放送現場で開発・活躍する最新の放送機材や取り組みが紹介される番組技術展
2016年2月7日(日)~9日(火)の3日間、東京・渋谷のNHK放送センターにおいて、全国の放送現場で開発した最新の放送機器、番組制作や緊急報道への多彩な取り組みを紹介する「番組技術展」が開催された。
ここ数年国内では、火山の噴火など大きな災害が多く、そうした現場に対応した取材システムや、東京オリンピックへ対応したスーパーハイビジョン関連のものが多く見受けられた。NHKの放送技術を直接“見て・触れて・知って”もらえるイベントとして、一般にも開放されているということもあり、初日の日曜日はベビーカーを携えた親子連れも見受けられ、InterBEEやNABなどとちょっと違った和やかな雰囲気となっていた。
世田谷のNHKでも毎年5月に技研公開を行っているが、最先端の技術を中心とした技研展と異なり、こちらは現場の創意工夫満載の出展となっており、身近な機材の組み合わせやビデオ機器とは全く関係のない機材やパーツを取り入れたものなど、現場的には参考になるものが多いといえる。全国各地のNHK支局の出展もあることから地域性のある機材や工夫は見ているだけでも楽しいものといえる。
NHKでは過去の放送技術が見られる放送博物館と、未来の放送技術を中心としたNHK技研公開、そして現在の放送技術が体験できる番組技術展の3つがあるわけだが、いずれも最近の流れとしては一般の来場者にも楽しめるようになっている。視聴料で成り立つNHKとしてはこうしたイベントを通してNHKの仕事や番組制作の理解を深めて貰いたいという思惑もあることと思うが、一般向きではなくても現場的に有用なものも、もう少しあってもいいように感じた。
様々なソリューションを会場から
■8Kスーパーハイビジョン中継車
8K放送実現へ向けて開発された8Kスーパーハイビジョン中継車は「SHC-1」と「SHC-2」の2台。SHC-2は米カリフォルニアで開催されている第50回スーパーボウルのため海外出張中。今回展示されたのはSHC-1で、紅白歌合戦などで活躍した車両だ。制作室に55インチ8Kモニターを搭載しているので、8K環境での制作が可能となっており、カメラは最大で10台、収録機4台、ライブスロー4系統の実装が可能となっている。全長約12mの20t車で、昨年9月に池上通信機が発表した車両だ(放送技術局/技術局)。
スイッチャー卓スペースは片側拡幅型となっており、スペースを確保している
NECの16入力4出力の1M/Eスイッチャーが装備されたスイッチャー卓
VE卓スペース。コンソールにはカメコンが装備されているが、現在のところ1台のみで、どうやら海外や今回のイベントのため出払っているようだ。モニターは手前がソニーで、奥下がキヤノン、その上に池上通信機が並ぶという構成
池上通信機のSHV-8000、SHK-810用のカメコン。レンズのリモートもここから行えるようになっている
VE卓の背面に装備されたパッチ板やルーター、各種プロセッサー。信号は複数の3G-SDIで接続する方式で、将来的にはIP化の方向という
■8K全自動コンパクトプレイヤー
8K再生機と映像切替器・タイマーを組み合わせた全自動の再生システムで、送出プログラムにより、8K試験放送と8Kコンテンツを自在に切り替えて上映できるほか、複数のコンテンツをワンタッチで切り替えて再生することができる。展示会やパブリックビューイングなど様々な場所での8K再生機として活用可能(NHKメディアテクノロジー)。
市販の4K再生機を組み合わせて廉価な8K再生システムとしている
市販の再生機を4台同期させるためのコントローラーやHDMI切替器がワンパッケージになったシステム
曜日や時刻など自動再生するための送出プログラムの設定画面
■8Kスーパーハイビジョン信号をHD非圧縮1回線で伝送できるTS/SDIマルチデマルチコンバーター
8Kスーパーハイビジョン(SHV)信号は24Gbpsの帯域が必要になるため、伝送の際にはデータ量を約1/100の280Mbpsまで圧縮して伝送していた。それでも1本のTS(トランスポートストリーム)回線には収まらず、2本のTS回線に分割し、その都度専用回線を利用して伝送しなければならなかった。TS信号をHD-SDI信号に変換するTS/SDIマルチデマルチコンバーターにより、一般的に広く使われているHD非圧縮回線を活用することができるようにすることで、HD非圧縮1回線で伝送できるようにしたシステム(放送技術局 報道技術センター)。
