn V2は横位置だけでなく縦位置での撮影も想定し、レンズ側の切り替えによって画面方向に合わせた運用ができる。スマートフォンや縦型動画のような視聴環境にも合わせやすい設計だ。

デモ機材に装着されたSaturn V2シリーズ。外部モニターを組み合わせ、アナモフィック映像の見え方を確認できた
デモでは光源を入れた状態で、横位置と縦位置の切り替えによるフレアの見え方を確認できた。外部モニターにはデスクイーズ表示された映像が映し出されていた

フォーカスはマニュアルフォーカスである。ブースでは、レンズ側の切り替えによって横位置と縦位置の見え方を比較するデモも確認できた。アナモフィック表現を横長の画面だけに閉じ込めず、縦型コンテンツにも広げる発想が見えてくる。

軽量AFと縦型シネマ表現が同じブースに並ぶ意味

今回のSIRUIブースで印象的だったのは、AuroraとSaturn V2の方向性が大きく異なることだ。Auroraは、軽量なAF単焦点レンズとしてフルサイズカメラを軽快に使う方向を示す。一方のSaturn V2は、シネマ表現、とくに縦位置撮影を含むアナモフィック表現に踏み込むレンズである。

一見すると別々の製品群に見えるが、共通しているのは、カメラシステムを必要以上に大きくしないという考え方だ。Auroraは日常的な撮影に寄せたAF単焦点として、Saturn V2はアナモフィックでありながら扱いやすい筐体としてまとめられている。

IBCの会場では、大型のシネマレンズや高性能なズームレンズに目が向きやすい。その中でSIRUIの展示は、軽さ、扱いやすさ、そして縦位置表現という別の角度から、これからのレンズ選びを考えさせる内容だった。

フルフレーム対応をうたう軽量AF単焦点「Aurora」と、横位置/縦位置撮影に対応するアナモフィック「Saturn V2」。SIRUIブースでは、単に新しいレンズを並べるだけでなく、撮影スタイルの変化に合わせた提案が見えてきた。