主要メーカー各社の動き
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IBCでは日本メーカー各社からもいくつかの動きがあった。展示に関してはとくにソニー、パナソニックといった大手2大メーカーが昨年出展していないことから、今年の出展に際しては欧州での期待値も高かったようだ。IBCは欧州全体の放送局の数も多い事や、PAL圏ということで中東やアフリカ諸国、中央アジア、また中国、韓国を中心としたアジア圏からも出展社、来場者が多く、NABよりもバラエティに富んだ内容となっている。
ソニー : ショルダータイプの2眼式3Dカメラが話題に!
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XDCAM HDシリーズの4:2:2対応のメモリーカード収録モデル「PMW-500」を発表。ディスク収録以外のXDCAM HDシリーズ(4:2:2対応)初モデルとなる。XDCAM EXとの差別化は4:2:0がEX、4:2:2がXDCAM HDとなる。
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35mmサイズカメラではF35の兄弟分となる、PLマウントのHDCAM-SRカメラ 「SRW-9000PL」を出品。また今春のNABのプレスカンファレンスのみで一瞬発表された小型35mmアフォーダブルカメラ(PLマウント)のモックアップと、簡単なテストデモ映像を参考展示。暗部の諧調やノイズがかなり低減されているようだ。この小型35mmアフォーダブルカメラは今年度末(2011年3月末)までにリリーズの予定で準備が進められている。
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また3D関連技術では参考出品は2眼式ショルダータイプの3Dカメラモデルも展示。パナソニックの3Dカメラ/AG-3DA1(60mm)よりもレンズの間隔が狭く(約45mm)設計されている。また2D画像から3D画像への変換技術に関しても技術展示が行われ、マルチイメージプロセッサー「MPE-200」にソフトウェアモジュールを追加する方式で提供する。
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その他、技術展示として面白かったのは、3台のHDカメラを並列撮影し、各カメラの画角の歪みを調整して横長1枚のパノラマ映像を生成、そこから任意の画角を切り出しながら、ズームアップできる技術。サッカーコート全域をカバーしつつその中でボールを中心にクローズアップできたりする。またオフィシャルではないが、上部にXDCAM EX3/下部にXDCAM EX1Rとというハーフミラー式の3Dリグで、3,500ドルという破格の3Dリグがソニーブース内で特別に展示されていた。これはハリケーン撮影などを手がけている撮影監督/ステレオグラファーのAlister Chapman氏の制作によるもので、今後「Hurricane-rig(ハリケーン・リグ)」として販売もしていくようだ。
パナソニック : 4/3型MOSセンサーAVCHDカメラ「AG-AF105)」実機初展示
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このIBC2010で発表されたカメラの中でも最も注目されたのが、パナソニックのマイクロフォーサーズレンズマウントと4/3型MOSセンサーを搭載したAVCHDカメラレコーダー、「AG-AF100(国内型番はAG-AF105)」だろう。実機初展示となるが、今回はまだβ版ともいえる仕上がりのようだ。4/3レンズ以外にマウント変換で多彩なレンズを利用できることや、DSLR的な被写界深度を得られることが売りだが、これまでのP2カムコーダーで培ってきたバリアブルフレーム(VFR)対応などもフル機能搭載されている。またこのAG-AF100からはVFRも1080/収録に対応、1080フルHDでのバリアブルフレームレート収録を20段階の設定から収録可能になる。またハンドルやグリップも脱着可能で、様々な撮影現場にフレキシブルに対応する。会場ではPLマウントでカールツァイスのコンパクトプライムレンズを装着したものやオリンパスの4/3レンズの装着モデルを紹介。
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その他では、話題の3DカメラAG-3DA1はもちろんのこと、新製品として2/3型3CCD、AVC-Intra4:2:2の放送用カメラ「AJ-HPX3100」、AVCCAMのセミショルダータイプカメラ「AG-HMC81」、ポータブルミキサー「AG-HMX100」などを発表した。
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キヤノン : 小型1/3単板CMOS搭載「XF105/100」を新発表
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今夏に発売された4:2:2/50Mhz/MXF対応のメモリーカムコーダーXF305の下位機種にあたる、小型1/3単板CMOSを搭載した「XF105/100」を新たに発表。基本的な機能はXF305/300をほぼ踏襲しつつも、新機能として搭載された「オプティカル・イメージ・スタビライザー」機能の応用による3D撮影が話題に。この新機能で安定した光軸を設定調整できる。ブース内ではこれを使用した日光東照宮での3D撮影デモ映像などを上映公開した。その他CFカード2スロットを同時収録可能など多彩な機能満載。
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相変わらず5D markⅡは欧州周辺各国でも大人気で、この年末から発売される新しいEFレンズも紹介され、注目を集めた。
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取材・文:石川幸宏 構成:編集部
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