IBC 2026のATOMOSブースで目に留まったのは、19インチ・ラックマウント型4K HDRモニター「Shogun AV-19M」だった。ライブ制作、放送、スタジオ、オンセットモニタリングを想定した製品で、IPベースの映像と従来型のSDI/HDMI信号を1台で確認できる。

会場で実機を見ると、単なる大型モニターではなく、NDI、12G-SDI、HDMIを同じ表示環境の中で扱うためのラックマウント型ディスプレイという位置づけが見えてきた。カメラ横の小型モニターとは違い、プロダクションギャラリー、コントロールルーム、中継車、ビデオビレッジ、ポータブルフライパックなど、複数人で映像を確認する場面に向く製品である。

19インチ4K HDR画面でIPとSDI/HDMIを確認

Shogun AV-19Mは、19インチの4K HDR DCI-P3タッチスクリーンを搭載する。大画面で映像を確認できるため、ライブ制作や放送現場で必要となるフォーカス、露出、色、フレーミングのチェックを、ラックマウント環境の中で行える。

接続系統は、NDI、12G-SDI、HDMIに対応する。IPベースの映像はEthernet経由で受け、従来型のSDIまたはHDMI信号はフルスクリーンでモニタリングできる。IP化が進む現場と、既存のSDI/HDMI運用が残る現場の両方を想定したハイブリッド構成だ。

入出力は、12G-SDI入出力×1、HDMI入出力×1、XLRオーディオ出力を備える。収録やライブスイッチングを主目的とする機材ではなく、大型画面で映像を正確に確認するためのラックマウント型モニターである。

Shogun AV-19Mの背面。XLRオーディオ出力、12G-SDI、HDMI、Ethernet、USB-Cなどを備え、ラックマウント環境での接続を想定する
背面右側の入出力部。HDMI入出力、Ethernet、USB-C、12G-SDI入出力を確認できる

NDI HX3で最大4ソースをクアッドビュー表示

Shogun AV-19Mの大きなポイントは、NDI HX3への対応である。Ethernet経由でNDI HX3映像を受け、単一のNDIソースをフルスクリーンで表示できる。

さらに、HD条件では最大4系統のNDIソースをクアッドビューで同時にモニタリングできる。ネットワーク上を流れる複数の映像フィードを一覧できるため、IPベースの制作環境では、別途マルチビューシステムを用意せずに状況を把握しやすい。

ここで重要なのは、4分割表示がNDIソースを対象にした機能である点だ。SDIやHDMI入力とNDIソースを混在させてクアッドビュー表示するものではなく、SDIやHDMIは単一ソースのフルスクリーン確認が基本となる。

つまりShogun AV-19Mは、「4系統SDI入力をまとめる機材」ではなく、「NDIの複数ソース監視と、SDI/HDMIの詳細確認を1台で扱うモニター」と理解するのが自然だ。国内ではSDI中心の現場もまだ多いが、NDIを取り込む制作環境では、こうした表示の考え方が重要になってくる。

ATOMOSブースで見えた現場運用の変化

ATOMOSブースでShogun AV-19Mを見ていると、映像制作の接続方法がSDIだけでは語れなくなっていることが伝わってきた。NDIを使えば、ネットワーク上の映像をラック内のモニターで受け、複数ソースを一覧できる。従来のケーブル運用とは違う柔軟さがある。

同時に、SDIやHDMIによるフルスクリーン確認を残している点も現実的だ。すべてをIP化するのではなく、既存の映像系統を扱いながら、必要な部分にNDIを取り込む。Shogun AV-19Mは、その過渡期の制作現場に置きやすいモニターに見えた。

Shogun AVシリーズの19インチモニターShogun AV-19を展示
Shogun AV-19の背面。モニター専用のShogun AV-19Mとは異なり、収録やライブスイッチング機能を統合したモデルである

ブースでは、モニター専用のShogun AV-19Mだけでなく、収録やライブスイッチング機能を統合したShogun AV-19も並んでいた。外観やサイズ感は近いが、AV-19Mはモニタリングに絞ったモデルで、AV-19は制作機能まで含めたモデルである。この違いを見比べることで、ATOMOSが19インチのラックマウント型画面を、現場の役割に応じて展開していることが分かる。

ロケーション制作やモバイル環境向けには、別売りのカスタムフライパックも用意される。19インチの大型モニターをラックや固定設備だけでなく、現場へ持ち出して運用するための選択肢となる。

Shogun AV-19Mは、収録機能を前面に出す製品ではない。NDI、SDI、HDMIをどう同じ制作環境で確認するか、大型モニターをどの場所に置くか。IBC 2026のATOMOSブースでは、映像制作現場のモニタリング環境が、IPと従来型のビデオ信号を併用する段階にあることが見えてきた。