txt:VISIONGRAPH Inc. 構成:編集部
2020年予報
日本では5月末に緊急事態宣言が解除され、6月からは徐々に外出自粛も緩和されてきましたが、完全に新型コロナウイルス以前の生活様式に戻る事は、ほぼ不可能なのではないかと言われています。
依然として大規模なイベントや、遠方への旅行については自粛の空気が強い中、これからのエンタメ中心地は自宅のリビングや寝室になるのでは…そんな状況下で求められる在宅エンタメでは、これまでとは違う新たなアプローチが求められているのではないでしょうか。
Visiongraph inc.では、毎年年末に翌年話題となりそうなトレンドをまとめて「予報」として発表しています。昨年末に発表した「2020年予報」では、「空間超越表現とアナログとの融合」として、XR技術の浸透と並行して、現実世界での物理的・肉体的な価値の再発見を挙げていました。
新型コロナウイルスが登場する前の予報ですが、このトレンドは現時点でより加速していると言えそうです。コロナ禍の在宅エンタメを拡張させる、最新のデジタル技術と、従来のアナログ感覚を融合させた新たなサービスに注目です。
未来予報01:セカンドスクリーン再チャンスなるか?ARの進展とともに見逃し視聴から二画面視聴への期待が高まる
スマホのカメラをテレビにかざすだけで様々なARを表示するAugmen TVのアプリ。特殊な機材を導入しなくても、より臨場感のある映像体験ができるようになります。在宅時間が長くなった事で、家でのエンタメの中心は再びテレビ画面から展開されるようになるでしょう。
日本でもかなり前からセカンドスクリーン構想がありましたが、5GやApple Glassの発売などにより、次第に一般的になってくるでしょう。この技術により、2画面での視聴やインタラクティブなデータ放送、新たなEC機能など、テレビはまだまだ大きく進化を遂げそうです。
未来予報02:ホームデジタル化領域の萌芽…映像表現はボードゲームまで進化させる
テーブルゲームにデジタルの要素を取り入れたThe Last GameboardやPlaytableの卓上スクリーン。日本でも数年前からボードゲームが流行していますが、アナログ的な遊び方をデジタルと融合する事で、より没入感のあるゲーム体験ができそうです。さらに、将棋やチェス等の従来からあるオンライン対戦ゲームも、より立体的な再現ができるようになり、コンテンツ市場も活発になりそうです。
ボードゲームにとどまらず、家のいたる所に映像表現で拡張できるものは溢れています。この先数年間でこの領域での覇権争いが激しくなるでしょう。
未来予報03:遠隔化領域の進展…バーチャル店舗へ家からアクセス
ARのバーチャルストアで、展示されている商品を見ながら買い物ができるObsessのサービス。従来のAmazon等のウェブショッピングサイトに比べ、ブランドやセレクトショップの実店舗を訪れているような、実際のショッピングに近い体験ができます。
全てをスクリーン上で完結できるネットショッピングは非常に便利ではありますが、アナログのショッピングならではの商品を選ぶ楽しみをどのように再現できるかが、これから重要視されてくるかもしれません。洋服だけでなく、不動産のバーチャル内見等もコロナ禍で一気に進みました。各種イベントのオンライン化の流れも前回の記事で書いた通りです。トラベル、学校、テーマパーク…リアルな場所がこれからどのようにバーチャルになっていくのでしょうか?
未来予報04:デバイスの進化とともに、エンタメも“ながら”の時代へと進化する
画像は企業Webサイトから引用
耳を塞がないデザインのUNUMのヘッドフォン。どんな時でも常に身につけながら行動する想定で、音声でのAR体験も見越したデザインになっています。コロナ禍では、家の中で家族とずっと一緒にいる事にストレスを感じる人も出ているようです。
このヘッドフォンは周囲の音を聞きながら音楽や音声コンテンツを楽しめるので、家族とのコミュニケーションを遮断することなく、それぞれが別の音声コンテンツを楽しむことができます。在宅での「ながら」欲求の高まりと共に、相性の良い音声エンタメ市場はこれから拡大していくでしょう。
VISIONGRAPH Inc.のnoteでは、歴代のSXSWに関してのレポートをmagazine形式でまとめて公開中です。ぜひそちらもご覧ください。