2025コンセプト:銀幕の「国宝」に捧ぐ、技術の「花道」——PRONEWS AWARD 2025 開幕に寄せて

今年も開催「PRONEWS AWARD 2025」

2025年も残りわずかとなり、映像業界にとっても1年を総括する時期を迎えた。この1年は、数多くの新製品やサービスが登場しただけでなく、それらが実際の制作現場に浸透し、ワークフローや表現の在り方そのものを変えていく様子が強く印象に残った年でもあった。PRONEWSでは、NAB、Cine GEAR、IBC、Inter BEEといった国内外の主要展示会をはじめ、日々の取材や検証を通じて、そうした変化の現場を追い続けてきた。

本特集では、2025年の映像業界を俯瞰しながら、とりわけ存在感を放った製品やサービスを分野ごとに取り上げ、この1年を象徴する技術的潮流を整理する。同時に、それらが示す次なる制作環境や、2026年以降への示唆についても考察していく。

その取り組みの中核となるのが、「PRONEWS AWARD」である。本アワードは、映像業界において高い価値を示した製品やサービスを称えることを目的とした表彰企画だ。新規性やスペックの高さのみならず、実際の制作現場でどのように使われ、どのような変化をもたらしたのかという視点を重視している点に特徴がある。

対象となるのは、2025年1月1日から12月31日までに発売された製品やサービスで、撮影、制作、編集、配信、管理、運用といった各工程において、表現の拡張やワークフローの刷新、効率化、品質向上に寄与したと評価できるものだ。PRONEWS編集部では、継続的な取材で得た知見や現場の声を踏まえ、「現場を本当に変えたかどうか」という観点から審査・選考を行っている。

16年目を迎えるPRONEWS AWARDの動きは?

PRONEWS AWARDは、2009年にスタートし、今年で16回目を迎える。初代の大賞に選ばれたのは、キヤノン「EOS 5D Mark II」であった。映像制作の歴史を振り返っても、これほど長期にわたり継続してきたアワードは稀であり、業界の変遷を記録してきた存在でもある。

2025年のPRONEWS AWARDは、以下の部門に分けて発表を行う。

  • シネマカメラ部門
  • レンズ部門
  • 照明部門
  • 一脚・三脚・ジンバル部門
  • カメラアクセサリー部門
  • オーディオ部門
  • 配信部門

各部門ごとにファイナリストを選出し、その中からゴールド賞、シルバー賞を決定する。さらに12月31日には、部門の枠を超えてその年を象徴する1製品に贈られる「GRAND PRIX」を発表する予定だ。

参考として、2024年のGRAND PRIXはキヤノン「EOS C400」が受賞した。各部門の結果を追いながら、PRONEWS AWARDを通じて、この1年の映像業界がどのような進化を遂げてきたのかを改めて感じ取ってもらえれば幸いである。