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DJIがVlog撮影向け小型ドローン「Neo」を発表してから約1年、さらなる進化を遂げて「Neo 2」が登場。NeoはこれまでのDJIドローンシリーズの中でも最も多彩な操縦方法があり、筆者は初心者の入門用に最適なドローンと考えている。

〈Neoの多彩な操縦方法〉

  • (1)機体(+スマホ)のみで自動飛行、撮影
  • (2)RC-N3、RC-N2、RC2プロポでモニターFPV飛行
  • (3)DJI Goggles 3、Goggles N3でゴーグルFPV飛行

その中でも今回のNeo 2は特に(1)の性能が爆発的に上がっていると感じた。まずこちらの映像を見てほしい。

マウンテンバイクの下りスラロームを機体のみのフォローモードで、手動操縦なしで追い撮りできている。

これまで筆者はDJIのNeo(初代)、Flip、HoverAir X1 Smart、X1 Pro Maxといった自撮り用ドローンで同様の追尾を試みてきたが、すべて失敗に終わっていた。これらは被写体が左右に振られる動きに追尾が追い付かず、すぐにトラッキングが外れてしまうのだ。

しかしNeo 2では被写体の動きを予測しているかのようにうまく回り込んだりして完璧に追い撮りしていて、これには本当に驚かされた。

次にこちらの映像。

Neo 2は全方位障害物センサーが搭載され、障害物を避けながら自動追尾できる。動画のように屋外から狭く暗い室内に入り、ぶつからずにまた外に出てくるということも機体のみで可能。

さらに驚きなのは、カメラの画角内にトラッキング対象以外の人が複数いても、正確に対象を追いかけ続けているところ。AIトラッキングの進化がすごすぎる。

これらだけでも衝撃的すぎる内容だが、Neo 2の凄さはこれだけではない。

本記事ではNeo 2の操縦方法別に、その性能を解説していこうと思う。

ちなみにNeo 2は初代Neo同様、とてもリーズナブルな価格設定で、機体単体なら大抵のアクションカメラよりも安く手にすることができる。

  • DJI Neo 2(機体単体):税込38,390円
  • DJI Neo 2 Fly Moreコンボ(機体単体)送信機なし:税込51,700円
  • DJI Neo 2 Fly Moreコンボ送信機付属:税込66,660円
  • DJI Neo 2 Motion Fly Moreコンボ:税込91,740円
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DJI Neo 2(機体単体):税込38,390円
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DJI Neo 2 Fly Moreコンボ(機体単体)送信機なし:税込51,700円
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DJI Neo 2 Fly Moreコンボ送信機付属:税込66,660円
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DJI Neo 2 Motion Fly Moreコンボ:税込91,740円

外観

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機体後部の上下に取り付けられたビジョンセンサー、前方LiDARセンサーにより全方向障害物検知を実現している。初代Neoは障害物検知機能なしだったので大幅な進化だ。

またジンバルも初代Neoのパン軸のみ1軸から、ロール軸を追加して2軸に進化。カメラのセンサーサイズは初代Neoから変化ないが、電子手振れ補正のみではなく機械的にもブレを抑制することで、さらにきれいな映像が撮影できるように。

また前方に取り付けられたモニター、LEDインジケーターで撮影モードやステータスなどが可視化され、より使いやすくなった。

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初代Neo同様に上部プロペラガードは取り外し可能。ただし少し外れづらくなった印象。左右2つで8gほどなのでつけっぱなしでもいいかと思う。

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底部側面には撮影モード選択ボタンと離陸ボタンが配置。

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初代Neo、Avata 2と比較するとNeo 2のサイズはだいたい中間くらい。重量は初代Neoが135gだったがNeo 2は151g(後述のトランシーバー込みで160g)と微増している。

100g以上なので航空法上は無人航空機の扱いとなるため、屋外での飛行は機体登録が必須となる。各種飛行方法や飛行場所による規制も大型機同様に適用されるため、初心者は注意が必要だ。

DJIトランシーバーについて

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今回Neo 2には新たに外付けトランスミッター、「DJIトランシーバー」が搭載。送信機やゴーグルを使用し操縦したい場合はこちらが必要となる(機体のみ、スマホWifi操縦の場合は必要ない)。

Fly Moreコンボの送信機ありタイプには同梱されているが、単体での販売についてはまだ公式情報がない。

USB-Cコネクタ+4点ねじ止めで取り付けられるようになっている。よく見るとトランシーバー自体に技適マーク(日本の電波法に準拠している証)がついており、他の製品や自作機等に転用できるかどうかも気になるところだ。

画質について

画質については初代Neoから改善されている。
比較映像は下記の通り。

  • 12MPの1/2インチCMOSセンサー、f/2.2絞りを搭載
  • 4K60p、4K100pに対応
  • 2軸ジンバルと画像処理性能アップで高画質化
  • FOVが広くなり、よりダイナミックな映像に

センサーサイズは初代Neoと同じだが、画像処理技術の向上により高画質化している。また初代は4k30pまでだったのが100pにも対応。アクティビティなどでのスロー撮影ができるのはうれしい。

また個人的に初代Neoで少し不満だったFOVの狭さが改善されている。数値だと初代Neoが117.6°、Neo 2が119.8°となっている。実際の画で比較してみるとAvata 2ほどの視野の広さはないものの、初代よりだいぶ広く感じる。

操縦方法別解説(1)機体(スマホ)のみ

多彩なクイックショット

DJI Neo、Flipで実現したプロポなしのクイックショット。Neo 2では種類が増え、さらにパワーアップした。

クイックショットの種類は下記の通り。

  • フォロー
  • セルフィーショット ←New
  • ドローニー
  • サークル
  • ロケット
  • ドリーズーム ←New
  • マスターショット ←New
  • サイクリングフォロー ←New
  • スキーフォロー ←New
  • スポットライト
  • ヘリックス
  • ブーメラン