8K SHV信号をH.264コーデックで2本の140MbpsのTS信号に変換し、TS/SDIマルチデマルチコンバーターにより、HD非圧縮1回線で伝送
2本の140MbpsのTS信号をHD非圧縮1回線に変換するTS/SDIマルチデマルチコンバーターSMX8000
■ジンバル防振リモートカメラヘッド
ドローンなどで使用されているジンバルシステムを車載や自転車、バイク、クレーンや滑車釣りなど様々な撮影スタイルに応用。防振機能のほか、無線制御のパン/ティルトが可能で、映像は有線のほかカメラの機能を用いた無線が使用できる。NHK宇都宮放送局「とちぎ640 キラリ☆とち旅コーナー」ですでに運用実績があるという。GoPro専用とLANCカメラコントロール対応のモデルがある(宇都宮放送局)。
GoPro専用のType0モデル。小型軽量なので、自転車や釣りなども大掛かりな仕掛けを必要としない
Type0のヘッド部分。パン/ティルトなどコントロールは有線式
無線によるコントロールの試作機
■緊急展開用太陽光無停電ロボットカメラ
電源喪失時や電源確保が難しい現場でも24時間の撮影が可能なロボットカメラ。ソーラーパネルにより電源がなくても稼働でき、すでに阿蘇山の噴火など緊急展開が可能な現場で活躍しているという(放送技術局 報道技術センター)。
電源喪失時や夜間も火山活動を監視できる火山監視用ロボットカメラ
カメラ部は一般の監視用の物を採用している
カメラ部を超高感度一眼レフカメラにすることで、夜間の火山活動の監視にも対応
バッテリーとソーラーパネルでの充電回路などがワンパッケージになっており、3G/LTE回線を使用して24時間映像を伝送可能
■遠赤外線ズームカメラの運用
遠赤外線ズームカメラにより、夜間など通常のカメラでは撮影することができない状況でも、遠赤外線で熱源を感知し、遠方の噴煙を鮮明に撮影可能。現在も継続して設置しており、箱根山の変化を日々監視しているということで、カメラの現物は展示されていなかった。元々は、東日本大震災後、福島第一原発を遠方からかすみなく撮影することを目的としており、遠赤外線を使用したカメラを開発したものをレンズのワイドズーム化、軽量化を実現し、現在は箱根山の大涌谷噴出口を正面から捉えられる位置にカメラを設置して、屋外での長期使用に適しているかどうかを検証しているという(放送技術局 報道技術センター)。
カメラは現在箱根で運用中
上2つが一般のロボットカメラの映像で、下の2つが高感度遠赤外線ズームカメラによる映像
暗くなっても遠赤外線ズームカメラによる映像では火山の様子がわかる
■目に見えない有毒ガスを捉えることができる火山性ガス可視化カメラ
二酸化硫黄(SO2)の紫外線吸収特性を利用して、肉眼で見えない火山ガスを映像で可視化することができ、カメラには紫外線HD撮像センサーが搭載されている。310nmと330nmの光学フィルター切替による比較により、見えない有毒ガスを可視化することで噴火の際の減災報道への活用や長期観測による噴火予知・火山活動研究および防災システムへの応用など、さまざまな場面での活躍が期待される(横浜放送局/技術局)。
紫外線帯域まで感度がある撮像素子を搭載したカメラとニコンの紫外線撮影用レンズUV-105mmF4.5
310nmと330nmの光学フィルターで撮影した画像と可視光の画像
■iPhoneを用いた緊急報道サポートシステム
事件、事故や災害などが発生した際の緊急報道の現場では、放送局と現場が円滑なコミュニケーションを取ることが非常に重要となり、連絡のやり取りは携帯電話や連絡無線を用いて行っていた。多くの部署の人たちと円滑な連絡を取り合うためのiPhoneを用いた緊急報道サポートシステム。緊急報道や多元中継番組での使用や中継下見時に伝送ポイントを確認するために活用可能(福井放送局)。
放送局側から各出先クルーの位置情報が一目で分かる
緊急報道に特化したiPhoneアプリにより、伝送には欠かせない基地局の方向と位置の表示やチャット機能により複数現場の状況を一元化などが可能
■IP伝送の設定をワンタッチで行うことができるIP伝送最適設定システム
