はじめに

連載は今回が最終回である。多くのファンの方に支えられ、これまで連載を続けることができたのは、ひとえにPRONEWS編集部と読者の皆様のお陰である。

惜しまれながら終了していく連載ではあるが、鍋 潤太郎によるハリウッドVFX関連の最新情報は、鍋 潤太郎☆ハリウッド映像トピックスにて鋭意お届けしているので、引き続きVFX関連記事にご興味をお持ちの方は、是非ともブックマーク/お気に入りへのご登録を。

さて、今回は最終回を飾るにふさわしく、かの有名なサンディエゴ・コミコン・インターナショナル(San Diego Comic-Con International)の訪問レポートをお届けする。

いざサンディエゴへ

サンディエゴは、LAから190kmほど南に位置し、メキシコとの国境の隣に位置する街だ。LAからサンディエゴは、日本の感覚だと、東海道線で品川駅から藤枝駅まで行くような距離感で、もし車で行けば、フリーウェイが混んでいなければ2時間弱のドライブとなる。

しかし、今回は折角なので、アムトラックによる列車の旅で行ってみることにした。アムトラックで行くと、多少時間は掛かるものの、運転をしなくて良い上、サンディエゴが近くなると海岸線を走るので、ビーチの美しい光景を楽しむことができる。LAのユニオンステーションからの所要時間は3時間である。

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サンディエゴのSanta Fe Depot駅に到着
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車窓からは、美しい海岸線の風景を楽しむことができる

サンディエゴ・コミコン・インターナショナルとは

コミコンはコミック・ブック・コンベンションの略で、アメコミのコンベンションである。

類似したコンベンションに、毎年7月にLAで開催されるアニメ・エキスポがあるが、こちらは日本のアニメとポップ・カルチャーに特化したコンベンションである。

コミコンは世界各地で開催されているが、中でも、このサンディエゴ・コミコン・インターナショナルは世界最大級で、1970年から毎年サンディエゴで開催される国際コンベンションとして認知されている。

英語圏では、略して「SDCC」、通称「Comic-Con」と呼ばれるほか、正式には「San Diego Comic-Con International」などの表記方法が各メディアで見られる。

さて、サンディエゴ・コミコン・インターナショナルの大きな特色は、アメコミのみならず、ハリウッド映画やテレビ・シリーズのお披露目や発表、著名監督やプロデューサー、主演俳優らが登壇する大規模なパネルなどが開催されるなど、よりハリウッド色が濃いコンベンションでもある。故にマーケティング効果が非常に高く、メディアやハリウッドの業界からの注目度も高い。

ハリウッドのVFXスタジオで勤務していると、夏前になると「サンディエゴのコミコンでお披露目する予告編の締め切りがあります。残業や週末出勤が増えますので、宜しくお願いします」という社内メールが配信されることもあり、映画スタジオがマーケティング上、力を注いでいるのが感じられる。

それでは、サンディエゴ・コミコン・インターナショナル2024の模様を、フォト・レポートの形でお届けする。

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会場の周辺にはトロリーが走っているが、車両のラップ広告もComic-Con仕様
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大勢の参加者でごった返す、会場のサンディエゴ・コンベンションセンター
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会場付近のビルディングにも、Comic-Conを意識した様々な巨大なラップ広告が
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ホール8つ分を横にブチ抜いた、巨大なスペースを費やした展示会場
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アメリカでも人気の高い「セーラームーン」
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展示会場にて、人気のマーベル・ブース。ちなみにHall H(6,500席)で開催された、映画「デッドプール&ウルヴァリン」のパネルへの入場券は、事前に抽選が実施される程の人気ぶり
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ルーカスフィルムのブース
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ウーキーと記念撮影に収まる、ファンの女性
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デジタル全盛の時代だけに、高値で取り引きされる、日本の古き良き時代のアニメ・セル。お値段は、ぬぁわんと1,200ドル~15,000ドル!
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展示会場にブースを構え、ファンへのサインに応じる、寺田克也氏
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絶賛指名手配中
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コミコンだけに、各種アメコミを豊富に取り扱うブースも
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筆者のアメリカ人の友人に、幼少の頃にウルトラマンを見て日本語に興味を持ち、現在は日本語ペラペラという人がいる。様々なファンに影響を与え続ける、偉大なるウルトラマン。シュワッチ!
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世界のゴジラ
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ガンダムのブースでは、ブース来場者にアンテナをモチーフにしたグッズを配布していた。ガンダム45周年のTシャツを着たスタッフさんに、ポーズを取っていただいた
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様々なポスターを扱うブース
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パラマウントのストリーミングサービスParamount+のブース。「スタートレック」の新シリーズを見るために加入したファンも多いという
Comic-Conでは、様々なパネルが開催される。その中の1つ、「スタートレック~現在と、これから~」。会場のファンに挨拶する、ドラマ「スタートレック:ピカード」の女優、オリビア・ヤンガース
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ドラマ「龍が如く」のパネルに登壇した、俳優の賀来賢人(左)と竹内涼真(右)の各氏
画像提供:Prime Video

Comic-Conの夜

会場のサンディエゴ・コンベンションセンターの目の前には、有名なガスランプ・クォーターと呼ばれるエリアがあり、ここにはレストランやバー、ホテルなどが集中している。コンベンション期間中、周辺ホテルは一泊$300以上と超高値となるが、会場から近いので便利である。

会期中、ここではコスプレが集い、食事や親睦を楽しむには持ってこいの場所である。

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夕刻、ガスランプ・クォーター中央付近のレストラン街から、会場のコンベンションセンター方面を望む。この日は、おそらく大多数がComic-Conの来場者であろう(笑)
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懐かしい、映画「マスク」のコスプレ。雰囲気が出ている!
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ジョーカーによる、ストリート・パフォーマンス
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なぜかウォーリーの団体様が(笑)
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海辺の街に来たら、とりあえずシーフードとワインで乾杯

おわりに

以上、サンディエゴ・コミコン・インターナショナル(San Diego Comic-Con International)の訪問レポートである。いつか訪問してみたいとお考えの方、そして読者の皆様の良きご参考となれば幸いである。

WRITER PROFILE

鍋潤太郎

鍋潤太郎

ロサンゼルス在住の映像ジャーナリスト。著書に「ハリウッドVFX業界就職の手引き」、「海外で働く日本人クリエイター」等がある。