
株式会社リコーは、建設・土木業界などを始めとするビジネスユース向けに、独自の業務支援サービスとパッケージ化して提供する360°カメラ「RICOH360 THETA A1」を2025年8月上旬に発売する。
360°カメラとクラウドサービスを組み合わせることで、撮影から・共有・管理までの一連のワークフローの効率化を図り、ビジネスシーンにおけるスムーズな運用の提供を目指す。 新製品「RICOH360 THETA A1」の発売に伴い、ブランド名は従来の「RICOH THETA」から「RICOH360 THETA」へ変更される。
耐久性・効率性・操作性の向上とデータ管理の一元化を目指して
2013年の初代RICOH THETAの発売以来、コンシューマー向け360°カメラの草分けとして、およそ12年の歴史を誇るTHETAシリーズ。
2022年からは、ビジネス用途に注力し、ハードウェアとソフトウェアの連携を図った統合型のサービス「RICOH360」の開発を進めてきた。
近年、THETAを商業利用しているユーザーの50%以上は、建設・不動産業者が占めており、中でも遠隔現場、2024年問題、ICT活用の努力義務などの課題に直面する建設業界からの問い合わせが増加している。
THETAであれば、1ショットで360°を記録できるから、現場で何度も撮影する手間を省き、撮りこぼしを防ぐことが可能だ。また、360°の画像や動画を共有することで、現場に行かなくても現況が伝わりやすいというメリットがある。すなわち、時間やコストの削減につながるという訳だ。
建設業における活用シーンとしては、営業から設計、工事、設備管理等の役割の中で、現地調査、工事進捗管理、点検・記録、教育、広報等の様々な業務での活用が挙げられる。


RICOH360 THETA A1について
RICOH360 THETA A1は、ビジネスの現場からの課題やフィードバックを反映させながら、業務用途における実用性、安定性、操作性の向上を目標に開発がおこなわれており、クラウドサービスと連携した一体型のモデルとして提供される。ターゲット業種である建設・土木業界の厳しい環境でも、問題なく利用できるように、従来のTHETAと比較して処理スピード・堅牢性・RICOH360との連携性を強化している。
RICOH360 THETA A1はカメラ単体の販売はおこなわれず、RICOH360やアクセサリーとのパッケージでの販売のみとなる。発売は、2025年8月上旬の予定。




粉塵や小雨の環境下でも安心して使用できるIP64の防塵・防滴性能を搭載。30〜40℃の高温の環境下でも長時間の撮影と安定したライブストリーミングをおこなうことが可能になっている(ライブストリーミング機能は、2025年内に「RICOH Remote Field」として日本国内のみで提供予定)。
三脚の頻繁な着脱にも耐える堅牢な金属製三脚ネジ穴の実装など、現場で求められる耐久性・効率性・操作性に配慮した機能を搭載している。
RICOH360 THETA A1は、建設現場等におけるスピーディな運用が想定されており、起動や撮影時のレスポンスが大幅に向上している。
暗所や屋内等の環境においては、照度に応じた自動ノイズリダクションが搭載されており、撮影経験の少ない現場スタッフや作業員でも、高品質な360°画像を簡単に撮影することができる。自動ノイズリダクション機能は、撮影設定がAutoに設定され、三脚等でカメラを固定して撮影した場合に、静止画撮影時は照度に応じて、動画撮影時は照度に関係なく起動する。
スリープ状態時には、無線LANを通じて画像や動画を「RICOH360クラウド」へ自動アップロードできる機能が搭載されており、撮影から共有までのワークフローの効率化に寄与する。 1日の工事完了後などに、業務記録として活用することはもとより、監理技術者が遠隔で作業状況をチェックすることもできるので、施工ミスの早期発見や是正指示を迅速におこなうことが可能となる。
RICOH360 THETA A1の特徴を、整理すると次の通りである。
処理スピード:
- 大きな電源ボタンの短押し起動(起動時間:初回起動時は約3秒。
電源ボタンが大きくなり、押しやすくなっている)。 - 三脚固定で撮影すれば、静止画は照度に応じてノイズリダクションが起動、動画は常時ノイズリダクションが起動するため、カメラ初心者でもノイズを抑えて撮影できる。
- フィルター撮影(HDR、NR、手持ちHDR)の時間が通常撮影と同程度に。レリーズタイムラグが0.3秒。
- H.265動画対応。H.264動画の約半分のサイズのため、ファイル転送に時間がかからない。
堅牢性:
- 防塵防滴(IP64)。小雨や粉塵が舞う環境下でも撮影できる堅牢性を備えている。
- 金属三脚穴。三脚や自撮り棒への頻繁な着脱を考慮し、金属の三脚穴を採用。
- 使用温度:-10~40℃(既存モデルは、0~40℃)。
動画(4K30FPS)を30℃環境下で2時間、ライブストリーミング(2K30FPS、2K15FPS、4K15FPS)を40℃環境下で3時間まで撮影可能(連続使用時間は、電源によって異なる)。

