
2025年6月11〜13日、幕張メッセで開催された Interop Tokyo 2025 は、来場者数は3日間で136,875人(※公式発表)を記録し、大きな盛り上がりを見せた。今回は放送や配信系のトピックが例年にも増して注目を集めた。
その同時開催イベント「Internet x Media Summit(IMS)」は、映像・放送のIP伝送・クラウド運用・AI活用など、制作から配信までのワークフローを支援する多彩なソリューションが並んだ。
本レポートでは、IMS内4社の展示をピックアップし、現場目線でのポイントを紹介する。
テレビ朝日クリエイト -クラウド型テロップシステム「Mashup」

テレビ朝日クリエイトは、自社開発のクラウド型テロップシステム「Mashup」を披露。ブラウザベースで動作し、ノートPC1台でも運用できる軽快さが特長だ。縦型配信への対応や、vMix/OBSへのレイヤー合成、スコア情報の自動送出といった「配信時代」のニーズを押さえ、省人化を意識した設計が光る。
デモでは、音声認識を活用したリアルタイム翻訳テロップや、ブラウザ上で完結する編集ワークフローを実演。放送クオリティの演出を少人数で、かつ場所を選ばず実現できる利便性が来場者の関心を集めていた。

AUSPEX(アウスペクス) -放送局発のクラウドCMS/制作支援ツール

北海道文化放送グループのデジタル部門から独立したAUSPEXは、放送局発ベンチャーならではの現場視点で開発したツール群を展示した。
- DC‑MAXs[cloud]:原稿作成〜配信を一括管理。誤送信防止の承認フローやLGWAN対応で公共系ニーズにも応える。
- Pobully:PDF/FAX原稿を自動で要約・アーカイブ。膨大な紙媒体をデジタル化して検索可能に。
- Movire::横型素材からスマホ向け縦型動画をワンストップ生成。SNSクリップ制作の手間を削減。
放送・報道部門だけでなく、自治体や新聞社でも導入が進みつつあり、「伝える」業務全般を下支えする存在として注目されている。
![DC‑MAXs[cloud] 操作画面](https://jp.static.pronews.com/pronewscore/wp-content/uploads/2025/06/IMS25-report-booth_00010.jpg)

Vecima Solutions -AIでビットレートを下げて、画質を上げる「dh/Keyframe」

カナダ発のVecima Solutionsは、AIで映像ストリームを最適化する「dh/Keyframe」を国内初披露。「ビットレートを下げて、画質を上げる」という逆説的なコンセプトが目を引く。AIがシーンごとの動きや複雑度を解析し、適切なエンコードパラメータを自動で適用。結果として必要帯域を抑えつつ、肉眼でわかるレベルの画質向上を実現する。
従量課金型クラウドストレージやCDN運用でのコスト削減効果が期待され、OTT事業者やライブ配信ベンダーからの問い合わせが多かったという。「画質と経費」のトレードオフに悩む現場に、実践的な解を提示するソリューションだ。
リーダー電子 -「NDI®チェッカー」でNDI®を「見える化」

リーダー電子は、NDI®環境向けのモニタリングアプリ「NDI®チェッカー」を出展。ネットワーク上に流れるNDI信号を自動でリスト表示し、フォーマット、フレームレート、ビットレート、遅延、ドロップフレームなどの状態を可視化する。
NDIは導入しやすい反面、「何が流れているか分からない」「トラブル時の切り分けが難しい」といった声も多い。NDIチェッカーはそうした現場課題に応えるツールとして注目されていた。ブラウザ上で操作でき、ログ取得やCSV出力にも対応する。

IMS 2025に見る、「次の現場支援」の形
IMS 2025の展示を通して見えてきたのは、「IP化・クラウド化の次フェーズ」を支える実用ツールの充実だ。派手なスペック競争よりも、現場の課題を確実に解決する「手触り感」のある提案が増えている印象を受けた。
今年はShowNetの存在意義がより一層高まり、映像伝送の分野でも協力企業と連携し、展示ブースで実際に動作するデモが披露されていた。まさに「動いているところを見せる」というInteropの理念を体現する、実に有意義な場となった。
ShowNetでの映像関連デモの詳細は、以下の記事を参照してほしい。

なお、Interop Tokyo 2026の開催もすでに決定しており、会期は2026年6月10日(水)〜12日(金)、会場は同様に幕張メッセとなる。
引き続き、公式サイトではセミナーのアーカイブ配信やアワード受賞の発表など、さまざまなコンテンツが公開されるので、気になる方は以下のURLからチェックしてみてほしい。