経験に基づいて遅延量の少ない状態で使用するために通信速度に合わせた適正な設定を行っていたものを、AvenirというIP伝送最適設定システムにより、これまで手動で行っていた複雑なIP伝送の設定を自動化し、誰でも簡単にワンタッチで通信速度に合わせた設定を可能にしたシステム。すでに、NHK札幌放送局「ほっとニュース北海道」などの番組で活用されているという(札幌放送局)。
ブラウザベースのため、簡単に導入でき、通信速度をグラフ化してわかりやすく表示することにより誰でも簡単に操作することができる。画面左上の「ストリーミングを開始」ボタンをクリックするだけ設定が行える
IP伝送はStreambox社製Streambox Avenir Mini 3とStreambox IFB Serverが使われており、写真はServerの設定画面
■FPU、NTT回線など伝送に必要な回線情報表示システム
緊急報道車両や中継ポイントの位置情報を、デジタル連絡無線のGPSデータ通信を利用して取得することが可能なシステム。様々なシステムが個別に管理している情報を収集し、回線情報をひとつにまとめて見やすく共有することで、時々刻々と変わる取材/中継情報をすぐに把握することができるというもの。電波の使用状況や各車両の現在地、取材予定を自動収集し、集めた情報を各システムに配信、見やすく共有することが可能(大阪放送局)。
FPUの位置情報やNTT回線の状態などをGPS情報を元に一元管理することが可能
各回線の接続情報とFPUの中継回線情報
デジタル無線通信から位置情報を取得し、地図上に表示したところ
■無人ヘリによる4K空撮と定点観測カメラシステム
ヤマハの産業用無人ヘリコプターRMAXを空撮用に応用し、噴火の危険があるため、島の半径4km圏内は立入りが禁止されている西之島の撮影に使用。防振装置を駆使したブレのない映像や超高感度、サーモグラフィーカメラによる映像などを駆使してNHKスペシャル「新島誕生 西之島」や科学アドベンチャー「西之島へ ~エンジニア達の熱き挑戦~」などの番組制作で活躍した。また、定点観測パノラマカメラを設置し24時間全方位を撮影した。4km沖に停泊させた調査船を基地とし、モニターを見ながらリアルタイムに機体やカメラ操作を行い臨場感あふれる映像を撮影したという(放送技術局 制作技術センター)。
ヤマハの産業用無人ヘリコプターRMAXをベースにした空撮システム。ガソリンエンジンを採用しており、バッテリー式のドローンに比べ航続時間や天候などによる影響が少ない。通常のカメラの他、超高感度、サーモグラフィーカメラによる撮影にも対応可能
ウインチを使い24時間全方位を撮影することができる定点観測パノラマカメラ
小笠原諸島の西之島誕生の謎を解く。岩石採取装置
■ビッグデータ視覚化システム
ニュース番組や「NHKスペシャル」、「データなび」など、すでに多くの番組で使用されているNMAPS(News Mash up Advanced Probe System=高度情報利用報道システム)を8Kスーパーハイビジョン対応にすることで、瞬時に広範囲の状況を詳細に認識することが可能となるシステム。公共放送の使命である防災・減災報道への応用の可能性が広がるほか、データジャーナリズムを実現するツールとして、取材・制作に役立つものとして放送利用に限らないSHVの新たな活用方法を提案。NMAPSは、気象データや災害情報、混雑度データといったビッグデータと呼ばれる様々なデータを収集し、得られた情報を即座に視覚化するための基盤システムで、これまで気付かなかった現象の発見や災害の予測に有効なシステム(報道局/放送技術局)。
ビッグデータ視覚化システム「NMAPS」を8K SHVでリアルタイム表示
風速や雨量予測データーを可視化して表示
人の移動を可視化してその動きを表示
■水深1000mの撮影ができる4K対応深海カメラ
深海カメラをさらに進化させた水深1000m対応深海カメラシステムで、様々なカメラを搭載可能となっており、4K RAW映像やISO感度40万相当で高感度撮影にも対応可能。クラゲなどの微弱な光を発光する深海生物の世界や、4K RAWによる高精細な深海映像を提供できるシステムとなっている。カメラハウジング部と随行する潜水艇内部をファイバーケーブルで接続することで、長時間の4K撮影を行うことができる。また、深海での照明装置として近赤外線水中LEDライトも開発(放送技術局 制作技術センター)。
左から1000m水中ハウジング、高感度撮影カメラユニット、4K RAW対応カメラユニット
