ソニーは、NAB2025の同社ブースにおいて、VENICE 2、新発表の屋内外で使用可能なマーカーフリーのトラッキングシステム「OCELLUS」、「Virtual Production Tool Set」を組み合わせたデモンストレーションを実施した。ステージ上では、カメラトラッキングにより、インナーフラスタムとカメラの同期が確認できた。注目すべきは「Virtual Production Tool Set」の次期バージョンの先行展示であり、3つの新機能が紹介された点である。

1つ目はレイトレーシングアクセラレーションという機能である。新開発のレイトレーシング高速化技術により、高品質かつ低コストなCG背景描画を実現する。これは、LEDの背景に表示する画像の品質を向上させた背景画像を、高いGPUを必要とせずに処理できる「Virtual Production Tool Set」のプラグインの新機能である。デモンストレーションでは、この機能をオンにした状態で、光の計算が行われたリアルな映像が確認できた。

2つ目はソニーのLEDに限定された視野角補正対応の機能で、Crystal LED撮影時、視野角によって色の不一致が生じる色シフトの現象が確認される。これに対し、「Virtual Production Tool Set」のプラグインによる自動的な視野角色補正のデモンストレーションが行われた。LEDの色に差異が見られた場合でも、色が同様に適切に補正された状態で表示されることが確認できた。ソニーのLEDを使用する場合、プレビジュアライゼーションなどにおける細かな調整なしに、撮影現場のオンセットでリアルタイムに補正が可能となる機能であり、ワークフローの向上が期待される。

最後はモアレに関する機能であり、撮影現場で即座にモアレの発生に気づくことが可能となる。「Virtual Production Tool Set」のバージョン2において、オンセットでモアレの発生を把握できる機能が既に搭載されていた。今回のデモンストレーションでは、それをメタデータとして記録し、RAW Viewer上でモアレが発生している箇所を特定できる機能が示された。

これはVENICE 2のバージョン4で対応している機能であり、赤色でモアレの発生状況を判別できるようになっている。デモンストレーションでは、モアレが次第に強くなる様子が確認できた。