バッテリー交換が可能:
- バッテリー持続は、静止画の場合、300枚(THETA Xは、250枚)。
- 本体標準バッテリーの他に、オプションでリムーバブルバッテリーと充電器を提供。


THETA A1専用の充電式リチウムイオンバッテリー
大きさ:42.9mmx×40.4mm×10.2mm
重さ:約35g
容量:1485mAh(THETA Xのバッテリー DB-110と比較して135mAhの容量増)

対応バッテリー:TB-1
大きさ:約60.0mm×57.4mm×30.1mm
重さ:約50g
対応USB:USB Type-Cケーブル(THETA A1同梱のケーブルを使用可能)
USBタイプC対応:
- 本体側面のUSB Type-Cポートから給電が可能。また、USB PD 15W以上の電源使用時は、バッテリーなしで、USBケーブルを繋いで、カメラを使用することも可能。

USB-MSCモード対応:
- PCへの画像データ移行方法として、既存のMTPモードに加えて、カメラのストレージに直接アクセスできるUSB-MSCモードが追加。目的に応じたデータ転送モードを設定できる。

RICOH360との連携:
- スリープモード時に、画像をRICOH360クラウドにアップロードすることが可能(自動アップロード設定時)。撮影後のデータアップロードによる待機時間が不要となる。
- RICOH360のAIイメージエンハンスメント機能を使えば、さらに撮影画像を見やすく加工できる。

RICOH360 ビジネスパッケージについて
RICOH360 ビジネスパッケージでは、撮影から画像・動画の活用までをシームレスに管理するアプリケーション、さらには、機材レンタルやサポートまでをパッケージにした業務向けの一貫したソリューションが提供される。
解像度やノイズ、色補正など画質改善のためのAI画像補正やプライバシー保護のためのAI人ぼかしなど、それぞれの業務に適した画像補正機能を備えることで、実用性の高い画像データの運用を可能にしている。
社内外の関係者との安全かつスムーズな画像共有のシステムについても順次対応予定である。また、問い合わせ対応やカメラ故障時のサポートにも専用窓口を設ける。
RICOH360 ビジネスパッケージの具体的な提供内容としては、360°の撮影・編集・確認・共有・端末管理を簡単におこなえる100GBまでのクラウド対応アプリケーションである「RICOH360 App / RICOH360(Web版)」、THETAおよびアクセサリーの物損保証付きレンタルとサポート体制ということになる。
なお、これらのサービスの価格に関しては、ユーザーの業務環境や規模、必要機能に応じて、最適な構成を提案できるように、個別に見積もりされる模様だ。
リコーは、「RICOH360 THETA A1は今後も、ビジネス現場や本部部門から寄せられる多様なニーズや課題に対応するパッケージ対応機種として、継続的に提供してまいります。 これからも、360°画像・映像を活用した業界横断型プラットフォームを通じて、デバイス、ソフトウェア、クラウドサービスの連携を一層強化し、撮影からデータ活用までのワークフロー全体の効率化を図ることで、より優れたユーザー体験の実現を目指します。」としている。




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