360°カメラの撮影において、暗所でのライティングは常に悩みの種だった。一般的なLEDライトはレンズの死角に収まらず、それが映り込むことにより、360°映像にとって肝心の没入感を台なしにしてしまうからだ。

2026年2月に登場したHarlowe(ハーロウ)の「Harlowe Omni 360 2W」は、その問題を物理的に解決するための専用のライトで、最新の360°カメラDJI Osmo 360とInsta360 X5に対応している。

コールドシュー対応のマウントにより、ミラーレス機等に取り付けて活用することも可能である。

360°カメラ特有の「照明」という課題

360°カメラは空間全体を丸ごと記録できるという大きなメリットがあるが、その特性ゆえに、従来の撮影技法が通用しない特有のペインポイントも存在する。中でも暗所におけるライティングの問題は、ユーザーにとって長年の懸案であった。

360°撮影で照明を必要とする場面は、夜間等の低照度下の撮影、地下設備やインフラの保守、屋根裏等の暗所の点検、屋内で人物をきれいに撮影したい場合、逆光の際の人物へのレフとしての活用など多岐にわたる。

しかし、一般的なLEDライトを使用すると、レンズの死角にライトを収めることが困難となり、360°の映像内に照明器具自体が写り込んでしまう。これが、360°映像最大の利点である「没入感」を著しく損なう要因となっていた。

360°撮影のライティングを解決する「Harlowe Omni 360 2W」の登場

この度、日本国内で発売された「Harlowe Omni 360 2W」は、こうした課題を解消するために開発された360°カメラ専用のパノラマフィルライトである。一般的なポケットLEDが限定的な範囲を照射するのに対し、この製品はコンパクトな筐体でありながら、360°全周囲を均一に照らす設計により、明るさのムラや影の変化を抑制する効果が得られる。すなわち、暗所においても自然なテイストの空間ライティングが実現できるのだ。

本製品の登場によって、以下に挙げるような多様なユースケースにおいて、360°撮影の成果物のクオリティーが向上するだろう。

  • 不動産などの360°パノラマ撮影:照明器具を映像内に露出させることなく、暗い室内を照らして、空間のディテールをリアルに再現する。
  • 観光Vlog:旅先の夜の街歩きや光量の足りないホテルやカフェなどの室内における人物/自撮り撮影。
  • アクションPOVシーン:激しい動きを伴う夜間や雨天時のアクティビティにおいても、照明の映り込みを気にせずに撮影を実行できる。

「Harlowe Omni 360 2W」の主な仕様

「Harlowe Omni 360 2W」の主な仕様は、以下の通りである。

  • サイズ:71/45/24mm
  • 重量:約55g
  • 出力:通常2W / 最大4W(200%オンデマンドブースト)
  • 色温度プリセット:2700K/3500K/4500K/5500K/6500K
  • 明るさレベル:25%/50%/75%/100%/200%(ブースト)
  • バッテリー:3.7V 600mAh(2.22Wh)
  • 連続駆動時間:100%出力で約1.5時間、50%出力で約3時間
  • 保護等級:IP54(防塵・防沫仕様)、小雨や粉塵環境下での屋外使用に対応
  • 演色性:CRI 95、TLCI 95
  • 装着方式:磁気式メタルコールドシューを装備し、素早い着脱が可能

超薄型・軽量で、「映らない」プロダクトデザイン

「Harlowe Omni 360 2W」は、最新の360°カメラであるInsta360 X5とDJI Osmo 360に対応して設計されている。

71mm×45mm×24mmという小型・薄型のフォルムを採用し、デュアルレンズの死角を活用することで、機材の映り込みを防ぐ構造を実現、映像への映り込みを最小限に抑えている。また、重量はわずか53gと極めて軽量であり、カメラのハンドリングを損なわない。

大規模なセットアップを必要とせずに、単体で高品質な光を提供する。

マウントには、繰り返しの着脱に耐えうるアルミニウム製コールドシューを採用しており、ケージへの素早い着脱が可能な上、アクションシーンなどの過酷な環境下でも、設置時の安定性が確保される仕様だ。

また、マウント底部はマグネットを内蔵しており、任意の場所の鉄製の表面に直接吸着させることで、ライト単独での運用も可能になる。

アルミニウム製コールドシューを採用したマウント。マグネット内蔵だ

操作性を妨げない専用ケージ

「Harlowe Omni 360 2W」では、Insta360 X5およびDJI Osmo 360用のクリエイターキットとして、専用のアタッチメント(ケージ)が展開されており、カメラにケージを装着し、そのケージにライトを設置する仕組みになっている。

