IBC 2026のYC ONIONブースで目に留まったのは、「PINETA Pro」の脚部に装着されていたペダルベースと着脱式のホイールユニットだった。一見すると一脚をドリー化するためのシンプルなアクセサリーだが、実際に着脱する様子を見ると、PINETA Proの機動性をさらに広げるアイテムであることが見えてきた。

展示されていたのは、YC ONION社内で「Quick Release Dolly」と呼ばれていたPINETA Pro専用のペダルベース+ホイールシステムだ。取材時点では正式な製品名は確定しておらず、「Quick Release Dolly」や「Quick Release Version」といった名称が候補に挙がっていた。そこで本稿では、取材時の呼称に基づき「Quick Release Dolly(仮称)」と表記する。

手前がQuick Release Dolly(仮称)を装着したPINETA Pro。左奥には発売中のYC Onion PINETA Monopod Dolly #MQD30も展示されていた

PINETA Proは、高さを素早く変更できる機構を備えた一脚である。実際にPINETA Proを撮影で使っている立場からすると、そこへペダルベースとドリー機能を追加できるという発想は興味深い。高さを変えるだけでなく、一脚を設置したまま撮影位置を移動できれば、現場でのセッティングにも新たな選択肢が生まれる。

PINETA Pro専用の着脱式ホイール

YC ONIONには、BIRTV 2026レポートで紹介した通り、PINETAシリーズ向けの「PINETA Monopod Dolly #MQD30」がすでに存在する。IBC 2026で確認したQuick Release Dolly(仮称)は、それとは別にPINETA Pro専用として展示されていたモデルで、ホイールを脚部から着脱できる点が特徴だ。

取り付け方法はシンプルである。ロックを解除した状態でホイールユニットを脚部へ差し込み、再びロックすれば装着が完了する。大掛かりな組み立てを必要とせず、PINETA Proにホイールを追加できる構造だ。

実機を操作する様子を見ていて面白かったのは、ドリー全体を別途用意するのではなく、必要に応じてホイール部分を着脱するという考え方である。なお、持ち運ぶ際にホイールを取り外す必要はなく、装着した状態で移動することも想定されている。

ホイールユニットのロック部を操作しているところ。脚部へ差し込んで固定することで、PINETA Proにドリー機能を追加できる
展開した3本の脚は、ドリーを装着したまま上面へ折りたたむことが可能だ。移動や収納時にホイールを取り外さず扱える点も特徴となる

高さ調整と移動を一つの撮影システムに

PINETA Proは、撮影中に高さを素早く変更できる点が特徴の一脚だ。そこへ搭載したままペダルベースとホイールユニットを追加することで、高さの調整に加えて、カメラを載せた状態で撮影位置を移動するという使い方が加わる。

映像撮影だけでなく、写真撮影でも使い方を考えたくなる組み合わせである。一脚をその都度持ち上げて設置し直すのではなく、ホイールで位置を調整し、必要な高さへセットする。スタジオやイベント会場など、比較的フラットな床面で撮影位置を頻繁に変更する場面では、撮影のテンポを維持しやすくなりそうだ。

普段からPINETA Proを使っていると、こうしたアクセサリーは単なる追加パーツというより、一脚そのものの用途を変化させるものに見えてくる。固定してカメラを支える一脚に「移動」という機能を追加できるところが、今回の展示で特に気になったポイントだった。

IBCで見えたPINETA Proの拡張方向

今回のQuick Release Dolly(仮称)はBIRTVでも展示されており、IBC 2026でも実機を確認できた。取材時点では未発売で、製品名を含めた最終仕様も確定していなかった。YC ONIONによれば、2026年11月のInter BEE 2026での発表を予定している。

PINETA Proを見ていると、一脚本体だけで完結させるのではなく、必要な機能をアクセサリーとして追加していく方向性が見えてくる。今回の着脱式ホイールもその延長線上にあり、高さを素早く変えられるPINETA Proに移動の自由度を加えるアイテムとして、その仕上がりを改めて確認したい製品である。