(C)Universal Studios Hollywood
映画ファン垂涎のユニバーサル・スタジオ・ハリウッドを訪ねてみれば…
日本は残暑ざんしょ?(自爆)ま~、とにもかくにも、まだ夏である。夏と言えば、夏休み。夏休みと言えば、ユニバーサル・スタジオ・ハリウッド。大阪のUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)も悪くはないが、やっぱり、本場ハリウッドのユニバーサル・スタジオは違う。
まず、とにかくスケールがデカイ。そして、本場映画の都らしいアトラクションがテンコ盛りで、妙なキャラクター路線ではなく、徹底して「ハリウッド映画一筋で売る」というテーマパーク・カラーの気風が気持ち良い。また、ユニバーサル・スタジオのブランドを前面に出し「これぞハリウッドのテーマ・パーク」という堂々たる雰囲気がそこかしこに漂う。やっぱ、ユニバーサル・スタジオはこうで無くっちゃ。このように、スケールがデカく、豪快で楽しい堂々たるユニバーサル・スタジオ・ハリウッドだが、実は2008年6月、不幸にもバックロットで火災が発生するという災難に見舞われている。
この火災の影響で、有名な「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の時計塔オープン・セットを始め、名物のトラム・ツアーに含まれていた、同じく名物の1つだった実物大ロボット仕掛けの「キングコング」のアトラクションも焼失。しかし、転んでもタダでは起きないのがユニバーサル・スタジオ・ハリウッドだ。2008年8月、全く新しいコンセプトで「コングコング」のリニューアルを行う事を発表。そして、この7月1日から堂々オープンしたのが、「King Kong: 360 3-D」である。「360 3D」とは、かなりご大層なタイトルだが、果たしてどんなアトラクションなのであろうか?そこで、筆者は早速、特別取材班を編成(と言っても俺1人だが)、ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドへ突撃してみた。そんな訳で今回は、ハリウッドの旬の話題として、この「King Kong: 360 3-D」をみなさんにご紹介する事にしよう。
外せないスタジオ・ツアー(The Backlot Tour)とは?
ユニバーサル・シティウォークにも、大きな看板があった (C)Universal Studios Hollywood
ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドには楽しいアトラクションがいくつもあるが、やっぱり外せないのが連結トラムに乗ってスタジオの裏側を回る「スタジオ・ツアー(The Backlot Tour)」だろう。これを試さずして「ユニーバーサル・スタジオ・ハリウッドを語るべからず」である。このトラム・ツアーの中に、目的の「King Kong: 360 3-D」は含まれている。つまり、独立したアトラクションではなく、連結トラムに乗ったまま体感するアトラクションとなっている。
立体メガネのピックアップを忘れずに…しかし70分待ち… (C)Universal Studios Hollywood
「King Kong: 360 3-D」は、つい先ごろの7月1日にオープンしたばかりとあって、この日(日曜)の「スタジオ・ツアー」は70分待ちという状態。それにもメゲず列に並ぶ事1時間弱。ようやく順番が近づいてきた。観客は「King Kong: 360 3-D」で使用するポラロイド方式の立体メガネを受け取ってから、連結トラムに乗り込む(このメガネを受け取り忘れると、立体に見えないので要注意である)。
(C)Universal Studios Hollywood
さて、「スタジオ・ツアー」の始まり始まり。トラム・ツアーはプロデューサーのオフィス、実際に撮影が行われているサウンド・ステージの横を通り、楽しいガイドさんの解説を聞きながら、滞りなく、楽しく進行していく。途中に、現在作業中の巨大なマットペインティングなんかもあった。何かの撮影で使用する予定らしい…。オープンセットは、NYの町並みや中華街など、さまざまなセットが並んでいて、何度見ても飽きない。消失した部分は、再築して復活させたそうだ。
再現された街並みの中をトラムは進む (C)Universal Studios Hollywood
そんなこんなで、トラム・ツアーは順路の1つ、「サウンド・ステージ51」へと差し掛かる。すると、なんだか様子がおかしい…
「サウンド・ステージ25」の中で展開される「King Kong: 360 3-D」