ケージは軽量なアルミニウム合金製で、カメラの操作系に干渉しないように設計されている。映像への映り込みを極力排除しながら、ライトを縦使いと横使いのそれぞれ最適な位置へ固定できる。

筆者が、Insta360 X5にケージを取り付け、その天頂に「Harlowe Omni 360 2W」を設置して「ケラれ」を検証してみたところ、映像への機材の映り込みは確認できなかった。DJI Osmo 360の場合は、天頂に僅かに映り込みが見られたが、全方位照明のメリットを踏まえればトレードオフの範囲と考えられる(底面のスタンドのベースなども、後処理をしない限り、基本的には映り込むものだから)。

「Harlowe Omni 360 2W」 専用アタッチメント(ケージ)。DJI Osmo 360用(左)とInsta360 X5用(右)
Insta360 X5、DJI Osmo 360共に、ケージの天頂とサイドに「Harlowe Omni 360 2W」 を取り付けることができるので、縦使いと横使いでライトを配置することが可能だ
ケージは、カメラ本体のタッチパネルや物理ボタン、バッタリーカバー、三脚ネジ穴等、操作系に干渉しない設計になっている
筆者のよる「Harlowe Omni 360 2W」及びケージの映り込みの検証(Insta360 X5の場合)
天頂部にライトを設置しているがケラれは見られない(底面の黒い映り込みは、スタンドによるもの)

撮影目的に応じたモード切り替えと直感的な操作性

「Harlowe Omni 360 2W」は、前述の通り、被写体の周囲に均一に光を分散させる「パノラマフィルアプローチ」を採用しており、屋内から屋外、日向から日陰へ移動しても、空間を包み込むような安定したライティングを実現する。 光源はデュアルビームの構造で、撮影目的に応じて照射モードが切り替えられる。

没入型撮影用の360°全方位モードと、前面または背面のみを照らすことで、照射範囲を制御しつつ、バッテリー消費も抑えることができる180°指向性モードの切り替えが可能になっている。180°指向性モードは、照らしたい被写体が片方向にしかない場合やシングルレンズモードを使用する場合などに適している。

輝度は、25%/50%/75%/100%の各レベルに調整が可能。また、30秒間限定で、標準出力の2Wから最大4W(200%/280ルーメン)まで出力を引き上げる高輝度ブーストモードが用意されており、トンネルや路地裏などの決定的な暗所で、瞬間的に光量不足を補うことができる。

そして、同社のLEDライト全般における共通した特徴でもあるのが、高い演色性能だ。

「Harlowe Omni 360 2W」のCRI 95/TLCI 95の演色性は、光源が混在するような環境下においても、肌の色が自然に再現され、プロフェッショナルな要求に応える高品質な色の精度を実現するものだ。

色温度は、2700Kから6500Kまで、5段階のプリセットの切り替えが可能になっており、環境に合わせて調整できる。 また、物理的なボタン操作の他に、20cm以内の距離で手を2回振ることで、機材に触れずにON/OFFの切り替えが可能となるジェスチャーコントロール機能が搭載されており、アクションシーンの撮影中なども、ハンズフリー(タッチレス)で操作ができる。

さらには、最後に使用した輝度と色温度の設定を保存して、次回の起動時に即座に再現するモードメモリー機能も備わっている。

耐久性は、IP54相当の防塵防滴性能を備え、雨天や工場や建設現場等の環境にも対応する。

夜間にHarlowe Omni 360 2Wを使用した人物撮影の作例(Insta360 X5にて撮影した360°動画をリフレーム)

人物が向こう側よりカメラまで近づいてくる際のHarlowe Omni 360 2Wの照明効果のテスト(Insta360 X5)
柔らかい照明が馴染んでおり、違和感がない

色温度の違い OFF/2700K/3500K/4500K/5500K/6500K(Insta360 X5にて撮影)

暗い公園内で、Harlowe Omni 360 2Wのオフ/オンの比較撮影テスト。Harlowe Omni 360 2Wを用いた動画の後半部分を見ると、シャドウ部のデティールの再現性が向上しているのがわかる

VR180用のカメラ Q3 Ultra VR180に、Harlowe Omni 360 2Wを載せてテスト撮影
Harlowe Omni 360 2Wを使ったQ3 Ultra VR180のサイドバイサイドの画像。VR1803D撮影においても、問題なく照明効果が得られる

