NABブースで展示予定だったIPソリューション搭載中継トラックを紹介
日本時間の2020年4月24日、グラスバレー主催のバーチャルNABライブ配信「Innovate 2020」が開催された。同イベントで発表された新商品「GV K-Frame XP」や「LDX 100カメラ」、クラウドベース「GV AMPP」について、国内営業責任者の三輪信昭氏に解説していただく機会が得られたので、その内容を紹介しよう。
Innovate 2020(日本語字幕付き)
最初はIPの事例から。All Mobile Videoの社長 Eric Duke氏とのオンラインインタビューで、グラスバレーブースに展示予定だった大型中継車を紹介した。All Mobile Videoの中継車にはグラスバレーのIPシステム搭載を特徴としているが、IP採用の理由は2つあるという。1つは、IPの統一であるSMPTE 2110の登場で安心してIPが導入できること。もう1つは、GV Orbitの存在で、これを使うことで視覚的に把握しやすくなること。統一規格と使いやすいソフトウェアの2つが一番きっかけになったという。
また、北米の大型中継車は、一台あたり15台から20台のカメラと共に運用する。しかし、これだけの台数をSDIで伝送するには大変なケールブルの量になり、12G-SDIでは距離の問題があることもIPを選ぶ理由と紹介した。
IPワークフローを簡略化するGV Orbit
次に新製品GV Orbitを紹介。IPのスイッチとしてメジャーなのは、シスコ、アリスタだが、使うには専門知識を必要としていた。GV Orbitは、専門の資格がなくてもIPシステムが組めることを一番に考えた設計になっているという。
また、グラスバレーからも、放送用に使いやすいIPのスイッチを自社ブランドで発売しており、グラスバレーブランドのスイッチであれば、GV Orbitに物理的にEthernet接続するだけで自動的に検知する。スイッチにどのような信号を通すかも簡単にGV Orbitから設定できるという。
4Kの3倍速収録にも対応したLDX 100 IPカメラ
新製品LDX 100の一番の特徴はIPに特化したカメラということだ。SMPTE 2110やAMWAも標準サポートしており、GV Orbitがあればカメラを繋ぐとすぐに自動認識する。短時間に信号が流せるのはアドバンテージだという。
また、従来型のカメラには2Uのボックスを必要としていたが、基本的には不要となり、直接IPが出力可能。中継車にカメラを積む際に、スペースを節約できるのもポイントだという。
IPの規格は、25Gb/s、50Gb/s、最大100Gb/sから選択可能。通常の4K信号を等倍速で流す場合は、非圧縮でも25Gb/sで対応可能。また、4Kでもハイスピード撮影が可能で、3倍速の場合は100Gb/sで対応可能だ。
大幅にコンパクトになったGV K-Frame XP
グラスバレーの第1世代ビデオ制作エンジン「K-Frame X」は、入出力は4K IPだが、処理は4系統のHDに分けて処理をしていたために、ラックを一本使うほどの大きな本体だった。今回のGV K-Frame XPは実は中身も全部4Kのまま処理するタイプに進化しつつ、大きさも従来比約1/3を実現している。
入力は4Kで80系統あり、2~3のスタジオを1台でカバーできる。例えば、20個は1つ目のスタジオ、30個は2つ目のスタジオ、30個は3つ目のスタジオという形で操作パネルを1台ずつ置き、複数のスタジオを1つの本体で使い分けることも可能だという。
クラウドベースのプラットフォーム「GV Media Universe」「GV AMPP」
最後に完全クラウドベースに構築されたサービスを紹介。GV AMPPは、クラウドをベースにしたコアテクノロジープラットフォーム。クラウド上に従来のスイッチャーや映像を記録するレコーダー、クリップを再生するプレーヤー、マルチビューワー、グラフィック機能を搭載。基本的にライブに必要な機能をすべて揃えている。
さらにGV AMPPをベースに、GV AMPPに対応する他社ソリューションをマーケットプレイスで追加可能な「GV Media Universe」を発表。映像も音声もグラフィックもクラウド上で一つのシステムにできるという。
三輪氏は、「国内のお客様もIPが選択肢の中に入ってきました。従来のIPのご提案もしつつ、さらに、次のクラウドをベースにした新たな方向性を随時、ご紹介していければと考えています」と述べた。
今後は、オンラインや展示会を通じて、IPやクラウドのソリューションとサービスをアピールしていくとのことだ。