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台湾への出張の合間に慌ただしく受け取った小包。梱包を紐解き、ケースから取り出したそれは驚くほど小さく、そして圧倒的に軽かった。

この親指より少し大きいぐらいの筐体には、13.5ストップのハイダイナミックレンジを誇る1/1.3インチのセンサーが搭載されているという。10bit D-Log Mでの撮影も可能にしているあたり、DJIが手を抜くことなく開発したことが伺える。

まずは、台湾の花蓮県に仕事で足を運んだ際に撮影した映像で、その美しい描写を確認してもらいたい。手持ちをはじめ、ランヤード、ハットクリップなどにマウントして撮影している。なお、公式から専用のLUTがまだリリースされていないので、センサーサイズが同じOsmo Action 4用のLUTで代用しつつ、主に彩度についてのみ微調整した。

重量・サイズについて

まずは、DJI Nanoがどれほどコンパクトかを、実際の数値などをみながら感じてほしい。

重量の比較

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多機能ビジョンドックをつけない場合、DJI Osmo Action 4の1/3、Insta360 Ace Pro 2と比べるとさらにその軽さが際立つ。手にすると数値以上に軽快さを感じることができた。

サイズの比較

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多機能ビジョンドックを装着するとDJI ACTION 4やInsta360 Ace Pro 2よりも少し大きくはなるが、やはり軽い。

カメラ本体わずか52g、ビジョンドックを含めても124gという数字は、アタッチメントを使って首からぶら下げた状態での長時間の装着や移動撮影でもほとんど疲労を感じさせない。持ち運ぶこと、装着することへのストレスが皆無に近いことに本当に驚かされた。

描写性能

映像性能に目を向ければ、1/1.3インチCMOSセンサーが生み出すダイナミックレンジ13.5ストップという数値がまず際立つ。明暗差の大きなシーンでも、白飛びや黒潰れを最小限に抑え、豊かな階調を保った映像を残せる。これは同じDJIのOsmo Action 4より優れており、Osmo Action 5 Proと比較しても遜色なく、むしろNanoの軽快なフォームにこの性能が収められていることに価値がある。

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台湾、花蓮県の美しい金針花の景色
※画像をクリックして拡大

競合であるInsta360 Ace Ultraの1/1.28インチセンサーと比較しても、暗所や逆光での安定した描写力はNanoが優位になるだろう。映像の「土台」となるセンサー性能において、Nanoは小型ながらも確かな説得力を持っている。

目を見張る転送スピードとタフな持久力

運用面でも、Nanoは安心感に直結する要素を数多く備える。まず内蔵ストレージは最大128GBを搭載可能で、外部メディアに依存せずとも長時間撮影を継続できる。これは突然の撮影機会や、予備カードを忘れたシーンでも心強い。

また、USB3.1による最大600MB/sの高速転送(68GBバージョンでは最大400MB/s)は、大容量データを短時間でPCへ移せるため、撮影から編集までのワークフローを大きく効率化する。映像クリエイターにとって、こうした地味ながら実用的なポイントこそが、日々の作業のストレスを解消する大きな武器となる。

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実際にデータ転送してみたところ、平均して470MB/s程度の転送速度が出た

さらに注目すべきは「200分の駆動時間」である。ビジョンドックと組み合わせれば、わずかな充電で長時間の撮影を継続できる。競合機種が100〜140分程度に留まることを考えると、この差は現場での安心感に直結する。長時間のイベント収録やアウトドア撮影において、バッテリー残量を気にせずに没入できるのはNanoの大きな優位点だ。

多彩なマウントでさらに広がる映像表現

加えて、Nanoは多彩なマウント互換性を備えている。胸部マウント、ヘルメットマウント、ハンドグリップなど、用途に合わせた視点の切り替えが可能だ。これにより、自転車やランニング、さらにはクリエイティブなローアングルや俯瞰撮影まで、多様な映像表現を軽やかに楽しむことができる。軽量ボディと安定したRockSteady 3.0の組み合わせは、どんな視点からの映像も「見られる映像」に昇華させてくれる。

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個人的に気に入ったのがマグネティック・ランヤードだ。ペンダントのように首からぶらさげた上で、さらに磁力で服越しに挟み込んで固定する。Osmo Action 4などで使っているネックバンドとは違い、システム全体が圧倒的に軽くなるため、首への負担をほとんど感じることがなく、ハイキング中もずっと装着したままにすることができた。

ますます進化するDJIのエコシステム

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そして、やはり忘れてはならないのがDJIのエコシステムである。Nanoは「DJI MIC 2」や「MIC Mini」とのダイレクト接続に対応し、デュアルマイクをワイヤレスで統合できる。これは競合がBluetooth単独の簡易的な音声収録に留まるのとは一線を画す。

映像と音声を同一のエコシステム内で完結させることで、現場での信頼性が圧倒的に高まり、映像の完成度も飛躍的に向上する。また、既存のOsmo Actionシリーズのアクセサリーを流用できる点も大きな魅力であり、ユーザーは投資した資産をそのまま活かすことができる。

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総じてOsmo Nanoは、軽量でありながら高性能センサーと広いダイナミックレンジを持ち、200分という長時間駆動や最大128GBの内蔵ストレージ、USB3.1の高速転送によって安心かつ効率的な運用を可能にする。そして、DJI独自のアクセサリーや音声収録システムといったエコシステムが、単なる「小さなカメラ」を超えた存在へと引き上げている。

競合機との比較ではもちろん、自社の上位モデルに迫る画質と安定感をこのサイズに凝縮したことこそ、DJIの技術力の証明だろう。

まとめ

Osmo Nanoは、Vlogのような撮影への対応はもちろん、従来のカメラで挑むには困難な環境や条件にも対応可能な、作品にスパイスを効かせるための一コマの撮影に対応してくれる。

従来のアクションカメラにもポケットカメラにもない、それらを掛け合わせさらに自由度と質を高めたあらたな撮影体験は、作品に組み込むことまでを視野にいれることができる、クリエイターにとって頼れる、これまでで最も小さな相棒である。

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新製品が目白押しのDJIのプロダクト群の中に埋もれそうなほどに小さいDJI Nano。しかし、ふたを開けてみれば、軽快さ、映像美、そしてDJIブランドが拡張し続けるエコシステムの中にある安心感など、その三位一体の完成度には目を見張るものがある。

ポケットカメラのようにカジュアルな商品にみられそうだが、これはProの名を冠しても良いほどの強度のあるプロダクトだと使用しながら感じた。

Osmo Action 4からInsta360 Ace Pro 2を買い増ししたが、大きさと重さに使用機会が増えることはなかった。そんな状況の中で手にしたこのプロダクト、次はOsmo Action 5 Proではなく、Osmo Nanoを選ぶことになるかもしれないとさえ感じている。

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トレイルランニングのようにULなアクティビティにおいてもOsmo Nanoは相性がよい

このDJI Osmo Nanoを手にした人々は、日常・非日常を問わず、どのように目の前の光景を撮り重ねていくのだろうか。既存の撮影スタイルに固執しない想像力豊かな撮り手によって、スマホの中の見慣れたストーリーに大きな変化が起きることを楽しみに待ちたい。


宮下直樹(TERMINAL81 FILM)|プロフィール
フリーランスのフォトグラファー・シネマトグラファー
写真・映像、ドキュメンタリーから空撮まで。
視覚表現の垣根を超えた小さな物語を縦横無尽に紡ぐ。
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