北陸放送機器展のITGマーケティング株式会社ブースでは、映像制作の現場におけるデータ管理とセキュリティを強化するための新製品が複数展示された。

その一つは、日本国内で販売が開始されたポータブルSSDエンクロージャー「OWC Express 1M2」である。本製品はUSB4に対応し、最大40Gbpsという高速なデータ転送を実現する。製品ラインナップには、1TBから8TBまでの容量を持つモデルに加え、ユーザーが別途M.2 NVMe SSDを組み込んで使用できるエンクロージャーのみのモデルも用意されている。同社ブースでは、Samsung製の高性能SSD「990 PRO」との組み合わせが推奨されていた。また、大型のヒートシンクを備えることで、高速データ転送時においても安定した性能を維持する設計となっている。


もう一つのOWC社製品は、ハードウェア暗号化機能を搭載したポータブルSSD「Guardian」である。この製品の最大の特徴は、本体にカラーのインタラクティブ・ディスプレイ・スクリーンを搭載している点にある。これにより、PCに専用ソフトウェアをインストールすることなく、SSD本体の画面操作のみでパスワード認証を行い、ロックを解除することが可能である。



パスワードは6文字から30文字まで設定でき、データの読み込み専用とするリードオンリーモードも備えている。Mac、PC、LinuxなどOSを問わずに利用できるため、多様な制作環境でのデータ保護に貢献する。放送局のように高いセキュリティが求められる現場での活用が期待され、容量は1TB、2TB、4TBが用意されている。なお、国内での発売時期は現在調整中である。
さらに、ClouZen社のマルチカードバックアップソリューション「OFFLOADER」も注目を集めていた。これは、撮影現場で発生する多数のメモリーカードのデータを、効率的に外部ストレージへ一括でコピーするための機器である。展示されていた標準モデルには、8つのSDカードスロットと4つのCFexpress Type Aカードスロットが装備されている。挿入された複数のカードから、接続されたポータブルSSDへ順次ベリファイコピーを実行する。

コピー先のSSDは複数接続でき、同時に同じデータを書き込むミラーリングにも対応しているため、データの保全性が高められている。コピーの進捗状況は各スロットのLEDランプで視覚的に確認可能だ。
テレビのバラエティ番組のロケなど、多数のカメラで撮影を行い、大量のSDカードが発生する現場において、撮影後のデータ管理作業を大幅に省力化する。また、Vマウントバッテリーでの駆動に対応し、本体が軽量であるため、ロケ現場への持ち運びも容易である。2025年1月の発売が予定されている。
