国際放送機器展であるIBC2025において、三脚メーカーの平和精機工業 / Libecは、革新的な新製品群を展示し、来場者の注目を集めている。

ブースの前面で大々的に紹介されているのは、ヨーロッパで初めての展示となる「QL40B」クイックロックトライポッドである。この製品の最大の特徴は、独自の「クイックロック」機構にある。一つのロック操作で脚全体の高さを一括で調整できるため、従来の三脚のように撮影者がかがんで一段ずつ調整する手間が不要となり、設営時間を劇的に短縮させる。この迅速な操作性は、撮影者の腰への負担を軽減する効果ももたらす。

また、最大で2mを超える高さからのハイアングル撮影が可能でありながら、耐荷重は40kgを確保しており、放送用カメラから大型のシネマカメラまで、多様なプロフェッショナル機材を安定して搭載できる設計である。

この利便性の高いクイックロック機構は、同社の他の三脚システムへも展開が進んでいる。例えば、主力製品であるNXシリーズには、新たにクイックロックトライポッドを組み合わせた「NX-300Q」がラインナップに加わった。製品名に付された「Q」の文字が、このクイックロック搭載モデルを意味しており、製品群の拡充が見て取れる。

さらに、今回のIBCが世界初披露の場となる全く新しいカテゴリーの製品として、タンキャクの愛称のもと「TK-210C」ベビー三脚も発表された。この三脚は、その名の通り最低高がわずか21cmという、地面すれすれの迫力あるローアングルショットを可能にする。市場の同種製品の多くが2段式の脚を採用する中で、あえて3段式とすることで、最低高21cmから最高高70cmまでという非常に広い高さの調整範囲を実現した。

これにより、超低位置からの撮影だけでなく、一般的な三脚としても活用できる驚異的な汎用性を獲得している。脚の素材には軽量で剛性の高いカーボンファイバーを採用しており、堅牢な作りでありながら持ち運びにも便利な一台となっている。

平和精機工業は、2025年11月に開催されるInter BEEにおいても、さらに進化した新製品を披露する予定であり、今後の動向から目が離せない。