今回のIBC2010では、Hall9を全面Connected Worldという企画展示に当てて、IPTV、デジタルサイネージ、モバイルTVなど、これからの新たな映像技術や新分野のテクノロジーを集めた専門の展示ブースが設けられた。それぞれが細かいブースだが、出展国も様々で目新しい技術展示ということで多くの来場者の注目を集めていた。
Digital TAG
マグネットで貼付けられる2.4インチモニター付きコンパクトなデジタルサイネージユニット。対応フォーマットはAVIとJPEGで、2GBのフラッシュメモリー内蔵でMP3とWMAオーディオファイルでプレイ可能。USB経由でパワーチャージできる。観光地のみやげ物屋で売っていそうな商品だが、世界一小さい”パーソナル・デジタルサイネージ・プレイヤー”とのこと。台湾のSUNグループの製品。
SAMSUNG
サムスンのブースでは世界初のHDTV 3D放送を、海外では発売開始している話題の超薄型LED 3D TVで上映。
Cal-scope3D Stereoscopic analyser
Cal-soft社の、ライブ3D撮影時に左右の像の立体深度状況をリアルタイムに分析する3Dリグ/アシスト用のソフトウエア。ライブリソースはHD-SDI、HDMI、3G、SDI、HDV、DVとマルチ対応。SD,HDはもちろん2Kまで対応。
MULTI TOUCH
最近色々なところで見かけるいわゆる大きな”iPhone”的なデジタルサイネージビデオウォール『マルチタッチ』。フィンランド製のこのサイネージテクノロジーは、パネル上にある画像コンテンツにタッチするとその静止画像が動画として再生されたり、違う画像に変化したりする。タッチセンスはiPhone/iPadライクなもの。最新バージョンではさらに薄くて明るいものになった。
miniCaster
ドイツ製のminiCasterは、ヨーロッパのストリーミングプラットフォーム『TV1.eu』を利用して、ハンディHDカメラの上に取り付けられるモバイルエンコーディングデバイス。iPhoneやiPadで視聴可能なH.264コーデック、もしくはFLASHムービーで、LAN、USBメモリサイズのWiFi、3G回線を使って、いつでもどこでもワイヤレス・ストリーミングライブ中継が可能になる。
Post Production Zone
さらに紹介しきれていないサービスや商品を紹介していこう。 ノンリニア関係メーカーの出展するHall 7の中央には、各ノンリニアソフトのハンズオンセミナーを行うコーナー「Cut It」が設けられており、会場内で唯一Apple社の文字を目にすることができる。Apple Final Cut ProやMotion、Colorのハンズオンはやはり欧州で人気のセミナーだ。その他、Adobe CS5の各ソフトやTELESTREAM SCREENFLOW、MAXON CINEMA 4D、SORENSON SQUEEZE などのセミナーが開催されていた。
アストロデザイン
個別のブース出展はなかったものの、デジタルシネマカメラとシネレンズの販売代理店bandproのブースで、アストロデザインがその一角を同社ソリューションブースとしてプレゼンを行っていた。新製品の2K SSDレコーダーHR-7502による非圧縮2Kレコーディングが可能なポータブルレコーダー。多彩なフォーマットに対応、3.5インチの液晶パネルを備え、その場で 収録した映像の再生・確認が可能だ。SSDは交換可能なユニット(SDDパック)で、SSDパックを複数用意することにより、長時間撮影も可能、HD-SDIシングルリンク2048(1920)×1080 60iにて約47分、HD-SDIデュアルリンク2048(1920)×1080 24pにて約33分収録可能。
http://www.astrodesign.co.jp/ELEMENT TECHNICA
3Dリグメーカーの同社ブースでは、RED EPICによる小型の3Dリグが展示。結線はされていなかったので単なるデモ展示の模様。
http://www.elementtechnica.com/
Autodesk
IBC2010開催3日目に初のパッケージ製品、「Autodesk Flame Premium 2011」(以下、Flame Premium)を発表したオートデスク。Flame Premiumは最新の2011バージョン Extension 1の「Autodesk Flame」、「Autodesk Smoke」、「Autodesk Lustre」各ツールを1つのパッケージにまとめた製品。既存の製品ユーザーはクロスグレードを行うことで、さらに低コストで全てのツールを手に入れることが可能になる。会場のブースではSmoke for macのハンズオンコーナーが設けられており、連日満席の受講者で盛況だった。
AVID
ノンリニア関係がひしめくHall7の一番奥に最大のブースを構えたアビッドテクノロジー。今年はNABで発表した新製品、Media Comporser 5の製品プレゼンと、各種ソリューション紹介を中心にブース展開。
Digital Rapids
DPS社の役員が2001年にスピンオフして出来たDigital Rapids社。Leitch社のDSP買収(現在はさらにHarrisに買収)を機に、元DPSの技術者が集結、StreamZなどエンコード製品を中心に高品位なエンコードソリューション製品の開発を進めている。昨年末にようやく製品出荷が開始されたユニークなデザインの、タッチパネル型ポータブル/リアルタイムエンコーダー「Touch Stream アプライアンス」は、今年2月のバンクーバー五輪でもNHKのライブストリーミング配信に活用された実績を持つ。IBCではiPad出力に最適化された付加機能などを発表。国内ではDPSJ(日本デジタル・プロセッシング・システムズ(株))が国内販売代理店。
取材・文:石川幸宏 構成:編集部
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