国際放送機器展IBC2025の会場において、KIPONは次世代の映像制作を見据えた新しいレンズ群を展示し、来場者の大きな注目を集めている。

ブースでひときわ存在感を放っているのが、先日開催された「PRONEWS SUMMIT 2025」で世界初公開され、大きな話題を呼んだシネズームレンズ「CINESPEED65 37-156mm Cinezoom」である。会場では、Blackmagic Design社の「Blackmagic URSA Cine 17K」カメラに装着された状態で展示されており、多くの映像制作者がその性能を確かめていた。ARRIや富士フイルムなど、各社から65mmフォーマットに対応した中判シネマカメラが続々と登場する中、KIPONは1年以上前からこの市場の動向を予測し、レンズ開発を進めてきたという。このズームレンズの価格は48,800ドルに設定され、すでに注文を受け付けており、アメリカ、日本、ヨーロッパで販売準備が整っている。

また、中判シネマカメラ市場の拡大に対してレンズの供給が追いついていないという現状に対応する製品として、「KIPON BAVEYES 1.3x 65mm Expander」も紹介された。これは、既存の豊富なフルフレーム(36mm×24mm)レンズ資産を中判カメラで活用可能にするアダプターであり、特にレンタル会社などから高い評価を得ている。これにより、映像制作者は新たなフォーマットへスムーズに移行できる。

さらに、映画制作の現場で不可欠なプライムレンズも披露された。展示されている「CINESPEED65 68mm T1.4」は、同シリーズ初のプライムレンズである。KIPONはズームレンズとプライムレンズをシリーズとして一体で開発しており、このプライムレンズも年末前にはシリーズとして拡充される予定である。急速に進化する映像制作の世界において、KIPONが時代のニーズを的確に捉え、総合的なレンズソリューションを提供しようとする強い意志が感じられる展示内容であった。