Inter BEE 2025の株式会社アスクのブースにおいて、Vizrtの最新ライブプロダクションシステムが公開された。中でも来場者の関心を集めたのは、従来の最上位機種「TriCaster 2 Elite」の後継モデルとなる「TriCaster Vizion」である。この新フラッグシップモデルは、ハードウェアのプラットフォームを一新し、HP製のタワー型ワークステーション、または1Uラックマウント筐体を採用した点が大きな特徴だ。基本性能も強化されており、映像入力数は従来の36系統から44系統へと拡張されている。
機能面ではAI技術の導入が進んでおり、出演者の視線を自然に補正する機能や、発話者の声を背景音からクリアに分離する「ニューラル・ボイス・アイソレーション」といった高度な処理が可能となった。さらに、HTML5ベースのグラフィックスエンジンである「Viz Flowics」のライセンスが同梱され、よりリッチなグラフィックス表現が標準でサポートされる。展示スペースには、これらと組み合わせて使用する新型のコントロールパネル「Flex Dual」も設置され、ハイエンドな制作環境の新たな形が示された。
また、ハードウェア一体型が主流であったTriCasterシリーズにおいて、初となるソフトウェア単体版のリリースも発表された。ブースではLenovo製のワークステーションにインストールされた状態で展示が行われていた。このソフトウェア版は入門機という位置づけであり、入力数は8チャンネルとなるが、指定されたスペック要件を満たすPCであれば、汎用的なハードウェア上でTriCasterの機能を利用できる柔軟性が魅力である。手持ちのPCで動作するかを確認したいユーザーのために、Vizrtの公式サイトでは30日間無償で使用できる体験版のダウンロード提供も行われている。
