txt:江口靖二 構成:編集部

JD.comという会社をご存知だろうか。筆者は正直全く知らなかった。簡単に言うとこの会社はAmazonの中国版みたいなものだろうか。CSE2019で一番驚いたのはこの会社である。ウイキペディアによると

京東商城 (ジンドンしょうじょう、ピン音:Jīngdōng shāngchéng、あるいはJD.com)は、中国で360buyを経営していた劉強東が設立したWebサービス会社。中国北京市朝陽区に本社を置き、同社のECサイトである「JD.com」では、家電・PC・家具・衣類・食品・書籍などの商品をネット販売している。2014年にNASDAQに上場、2015年現在中国国内の通販サイトのシェア56.3%を占めている。

となっている。そしてJD.comに関してはネット上の日本語のリソースが非常に少ない。こちらのビデオをご覧いただくと、その全体像と先進性がよくわかっていただけると思う。

JD.comはオンラインのコマースからスタートして、スーパーハイテクな物流体制を構築しつつある。自動化された物流基地をすでに2箇所稼働しており、自動運転のモビリティビークル、ドローンなども駆使した物流体制を目指しているのは先程のビデオでもおわかりいただけるだろう。

最終至近距離まで輸送するオートノマスビークル
輸送用のVTOLドローン

輸送に用いる自動車のハイブリッド化、梱包資材の削減などの環境対策、また衣料や書籍、おもちゃなどの寄付の仕組みなど、先程のビデオでは誇張されている部分も多々あるだろうが、極めて先進的である。さらにオンラインでの購入体験をリアルな場所に持ち込むように、ARを利用したフィッティングにも進出しようとしているようだし、AmazonGOのようなリテールショップも展開していくようようである。

日本ではGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)のことはよく知っているし、それらを高く評価する向きが多い。それを否定するものではないが、実は中国にはGAFAに該当する、あるいはそれ以上の企業が複数存在する。百度(バイドゥ)は検索エンジンベースの企業だが、AIテクノロジーで世界最先端を行くし、BUYTONはテスラを超えるコネクテッドカーのハードウエアスタートアップだ。アリババやWeChatなども同様に中国企業である。

いわゆるバーチャリフィッティング。今どきなので普通に3Dレンダリングされる

中国は情報を閉じることで国内企業を実は守っている。なんと言っても国内だけで14億もの人口を有するので十分な市場がある。テクノロジーのノベーション時期においては天才やイノベーターが出現する確率は、国や人種にかかわらずほぼ一定と思われるので中国が優位になる。日本が中国を甘く見ている間に彼らは爆速でイノベーションを進めているわけだ。

AR Styling Stationはスマホアプリで、口紅やカラーコンタクトレンズを試してオンラインで購入可能。これのリアル店頭用のバージョンを展示

txt:江口靖二 構成:編集部


Vol.06 [CES2019] Vol.08