高感度撮影カメラユニットはソニーのデジタル一眼α7Sにレンズアダプター、2/3レンズ、ファイバー変換器などで構成されている
潜水艇内部に設置されるコントローラーやレコーダー、モニターなど
受信側インターフェースの内部
■様々な軌跡を可視化可能な軌跡表示システム
ゴルフや陸上の投てき競技などでは飛距離や着地点が重要となるが、画面上で目で追うのはなかなか難しい。軌跡を表示することで、投てき時の軌跡・初速度・角度を可視化することで、より分かりやすい放送を実現したもの。陸上やり投げ軌跡表示システムとして開発されており、第49回織田記念国際陸上や第99回日本陸上競技選手権大会での運用実績がある。やり投げだけでなく、様々な競技にも応用できる技術として期待される。会場では、来場者が投げたボールの軌跡を表示する実演が行われていた(放送技術局 報道技術センター/放送技術研究所/(一財)NHKエンジニアリングシステム)。
来場者が投げたボールの軌跡を表示
角度表示をすることで科学的な解説が可能なほか、簡単な操作で自動的に軌跡・初速度・角度を計算し、プレー後のグラフィックス表示できる
■簡単に22.2ch音声制作が可能な22.2ch音場生成マルチプロセッサー
スーパーハイビジョンの音声は22.2chとなっているが、実際の収録では物理的にフルチャンネルでマイクを設置できないことも多い。そこで、少ないマイク音源から22.2chの音場生成を行うマルチプロセッサーにより、集音できないエリアの音場を生成したり、入力された音から新たな手法により22.2ch音源を生成することができるようにするシステムが開発された。このシステムでは、モノラルから22.2chまでの入力に対応しており、センター成分を多く含む素材でも22.2chに分離することができるほか、複雑なパラメーターを操作せず、直感的に設定できるユーザーインターフェースにより中継やポスプロ現場で思い通りの音場制作が可能となる(横浜放送局/放送技術局 制作技術センター)。
多くのコントロール要素を集約し、スムーズな操作性を実現したユーザーインターフェース
音場生成マルチプロセッサーのデモの様子
■演出照明用超高出力型LEDスポットライト
スタジオで運用できる3~5kW型ハロゲンスポットライトに相当するLEDスポットライトで、約100,000lmの白色LED光源をコンパクトに集積し、フレネルレンズを用いた配光制御が可能なほか、超高出力型LEDの性能を安定的に維持できる小型軽量で最適化された自然空冷式高性能放熱器を搭載している。LED化することで従来のハロゲン球を使用したスポットライトの消費電力の1/5程度で、放熱も極めて少ないという(放送技術局 制作技術センター)。
左が演出照明用超高出力型LEDスポットライト。形状などデザインは従来のスポットライトと同等で、今まで通りの操作、運用が可能。投光距離5mで投光角度60°中心照度2000lx以上を実現している
搭載されているLEDユニット。演色性Ra90で、色温度は2900±100K、PWM駆動によりDMX信号での調光にも対応可能
■バランスのとれた照明を一灯で実現できるリアルタイム画像認識による照明制御
対向車を検知し、相手ドライバーの目に光が入らないようハイビームを制御する機能を応用したもので、リアルタイムの画像認識で最適な範囲にだけ照明を当てるように制御することにより、顔と衣装の明るさのバランスを取ったり、出演者の瞳に光が入らず「まぶしくない」照明が可能になるという(放送技術局 報道技術センター/放送技術研究所)。
顔の領域や衣服の領域、瞳の位置などを認識して照明バランスを自動的にコントロールする
撮影用カメラと画像認証用カメラが組み込まれた本体
■超高感度デジタル一眼カメラを放送用カメラに内蔵したビデオスタイルユニット
放送用のショルダータイプカメラの筐体にデジタル一眼や4K対応のレコーダーなどを組み込んだカメラで、2/3型のレンズやVマウントバッテリー、SDI出力など通常の放送業務用カメラと同じ運用性を備えている。内蔵されている超高感度デジタル一眼カメラと4Kレコーダーは取り外して使用することも可能となっており、現在レコーダーなしのタイプも開発中という(放送技術局 制作技術センター)。
見た目も運用性も従来の放送用カメラと同様な4K対応カメラ
