ソニーブースでは、次世代クラウド制作プラットフォーム「Creators’ Cloud」や、オンプレミスクラウド・ライブプロダクション「Networked Live」など、撮影から編集、そして配信まで映像制作を総合的にサポートするソニーの最新ソリューションを展示。

また、Cinema Lineカメラの新製品として、ラインアップ初となるレンズ交換式リモートカメラ「FR7」や、若手クリエイター向け小型カメラ「FX30」、CineAltaカメラ「VENICE 2」向けのカメラヘッド延長システム「CBK-3620XS」などの最新カメラ群を展示した。

さらに、バーチャルプロダクションスタジオ展示として、Crystal LEDを4Kサイズで設置し、背景映像の仮想空間と実物の被写体を同時に撮影し、合成する制作環境を披露した。

次世代クラウド制作プラットフォーム「Creators’ Cloud」

撮影から配信までを知るソニーの「Creators’ Cloud」は、迅速かつ効率的な制作環境を実現する次世代のクラウド制作プラットフォーム。Inter BEE会場ではCreators’ Cloudで提供される5つのサービス「C3 Portal」、「Ci Media Cloud」、「M2 Live」、「A2 Production」、「NavigatorX」を展示した。

クラウドカメラポータル「C3 Portal」

C3 Portalは、現場で撮影した素材を、カメラから直接クラウドへ伝送するなど、映像制作の迅速化をサポート。パッケージソリューション(SaaS)のため、システム構築作業や定期的なアップデート・メンテナンスが不要。デバイスライセンスにより、接続できるカメラの台数をフレキシブルに拡張できる。

ソニー製カメラで撮影した映像素材を、シームレスにクラウドへ伝送するためのゲートウェイ機能を提供しており、従来のメディア連携からメディアレスでの素材伝送にすることで、プレビュー・共有フローの常識が変わるとしている。

クラウドメディアストレージ「Ci Media Cloud」

ハリウッドの制作現場から生まれたクラウドメディアストレージのCi(シー)は、使いやすいUIで、収録素材や編集映像ファイルを社内外の制作チームで共有・共同作業を実現する。使用に際して特別なアプリケーションは不要で、Webブラウザ上で、素材の収集から制作、公開、アーカイブ、Asperaによる高速ファイル転送と、メディアライフサイクル全体をサポートする。柔軟かつシームレスなコンテンツ管理、リモート制作をサポートする様々なコラボレーションツールが搭載されている。

Ci Media CloudのUI

クラウド中継システム「M2 Live」

配信を中心にライブ映像制作が可能なサービス。スイッチング、ロゴ重畳、動画再生など、多彩な映像処理をクラウド上で実現する。今回の展示では、2023年2月以降にリリース予定の新バージョンV1.1を国内初展示。同アップデートにより、シーン(スナップショット)機能を追加した新GUIとなり、プログラム(PGM)収録機能や、オーディオコメンタリ機能、自動ダイジェスト編集連携、簡易リターン/タリー機能などの搭載、リアルタイムCGサービス連携に対応となる。

AI映像解析サービス「A2 Production」

「Media Analytics Portal」を進化させ、SaaSサービスとして2023年2月以降に提供予定のAI映像解析サービス「A2 Production」を国内初展示。AI技術を活用し、映像制作のDXを促進する映像解析サービス。複数のAIエンジンを統合管理し、映像・音声コンテンツの解析、自動編集、配信等が行える。

ワークフローソリューション「NavigatorX」

NavigatorXは、映像資産の統合管理と運用自動化を実現するワークフローソリューション。クラウドとオンプレミスの両方に対応しており、ハイブリッドクラウド環境を提供する。2022年11月上旬にリリースされたばかりの、クラウド環境での提供に最適化した「NavigatorX Cloud」も展示された。

ソニーの担当者は、「メディア業界は多種多様なコンテンツの作成や、新しい映像体験の提供が視聴者を獲得する上で重要になっており、限られた制作人員で、迅速かつ効率的に映像コンテンツを制作し、市場の変化に素早く対応することが、業界共通の課題として挙げられており、Creators’ Cloudは、この課題の解決の一助となることを目指します」とコメントしていた。

オンプレミスクラウド・ライブプロダクション「Networked Live」

Networked Liveは、放送局などが使用するネットワークの効率化に加え、オンプレミスやクラウドに分散した制作リソースを必要に応じて組み合わせることで、場所や規模を問わずライブプロダクションの環境を構築することが可能。

ライブプロダクションスイッチャー「MLS-X1」

Inter BEEでは、ライブプロダクションスイッチャー、Nevionソリューション、リモートプロダクションコーナーで構成された展示を披露。国内初展示となるライブプロダクションスイッチャー「MLS-X1」は、スタッカブル構造を採用し、さまざまなシステム規模に柔軟に対応する。

Nevionソリューションは、VideoIPath/Virtuoso/eMergeを活用し、分散プロダクションの実現を紹介していた。リモートプロダクションコーナーでは、JPEG XSによる圧縮で、ST 2110でも限られた帯域での伝送を可能にすると紹介していた。

CineAltaカメラ「VENICE 2」「VENICE」、エクステンションシステム2「CBK-3620XS」

CineAitaカメラVENICEの展示コーナーでは、新商品のVENICEエクステンションシステム2 「CBK-3620XS」を装着した状態で展示。使い勝手がさらに向上しているという。RCPリモートと組み合わせた実機も展示しており、多用途性を実機で体感できるようになっている。

VENICEエクステンションシステム2「CBK-3620XS」

CBK-3620XSは、中間コネクタなしで、カメラヘッドを12m延長可能。カメラヘッドの小型・軽量を活かし、ジンバルへの搭載、ハンディでの撮影、狭い車内での撮影、3Dリグへの搭載など様々なシーンで活用できるだろう。また、エクステンションシステムにも水準器を搭載。CBK-3610XSでは不可能だったエクステンションシステム利用時のチルト・ロール情報のメタ記録に対応し、VFX・合成等での使い勝手が大幅に向上している。さらに、カメラヘッド側にASSIGN5、6、7ボタンを追加搭載し、合計4つのアサイナブルボタンが使用可能。NDフィルター変更や、RECのスタート・ストップ等をアサインして使い勝手を向上させている。なお、CBK-3620XSは2023年1月に発売予定。

ドローン「Airpeak」

ソニーがプロフェッショナル向けに展開するドローンAirpeakの実機および送信機(プロポ)とiPad、Webアプリ(ノートPC)、新商品のバッテリーステーションと新バッテリーを展示。

新製品の高容量バッテリー(写真下)とバッテリーステーション(写真上)

新商品のバッテリーステーションは、8本の充電スロットと、2本の収納スロットで構成されており、4本ずつ同時に充電が可能。また90%充電が可能なQuickモードを搭載しており、従来より効率的なバッテリー運用が可能となる。さらに、バッテリーを飛行機で運搬したり、適切な保管を行うための放電機能も搭載している。その他にも、送信機用のバッテリー充電や、シガーソケット搭載によるiPadやカメラなどの充電も可能だ。バッテリーステーションと新バッテリーにより、これまでできなかった長時間の継続運用を実現するとしている。

ソニーは会場展示と合わせて、クラウドソリューションや多彩なカメラの活用例などが学べるオンラインセミナーを開催している。詳細はソニーのInter BEE 2022特設サイトまで。