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レンズはこれまで、購入した時点で完成された存在だった。描写性能や操作性はメーカーが定義するものであり、ユーザーはそれを使いこなす側に回る。だが近年、撮影機材はソフトウェアによって進化し続ける存在へと変わりつつある。

その潮流の急先鋒が、「TAMRON Lens Utility Mobile版(以下:TAMRON Lens Utility Mobile)」だ。つい最近2月19日Ver.5.0のアナウンスがあった。単なるアップデートというよりも、レンズの付き合い方が一変するのでは?という進化内容となっている。

スマホでレンズをカスタマイズするという発想

TAMRON Lens Utility Mobileは、対応レンズの設定をスマートフォンから変更できる公式アプリだ。主な機能としては、

  • ボタン機能の割り当て
  • フォーカス挙動の調整
  • 動画・静止画それぞれに合わせた設定

などがあり、カメラ側ではなくレンズ側に個性を持たせられるのが特徴となる。

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同じカメラボディでも、用途に応じてレンズの性格を変えられるという点は、運用面で大きなメリットと言える。

実は上記に挙げた機能はこれまでも使うことができたし、筆者も以前から存在は知っていた。しかし現場で”気軽に”運用するためには大きなハードルがあったように思う。Ver.5.0ではこの問題点を見事に解決している。

Ver.5.0最大の進化:Bluetooth無線接続

今回のアップデートで最も実用性が向上したと感じたのは、Bluetoothによる無線接続への対応だ。従来は有線接続が必要だったため、設定変更にはひと手間が発生していた。

また基本的にはケーブルを接続したままで運用を行うため、Mobile版といえどスマートフォンをどこに置いておくか?という悩みや、接続されているUSBケーブルに引っかかったりして三脚ごとカメラを倒してしまったり、端子を破損させてしまったりというようなリスクを考えて運用しなければならなかった。

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今回Ver.5.0のアップデートでその悩みも解消される。レンズ側のUSBにTAMRON-LINK™ (Model TL-01)(以下:TAMRON-LINK)を装着することで、スマートフォンからワイヤレスで操作可能になる。

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実際に使ってみると、これが想像以上に快適だ。

  • カメラがローアングルなどの場合でも三脚を動かさず設定変更が可能。
  • カメラに触れずに調整可能
  • 撮影テンポが止まらない

単純ではあるが撮影中のストレスを確実に減らしてくれる進化だと感じた。

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またTAMRON-LINKはそのままでつけっぱなしにしていても端子を破損させてしまうような心配もない。スマートフォンも運用しやすい位置にマウントでき、撮影の面白さ、楽しさを一段押し上げてくれた。

また無線接続というと遅延が気になるところであるが、一切気にならなかった点も付け加えたい。

iOS対応で現実的な選択肢に

Ver.5.0でのもう一つの大きなトピックがiOS対応である。

これまで「Mobile」はAndroid限定だったが、今回からAppleのiPhoneでも利用可能になった。日本市場ではiPhoneユーザーの比率が高いことを考えると、これは実質的な普及解禁と言っていい。動作も軽快で、操作中にもたつきを感じる場面は一切なかった。

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動画用途で光るA-BフォーカスとFCイーズ機能

動画ユーザーにとって注目したいのがA-BフォーカスとFCイーズ(フォーカスイーズ)だ。

まずA-Bフォーカスについてだが、A点からB点、B点からC点、またはA点からC点といった事前にピンを打ったポジションへフォーカス移動を自動で制御できる。

これ自体は以前から存在する機能なのだが、前述の通り今回から無線接続ができることでその自由度は格段に増している。

たとえば旅先で絶景に出会って動画を回したい!と思ったと仮定してほしい。このときに手前の前ボケを生かして後ろにある絶景にゆっくりとフォーカスを動かしていく…という表現をしようと思ったときに、三脚がないとかなり難易度の高い撮影になってしまう。オートフォーカスではいくら粘りを遅くしたとしても限度があるだろう。しかし、TAMRON Lens Utility Mobileがあれば話は変わってくる。この映像を見てほしい。

この映像は三脚が手元になかったため、カメラ本体(SONY FX2)の手振れ補正を「ダイナミックアクティブ」に設定し極限まで手ブレを抑え、同行者に合図を出してアプリのリモートボタンを押してもらい、自分は撮影に集中した。

設定も非常に簡単でいくつかやり方がある。この作例撮影時はリモートモードにしておき、最初にフォーカスを置きたいポイントでアプリ側の1番ボタンを長押し。これで最初のフォーカス位置が記録される。A点の設定が終わったらB点にフォーカスを合わせて今度は2を長押し。

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あとは1、2をそれぞれタップするだけでフォーカスをリモートで行き来させられる。