内部はこのようになっており、光学変換をはじめ信号、制御、電源系を開発し、使い慣れたビデオスタイルで、4K超高感度撮影を実現している
■ロードレース中継 距離推定システム
ロードレースおいて後走者がどの程度の速度で、どの程度の距離まで前走者に迫ってきているのかを画面表示できるもので、走者間の相対距離だけでなく、速度表示も可能。津波の速度を画面から割り出すシステムを応用したもので、中継映像から走者を自動認識し、位置・速度をリアルタイムで算出するアルゴリズムとシステムを開発し実装している。任意被写体を認識する学習機能付きアルゴリズムやカメラと被写体の双方が移動しても、被写体位置と速度の算出が可能なシステムとなっており、東京オリンピック・パラリンピックへ向けた検証が行われている(仙台放送局/放送技術局 報道技術センター)。
ロードレース中継 距離推定システムによる各走者の情報表示を行った画面
元々は津波の速度を画像から算出し、防災情報などの役立てるソフトで、こちらも同時進行で開発が進んでいるという
■全方位集音+指向性可変マイクアレー
複数のマイクで集音した全方位の音声を元に任意の指向性パターンを作ることが可能なシステムで、魚眼レンズカメラを併用するようになっており、その画像を見ながら指向性を直感的に操作することが可能(デザインセンター)。
16本のマイクを球形に配置したマイク(ジャマー)と魚眼レンズが装着されたカメラがセットされている
マイク入力プロセッサーとコントローラー
■自在に移動撮影が可能なフリードリー
ドリーは移動の方向にホイールの向きが変わることで、前後左右自由な移動が可能だが、ホイールの向きが変わる瞬間スムーズにいかない。オムニホイールという特殊なホイールをドリーに採用することで、スムーズな移動を可能にしている。このホイールは物流倉庫などの設備に組み込まれていたものだが、カメラドリー用に多少弾力のある素材に変更したり形状なども工夫されている(名古屋放送局)。
試作の自在ドリー。通常のドリーとおなじ感覚で操作できる
右が元のオムニホイールで、左がカメラドリー用に改良されたオムニホイール
■放送通信連携による新たな視聴体験の提供するHybridcast(ハイブリッドキャスト)
すでにサービスが開始されているハイブリッドキャストだが、マルチビューや多言語字幕など視聴者の個別のニーズに応えるサービスを目指し、Hybridcastの更なる充実を図っている(放送技術局 メディア技術センター)。
データ放送より鮮明な画質、多彩な表現で情報を提示でき、放送番組を軸に多様な通信コンテンツでサービスを充実することができるハイブリッドキャスト
番組の進行に合わせたコンテンツや機能の切替やスマートフォン、タブレットを使ったインタラクティブなサービスの提供のほか、番組に関連する動画のオンデマンドなど放送通信連携による新たな視聴体験を可能とするハイブリッドキャスト
■音声対話型CGキャラクターを用いた番組紹介システム
マイクを使用した出演者と、CGキャラクターとの掛け合いやユーザー(視聴者)、CGキャラクターとの簡単な会話を通して知りたい番組情報などを提供することが可能な音声対話型CGキャラクターエージェントシステム。対話内容に合わせてキャラクター動作を設定可能なほか、ユーザーが知りたい情報を音声や図表で提供することができる(名古屋放送局)。
音声対話型CGキャラクターを用いた番組紹介システム。NHK名古屋放送局制作のニュース番組「ほっとイブニング」のマスコットキャラクターをシステムに組み込み、マイクに話かけることで様々な番組を紹介するシステム
■簡易モーションセンサーを用いたバーチャルシステム「ViSIC」
クロマキーセットを不要とし、既存のスタジオセット内で利用できるバーチャル装置ViSIC(Virtual Studio with IR Camera)で、赤外線距離センサーを用いて距離情報を基にして人物を抜き出すことでCGと合成する仕組み。こうした合成ではクロマキーが一般的だが、ブルーやグリーンバックが必要になったり、照明が大掛かりになりがちだった。ViSICでは被写体までの距離でキー信号を生成するため、既存のスタジオセット内で利用可能(松江放送局)。
上部に取り付けられているのが距離センサーで、この距離情報を元にキー信号を生成する
距離センサーにより各画素の距離を収得し、これを元にキー信号を生成。カメラ映像とCG画像を合成して完成