それぞれの動きは下記動画を参照してほしい。

一番楽しい!? ジェスチャー操作

手のひらの動きを使って制御するジェスチャー操作も新たに実装。厳密にいえば過去にDJI Sparkという機種に搭載されていたパームコントロールがあるのだが、さらに進化した形で実装された。

これがもはやハンドパワーやフォースの域に達しており(?)、初めて使用した時のインパクトが忘れられない。とにかく楽しいのでぜひ本製品を購入したら試してみてほしい。

DJI Flyアプリからジェスチャー操作をオンにした状態で、機体カメラに向かって片手を広げるとジェスチャー操作スタート。上下左右に動かせばそれに追従してくれるし、両手を広げれば被写体から距離を取り、両手を近づければ被写体に近づいてくる。

制御できる距離には制限があるが、一部クイックショットの最中にも操作することができるため、例えばフォロー中の遠近感の調整などに役立つ。機体がホバリングした状態でYaw軸とジンバルのみで被写体をトラックする「スポットライト」で撮影中に行えばこのようになる。

障害物検知+フォローが便利すぎる

本記事の冒頭にも紹介した障害物検知とフォローの組み合わせがとにかく便利だ。

これまでの自撮りドローンはやはり障害物センサーがないことによる衝突、墜落の可能性を常に考える必要があり、撮影時に少し不安があったと思う。Neo 2ではその不安を解消してくれて、撮影時の自由度が飛躍的に上がったと感じた。

操縦方法別解説(2)RC-N3、RC-N2、RC2

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初代Neo同様にO4伝送対応のプロポでモニターFPV飛行が可能。2軸ジンバルによるブレ補正で初代Neoよりも安定した画を撮影することができる。

初代Neoではセンサー感度が弱く、薄暗い室内でのNモードの挙動が安定しないことが多かったがNeo 2はLiDARセンサー、全方位センサーのおかげでばっちり安定。特にDJI RC2とNeo 2の組み合わせは非常にコンパクトで、Mavicシリーズなど本格的な空撮機の操縦に向けた練習にちょうどいいセットだ。

一般の空撮機っぽく撮影したサンプルはこちら。

操縦方法別解説(3)DJI Goggles 3、Goggles N3

Neo 2は初代Neo同様にゴーグルFPV飛行にも対応。Motion Fly Moreコンボを購入するとDJI Goggles N3とRC Motion 3が付属する。このコンボではモーションコントローラーでのFPV操縦を楽しむことができる。

より高度なマニュアル飛行を行いたい場合は別売りのDJI FPV送信機3をゴーグルと接続することでMモードに切り替え、本格的なFPV操縦を行うこともできる。

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ただし初代NeoやAvata 2のようにジンバルがパン軸のみではないためロール軸のロックが甘く、補正なしの映像は少しブレが目立つ。

少々玄人向けだがゴーグル操縦時に撮影パラメータを広角、アスペクト比4:3、ブレ補正なしとすることでジャイロデータを含む映像を記録でき、Gyroflowを使ってのブレ補正も可能だ。

Mモードでは初代NeoやAvata 2でみられた、急制動を行った時のプロップウォッシュ現象(ガックン)も引き続きあるので無茶はできないが、FPV操縦の良い練習になると思う。

FPV操縦でのサンプル映像はこちら。

その他の細かいところ

内蔵ストレージ大容量化

NeoはマイクロSDカード非対応で直接本体ストレージにデータを記録する。初代Neoでは22GBだった内蔵ストレージ容量がNeo 2は49GBに大容量化した。これで4K60pで撮影しても1時間49分程度記録できるだけの容量があるので十分だろう。

Wifi転送速度アップ

初代Neoが25MB/sだったのに対しNeo 2は80MB/sに高速化。撮影データをスマホにつないですぐプレビュー確認、ダウンロードして編集してSNSにアップ…といった作業の効率が大幅に上がって、かなり使いやすかった。

所感

ここ最近で最大インパクトの製品では?

本製品の登場でドローンがより身近なものへ、そして「操縦技術が必要でちょっと難しいもの」から「自動で飛ぶ簡単な撮影道具」へと認識の変化が加速するのではないかと考える。

特に自撮りドローンとしては全方位障害物センサーとの組み合わせにより、今までよりも飛行中のドローンを気にせずに「被写体としての自分」に集中することができる。

SNS全盛の今、アクションカメラよりも安く空から自分を撮影してくれる道具が手に入るなんてすごい時代だ。

ぜひ今までドローンに触れてこなかった層にも試してもらいたい製品だと感じた。

立ちふさがる航空法

プロポなしの自動飛行が飛躍的に進化したNeo 2だが、やはり日本国内でその性能をフル活用することは難しい。

100g以上で航空法上の無人航空機扱いとなることで、特定飛行では自動飛行時の事故防止のために操作介入ができる状態が必要…となんとも複雑怪奇な規制に巻き込まれているのは初代Neo、Flipと同様だ。

ここぞというときにサッと取り出して離陸、障害物を気にせずにフォローミーさせるようなスマートな自撮りができるNeo 2だが、飛行シチュエーションは慎重に選ぶ必要があるだろう。

本製品を購入される方はまずは機体登録、リモートID書き込みだけは忘れずに、節度をもちつつぜひ楽しんでほしいと思う。

藤倉昌洋|プロフィール
新潟県在住のドローンオペレーター。株式会社NK2-Tech代表。YouTuber「NANKOTSU」としてドローン初心者向けの情報を中心に配信中。