Harlowe OMNI360 2Wの使い方

Harlowe OMNI360 2Wの使い方は、次の通りである。

  1. 電源のオン/オフ
    電源オン:電源ボタンを短押しすると点灯する。
    電源オフ:点灯後5秒以内に電源ボタンを短押しすると、輝度レベルが切り替わり、最終的に消灯になる。
    点灯から5秒以上経過している場合は、短押しで即座に消灯する。
  2. 発光面モード
    点灯中にCCTボタンを1.5秒間長押しすると、発光面が切り替わる。
    モード順:前面→背面→両面
  3. 輝度調整
    電源オンから5秒以内に電源ボタンを短押しするたびに、輝度が以下の順で切り替わる。
    25% → 50% → 75% → 100% → オフ
  4. ブーストモード
    点灯中に電源ボタンを1.5秒間長押しすると、ブーストモード(出力200%)に入る。ブーストは30秒間持続し、その後、元の輝度レベルに戻る。
  5. 色温度調整
    点灯中にCCTボタンを短押しすると、色温度のプリセットが次の通り、切り替わる。
    2700K → 3500K → 4500K → 5500K → 6500K
  6. ジェスチャー(ウェーブ)センサー
    有効/無効:電源ボタンとCCTボタンを同時に短押しして切り替える。
    有効時は上部のセンサーインジケーターが緑色に点灯する。
    操作:上部センサーの感知範囲(20cm以内)で手を2回振ると、ライトのオン/オフが切り替わる。
  7. モードメモリー機能
    特定の輝度と色温度の組み合わせで5秒以上使用すると、その設定が自動的に保存される。次回、電源を入れた際(電源ボタン短押し時)、最後に保存された輝度と色温度で点灯する。
  8. 充電およびバッテリー残量表示
    充電:付属のType-Cケーブルを本体の充電ポートに差し込んで充電する。
    残量表示:4つのLEDで残量を表示する。
    4灯点灯:100%
    3灯点灯:約75%
    2灯点灯:約50%
    1灯点灯:約25%

まとめ:360°クリエイターにとっての定番ツール

今回、取り上げた「Harlowe Omni 360 2W」の製造元のHarlowe(ハーロウ)は、中国・上海のAEC Lighting Solutions社が手掛ける映像制作と写真撮影向けのLED照明ブランドだ。

2024年に旧「Hobolite」からリブランドされ、現在の名称へ移行した。

親会社が有する25年以上の照明技術を基盤に、ポケットサイズの小型モデルからプロ仕様の300Wクラスまで、高品質なLEDライトを幅広くラインナップ。高演色性(CRI/TLCI)の追求やフレネルレンズによる高効率な集光性能を特徴とし、携帯性と直感的な操作性を両立させた製品をリリースしている。

また、1920年代のクラシックカメラを彷彿とさせる高級感のあるデザインは、iFデザイン賞やRed Dot賞などの国際的な評価を受けている。

スムーズなセットアップと多様な電源供給への対応、直感的なインターフェースを備えた製品群は、現場の要求に即応し、ハイファッションからインディーズのドキュメンタリー制作まで、多岐にわたる撮影現場で支持されている。

新製品の「Harlowe Omni 360 2W」は、同社の既存ユーザーからのフィードバックとニーズに基づき、360°撮影特有のライティング課題を解決するために開発された同社初の360°照明ソリューションだ。

携帯性の良い小型ライトであると共に、360°映像最大の価値である没入感を損なわない専用ツールとして設計されている点は、今までありそうでなかった360°カメラユーザー待望の製品である。

Insta360 X5やDJI Osmo 360を愛用するクリエイターにとっては、低照度撮影時の備えとして、必携のアイテムとなることだろう。

Harlowの製品群の一部。ポケットサイズの小型モデルからプロ仕様の300Wクラスまで、高品質なLEDライトを幅広くラインナップしている

「Harlowe Omni 360 2W」のラインアップと価格(税込)

  • Omni 360 2W スタンダードキット:税込11,900円
    内容:ライト本体、充電ケーブル、クイックスタートガイド、磁気コールドシュー
  • Omni 360 2W クリエイターキット(Insta360 X5向け):税込19,900円
    内容:ライト本体、専用軽量アルミニウムケージ(デュアルコールドシュー、1/4インチネジ穴付)
  • Omni 360 2W クリエイターキット(Osmo 360向け):税込19,900円
    内容:ライト本体、専用軽量アルミニウムケージ(デュアルコールドシュー、1/4インチネジ穴付)
  • 単品アタッチメント(Insta360 X5用 / Osmo 360用):税込各10,900円

WRITER PROFILE

染瀬直人

染瀬直人

映像作家、写真家、VRコンテンツ・クリエイター、YouTube Space Tokyo 360ビデオインストラクター。GoogleのプロジェクトVR Creator Labメンター。VRの勉強会「VR未来塾」主宰。