目の前に現れた破壊されたトラムが現れる… (C)Universal Studios Hollywood
無残に破壊されたトラムを横目に、トラム・ツアーは残酷にも、問答無用で「サウンド・ステージ25」へと進入していく(笑)。この中に、問題の「King Kong: 360 3-D」が設営されている訳だ。さて、トラム・ツアーが建物の中に入って停止すると、モニター・テレビにピーター・ジャクソン監督が登場し、ご挨拶。そして立体メガネを掛けるように乗客に指示すると、映像が始まる。
筆者撮影。このように、トラムは丸ごと、かなり激しく揺れる (C)Universal Studios Hollywood
お~♪、なかなかの迫力である。ラプターは走り回るわ、ティラノ・ザウルスは襲ってくるわ、コングはトラムに掴みかかり、左右を激しく飛び回るわ、もう大変な騒ぎである。映像が終わると、観客は全員、ウヒャウヒャ大喜び。ヤンヤヤンヤの喝采であった。では、折角なので(何がせっかくなんだか)、ここでテクニカル・スペックを少々、ご紹介しておこう。
「King Kong: 360 3-D」のスペックとは?
(C)Universal Studios Hollywood
「サウンド・ステージ51」の内部にトラムが停車すると、(内部は真っ暗だが)トラムの両側に高さ12メートル、長さ56メートルの大きさの巨大なスクリーンが、丁度トラムの両脇を取り囲むように、設置されている。トラムに乗ったまま鑑賞するので、スクリーンは大きなカーブ描くような形状だ。トラムのどの席にいてもスクリーンからの光がある程度均等に届き易いように配慮されている。この大スクリーンに、片面8個(両面で16個)のHDプロジェクターで、秒60コマの立体映像を映写する仕組みだ。そしてサウンド・ステージ内に設置された68個のスピーカーからは、ステレオ・サラウンドの音響が再生される。メガネを掛けて立体映像で鑑賞し、しかも映像に合わせてトラムが激しく動くので、かなりの臨場感がある。
上映時間はわずかに90秒だが、それよりははるかに長く感じた。(小さい子にはチョット怖いかもしれない)映像部分は90秒で、VFXは映画「キングコング」と同様、ピーター・ジャクソン監督率いるニュージーランドのWETA DIGITALが手掛けている。すべて1カットで、しかも立体映像、そして秒60コマなので、制作は大変だったそうである。さて、駆け足でご紹介した「King Kong: 360 3-D」だが、その概要はご理解頂けた事と思う。
最新のテクノロジーを集結して作り上げた、最先端のアトラクションであり、みなさんも、ロサンゼルスに観光に来た暁には是非トライしてみて欲しい。ちなみに、筆者の友人より「前から2両目のトラムに乗り、しかも左側に座るようにすると、全体の演出が一番効果的に体験出来る、ベスト・ポジション」という貴重な情報を頂いた。友人は、友人と一緒に数回チャレンジしてみた結果、このような研究成果に辿り着いたのだと言う(笑)みなさんも、トライされる時は是非「2両目の左側」をめざしてトラムに乗り込まれると楽しいだろう。
King Kong: 360 3D – Visual Effects Credit
- Peter Jackson Producer, Writer, Director
- Joe Letteri Senior Visual Effects Supervisor, Weta Digital Ltd.
- Matt Atiken Visual Effects Supervisor, Weta Digital Ltd.
- David Houghton Compositing Supervisor
- Eric Reynolds Animation Supervisor
- R. Christopher White Digital Effects Supervisor
- Brent Burge Supervising Sound Editor
- Valerie Johnson-Redrow Show Producer
- Chip Largman Vice President, Executive Producer, Universal Studios Hollywood / Universal Creative
- Dale Mason Vice President, Executive Art Director / Universal Creative
- Thierry Coup Vice President Creative Development
- Jennifer Sauer Creative Director
- Mark Rhodes Executive Media Producer