Inter BEE 2024の初日の朝に、長らく待たれていた発売日が発表されたDante AV Ultraエンコーダ/デコーダ「DAV-01シリーズ」。

2025年2月下旬に発売予定の本シリーズは、12G-SDI/HDMI対応のエンコーダ「DAV-01ST」とデコーダ「DAV-01SR」、さらにHDMI対応のエンコーダ「DAV-01HT」とデコーダ「DAV-01HR」というラインナップで展開される。
※希望小売価格はオープン価格

ブースでは、デモ展示が行われていたので、その性能を紹介する。

ProAV基準のマルチ機能を備える

1フレーム未満の低遅延をDanteネットワーク上で実現

    テキスト
Dante AV Ultraエンコーダ/デコーダ「DAV-01シリーズ」デモの様子。エンコーダに入力される映像(左)、デコーダの出力映像(右)※画像をクリックして拡大

Danteといえば音声ネットワークの定番技術だが、Dante AV Ultraエンコーダ/デコーダ「DAV-01シリーズ」は、そのDanteネットワーク上で映像伝送を可能にする。特筆すべきは、その遅延がほとんど感じられない点であり、実測では1フレーム未満に抑えられている。この性能は、ライブ中継やスタジオ間の伝送など、リアルタイム性が求められる現場において大きな強みとなる。

ブースでは、実際に低遅延を実証するためのデモが行われていた。2台のモニターが横並びとなり、左がエンコーダに入力するオリジナルの映像、右がデコーダから出力された映像。映像のタイムコードを見ても、肉眼では遅延があることすら感じないほどであった。写真を撮るとわかりやすいが、1フレームの誤差もないことがわかる。

IP伝送の遅延という大きな課題を解決するDante AV Ultraは、映像制作者にとって、信頼できる強力な味方になるだろう。

実際のデモの様子は、こちらの動画をチェック

12G-SDIを搭載

DAV-01シリーズは12G-SDIやHDMI 2.0など、多彩な入出力端子を備えており、現場の多様なニーズに対応可能だ。Dante AV Ultraデコーダ 「DAV-01SR」は、2系統の12G-SDI出力と2系統のHDMI出力からなる計4信号の同時出力に対応しており、複数のスクリーンに同時接続できる。HDMIモデル 「DAV-01HR」では、2系統のHDMIビデオ出力を同時に接続できるデュアル出力に対応している。

さらに、Dante AV UltraデコーダのHDMIポートは、接続された各スクリーンの拡張ディスプレイ識別データ(EDID)を自動で読み取り、最適な表示解像度を確保するために出力映像の解像度を自動調整するダウンスケーリング機能と、接続されたスクリーンに適したHDCPリビジョンに自動で変換する機能を備えている。これにより、異なる解像度のディスプレイにも柔軟に対応できる。

Dante AV Ultra「DAV-01シリーズ」デコーダ「DAV-01SR」

Colibriコーデックの採用

ProAV向けに最適化されたColibriコーデックを採用し、1GbE環境で4K60の高品質な映像をロスレスかつ正確にエンコード・デコードする。

ネットワーク負荷を抑えながら、限られた帯域幅でも高解像度の映像伝送を可能にする、これまたありがたい性能を備える。

PTP(Precision Time Protocol)同期

映像制作のIP伝送において、映像と音声の同期は不可欠だ。Dante AV Ultraは、IEEE 1588 Precision Time Protocol(PTP)による単一クロックでの高精度な同期を実現し、リップシンク問題を解消できるという。

精密な同期機能により、既存のマルチカメラシステムやライブ配信の現場にもスムーズに導入できる点も魅力。

フロントパネルで映像・音声プレビュー・設定が可能

フロントパネル 2.0型IPSスクリーンを配置

フロントパネルには2.0型IPSスクリーンが配置されており、映像のプレビューや8チャンネルのオーディオレベルメーターを視認できるほか、Dante設定メニューも備えている。これにより、Dante Controllerを使用せずとも本体のロータリースイッチからサンプリングレートや遅延の設定変更が簡単に行える。

「時間との戦い」である制作現場では、こうした使いやすさがオペレーターの負担を軽減するだろう。

まとめ

エーディテクノの「Dante AV Ultraエンコーダ/デコーダ DAV-01シリーズ」は、既存のDanteネットワークシステムが導入されているライブ会場はもちろん、放送業界でも活用できるスペックを備えている。そのため、多くの業界にとって魅力的な選択肢となるだろう。

マルチな役割を備える本機が2025年2月下旬の発売以降、どのように活用されていくのか楽しみである。