国際放送機器展IBC2025において、富士フイルムは「放送とシネマの融合」をテーマに掲げたブースを展開し、数々の新製品を披露して来場者の関心を集めている。
4K対応の放送用ズームレンズ「FUJINON LA30x7.8BRM」

ブースで注目される製品の一つが、先日発表されたばかりの新しい4K対応の放送用ズームレンズ「FUJINON LA30x7.8BRM」である。このレンズは、同社の高性能4KレンズUAシリーズで培われた技術を継承しつつ、価格を抑えたモデルとして開発された。コンパクトな筐体でありながら30倍という高倍率ズームを実現しており、コストパフォーマンスの高さが際立つ。
これまで同社が強みとしてきた放送局やスポーツ、ライブイベントといった市場に加え、中小規模のイベントや企業配信、eスポーツといった新たな市場での活用が期待される戦略的な製品である。
シネマティックブロードキャストコンセプトDuvo(デューボ)シリーズも
また、同社が「シネマティックブロードキャスト」というコンセプトで展開を強化しているDuvo(デューボ)シリーズも大きな存在感を放っていた。標準ポータブルズームレンズの「HZK24-300」、広角ポータブルズームレンズの「HZK14-100」、そして箱型ズームレンズ「HZK25-1000」という3つのラインナップが揃い、多彩な映像表現のニーズに応える。

会場では、グラスバレー社の新しいシステムカメラ「LDX180」と組み合わせたデモンストレーションが行われた。このシリーズは、ヨーロッパのコンサートやライブイベント、ファッションショーなどの現場ですでに広く採用されており、その実績が品質を物語っている。
GFX ETERNA 55

そして、今回のブースにおける最大の目玉と言えるのが、富士フイルム初となるモーションピクチャー用の映像制作カメラ「GFX ETERNA 55」だ。9月11日にグローバルで発表されたばかりのこのカメラは、アムステルダムでのお披露目イベントでも、実際に本機で撮影されたショートフィルムが上映され、高い評価を得たという。
ブースには実機が5台展示され、様々なメーカーのスフェリカルレンズやアナモルフィックレンズが装着された状態で来場者を迎えた。訪問者は実際にカメラに触れ、その操作性や映像の質感を直接体感することが可能で、多くの映像制作者が足を止めていた。

さらに、「GFX ETERNA 55」の発表と同時に、専用のGマウントレンズ「フジノンレンズ GF32-90mmT3.5 PZ OIS WR」も披露された。このレンズはカメラ本体とネイティブ通信が可能で、高速・高精度なオートフォーカス機能などが大きな強みとなる。放送から映画制作まで、あらゆる映像分野で革新を続ける同社の姿勢を強く印象付ける展示内容であった。