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実はレンズのボタンにA-Bフォーカスという機能を割り当てることでもっと簡単に使うことができる。ただ、このときは自分でボタンを操作するとカメラにブレが伝わりそうだったため、同行していた友人にリモートで押してもらった。ただ、ボタンを押してからフォーカスが動くまでのディレイも設定できるので、ワンオペかつ手持ち撮影でもそんな心配は無用で、カメラに振動を与えずフォーカスを送ることが可能だった。

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それどころか一度設定してしまえばアプリは不要。設定後はスマホを使う必要すらなく完全に自分1人でフォーカスを自在にコントロールできる。慣れれば手ブレで揺れるといった心配すらなかった。

そしてもう一つ、個人的に動画機能で一番刺さったのがFCイーズ機能

基本はA-Bフォーカスとほとんど同じだが、FCイーズはそのグレードアップ版といったところで、フォーカスを自動で送る際、緩急をつけることでなめらかに制御することができ、

  • ピント送りが自然になる
  • カクつきが減る
  • 映像が一段上の印象になる

といった効果が得られる。こちらの動画をご覧いただきたい。

いかがだろうか。どちらもフォーカス送りは10秒で設定していたが、比較すると明らかにFCイーズのほうが効果的なフォーカシングになっていると思う。これは編集で後処理するのではなく、撮影段階で映像の質を高めるアプローチと言える。特にワンオペ撮影や商品紹介動画、Vlogなど、“撮ってすぐ使いたい”スタイルとは相性が良く、TikTokやYouTube Shorts等に代表される縦型動画でも効果的な方法と言えるだろう。

静止画にも新しい表現を:フォーカスタイムラプス

静止画ユーザーにとって面白いのが、フォーカスタイムラプス機能。
タイムラプス中にフォーカス位置を少しずつ変化させることで、手前から奥へ視線が移動するような演出が可能になる。

これだけ聞くと派手な機能ではないが、

  • 商品撮影
  • コンセプト作品
  • SNS投稿用ビジュアル

など、差別化を狙う用途には十分な可能性を感じる。

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いくつか作例を撮ってみたのでご覧いただきたい。

1:グラスの奥にある日常

サイダーの入ったグラスから奥にいる家族へ少しずつフォーカスが移動。グラス越しに感じる幸福感をタイムラプスで切り取って表現してみた。

2:愛車とみなとみらいの夜景

これは作例というほどでは無いがタムロンのタムキューこと「90mm F2.8 MACRO (Model F072)」を装着して愛車(ミニカー)から少しずつみなとみらいの夜景、そのシンボルたる大観覧車にフォーカスが移っていく様子を撮影してみた。

いずれの作例にも言えることなのだが、タイムラプス中にフォーカスを送るとカメラに振動が伝わり、意図しないブレが発生する恐れがある。しかし無線接続ゆえにケーブルを引っ掛けたり、カメラが揺れたりする心配はかなり少ない。アプリ側で設定して撮影を始めてしまえば、あとはレンズ側が設定を覚えているためアプリは閉じて別の操作をしていても問題ない。この安心設計は非常に良かった。

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筆者の失敗として、撮影開始時にフォーカスを最初に設定したA点にしないでB点のままタイムラプス撮影を始めてしまい、600枚がフォーカスが動かないただのタイムラプスになってしまっていた。撮影はじめには必ずフォーカスをA点にすることを心がけて、皆様には撮影を楽しんでもらいたい。

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総評:レンズが「固定性能」ではなくなる時代

TAMRON Lens Utility Mobileの Ver. 5.0を試して感じたのは、レンズの在り方が変わり始めているということだ。

  • 撮影前に設定を作り込む
  • 用途に合わせて挙動を変える
  • レンズを自分仕様に近づける

つまり、レンズは「選ぶ」だけでなく「作り込む」対象へと進化しつつある。ハードウェアとしての進化だけではなく、ソフトウェア的な拡張によって撮影体験を向上させる――。
本アプリは、その流れを象徴する存在と言えるだろう。

TAMRON-LINKは複数あると便利ではある。1つ持っていれば対応レンズに付け替えるだけで楽しむことができるので、まずはタムキューをはじめ、対応レンズを持っている皆様にもぜひこの楽しさを体感していただきたいと思う。

まだ言うべきことはある!ぜひCP+2026会場へ

今回、「TAMRON Lens Utility Mobile」と「TAMRON-LINK」を使えば使うほど、手放せなくなった。さまざまな表現方法が思いついたのだ。まだまだ伝えきれないことが多いので、2月28日(土)13:30-14:10にCP+2026 タムロンステージで登壇することになった!題して「PRONEWS特別編:映像人必携!?「TAMRON Lens Utility Mobile」の全て!」と題して「TAMRON Lens Utility」と「TAMRON-LINK」への思いを叫びたいと思う!