Inter BEE 2025の会場において、中国のシネマレンズメーカーであるElysas(エリササ)のブースを訪れた。注目を集めていたのは、今回が日本初公開となるシネマ用単焦点レンズシリーズ「Muse Prime(ミューズプライム)」である。このレンズ群はT1.8という明るい開放値を持ち、メーカーが最大の特徴として挙げる「とろけるようなボケ」を実現している。特定の焦点距離に限らず、シリーズを通して統一されたボケ味と映像の質感が再現されるよう設計されており、描写の一貫性が保たれている点は制作現場において重要な要素となるだろう。

機能面で特筆すべきは、その軽量性である。堅牢なPLマウントを採用していながら、重量は約900gに抑えられている。実際に実機を確認してもその軽さは際立っており、ジンバルやドローンといった機材への搭載を含め、運用の自由度を高める設計となっている。また、ユニークな試みとしてカスタマイズサービスが提供されており、ユーザーはレンズ筐体のカラーリングや、画作りに影響するレンズコーティングを選択して、独自の仕様をオーダーすることが可能だ。現在は7本のレンズが1セットとして展開されている。

ブース内では、富士フイルムの映像制作用カメラ「GFX ETERNA」と組み合わせた展示が行われていたが、これは単なるデモンストレーションにとどまらない。Elysasは現在、富士フイルム製カメラに特化した次期レンズの開発を進めているという。この新モデルはイメージサークル55mmをカバーし、ラージフォーマットセンサーのオープンゲート撮影にも完全対応する仕様となる見込みだ。この次世代レンズについては、2026年のNAB Showでの正式なお披露目が予定されており、今後の展開にも期待が寄せられる展示内容となっていた。