SMARTTA SliderMini2メイン画像

■SMARTTA SliderMini2
発売日:2021年8月26日
価格:
・SliderMini2:税込44,900円
・ボール雲台:税込5,480円
・3軸Z雲台:税込6,980円
・携帯ホルダー:税込3,480円
問い合わせ先:SKYROAD

スライダーが手軽に使える便利な撮影道具と進化

今回は編集部からSMARTTA SliderMini2をお借りしたので紹介したいと思う。この製品、端的には「小型の電動スライダー」である。

筆者も動画を始めたころから、撮影のために手動のスライダーを持って無人島に行ったりしたが、思えばここ最近はめっきりスライダーなるものを使う機会が減った。

外に持ち出すのが面倒というのが理由の一つ目。二つ目の理由は屋外でスライダーっぽいドリーショットを行う場合は電動ジンバルで事足りると感じるようになったからだ。

と、書くと元も子もないのだが、筆者が久々に使ったスライダーは私の知っている「うん年前」のスライダーとは異なり、手軽に使える便利な撮影道具と進化していた。そして、スライダーを使った撮影はジンバルなどで撮影する「スライダーショットっぽい」カメラワークとは次元が違うものだと考えを改めた。やはり餅は餅屋なのだ。

映像を見慣れている読者の方々は今更スライダーの効果については説明不要だと思うが、このスライダーを使っていくつか映像を撮影したのでご紹介したいと思う。

あっけないほど確実にスライダーショットが撮れるという点で、この機材を気にってしまったのは言うまでもない。

製品概要

  • ストローク:20cm
  • 大きさ:30.5mm/84.8mm/264mm
  • 重量:570g
  • 速度:最大1cm/s、最小0.1mm/s
  • 耐荷重:15kg(垂直モード時1.25kg)
  • バッテリー容量:1500mAh
  • 駆動時間:14時間(アクティブスライド最大時間)
  • 充電時間:1.5時間

ご覧のように、水平に配置の際はかなりヘビーな機材を搭載することができる。また垂直に配置した際には1.25kgまで耐荷重は落ちるものの近年の軽量化するカメラを駆動させるには十分なスペックだと思う。

鞄に入れて持ち歩ける大きさと重量

先の製品概要に記載した通り、大きさは長辺が26cm強である。本製品の重量は570g。ちょっとした撮影でも鞄に放り込めて躊躇なく持っていける大きさと重量感である。そして、三脚に載せてしまえばいかにもスライダー撮影という感じが出ないのがこの製品だ。

SMARTTA SliderMini2メイン画像

それでいて長時間の動作が可能な電動式である。速度、イーズや速度もスマートフォンで可能な点は今どきの製品そのものである。

思えば職人のごとく(?)スライダーテクニックを磨き工夫してきた筆者の努力をあざ笑うかのようである。手動式のスライダーの場合はどうしても思った速度で動作させる事が難しく、それなりの練習と撮影現場でのトライアンドエラーがつきものなのだが、電動式は動作させる速度がイメージできれば、あとは機材にお任せである。

もちろんSliderMini2がスライド動作している間に、必要に応じてパンやチルトなどのカメラワークを組み合わせてもよいが、スライド動作自体はテクニックというものを必要としない。

20cmというストローク量に関して

このスライダーの大きさはご覧の通り非常に小さい。故に、このSlider Mini2のストローク(移動距離)は20cmである。

SMARTTA SliderMini2メイン画像
SMARTTAボールヘッドとの組み合わせ

この20cmが映像における視覚効果をしっかりと出すことができるかに関しては、被写体までの距離と手前にある物体との位置関係や焦点距離に大きく依存する。例えばマクロ撮影などで被写体にグッと寄って撮影する場合においては20cmのストロークは十分に長い。一方、被写体までの距離が遠く、手前に視差を感じさせる被写体が無い場合においては60cmのスライダーであろうとスライダーによる視覚効果を得ることは出来ない。

多くの人がスライダーを使って体験している様に、スライダーによる視覚効果は結局のところ構図や被写体の配置を含めた撮影条件次第。とはいえ20cmのストロークでもしっかりとした効果を出せるシチュエーションは非常に多い。

そしてこの20cmという距離は絶妙に剛性が保てるサイズ感なのかもしれない。スライダー自身の作りや三脚、雲台の剛性、はたまたカメラの重量にも依存するが、多くの人が経験済みであるようにストロークの大きなスライダーを三脚一つで撮影するとカメラが端に到達した時点ではバランスが崩れて上下の動きを拾う。下手をすると機材の落下事故になりかねないのだ。20cmというのは安全にスライドできる絶妙なストロークなのかもしれない。

操作に関して

本体操作

まず電源は本体側面のボタンを長押しすることで起動する。ボタンを2度押しで左に移動、3度押しで右に移動する。また4度押しでセンターポジションに移動する。非常にシンプルで本体のみの操作はこれだけである。

スマートフォンを使った操作

上記以外の操作はスマートフォンやタブレットなどのデバイスを使いBluetoothで接続する必要がある。この場合専用のアプリ「Smatta Go」を立ち上げる。

最低速度設定と最高速度設定

なお、最低速度の場合は33分かけてスライド動作が行われる。最高速度の場合は20秒で20cmのスライドのストロークを使い切る形となる。

曲線モード

また、イーズの様な速度に緩急をつけたい場合は曲線モードでカーブを指定すればよい。操作は非常に簡単である。

ループモードの設定画面

ループモードとはスライダーが端まで到達した際に、反対側に向かってスライド動作を行いこれを繰り返し行うモードである。同じモーションを繰り返し行いたい場合などはこのモードを使うと良いだろう。

その他にもストップモーション(スライダーを撮影者の意図したタイミングで停止して撮影する)機能であったり、タイムラプスを撮影するモードも搭載されている。

    テキスト
タイムラプスモード※画像をクリックして拡大

このモードではあらかじめプリセットが用意されている。タイムラプスは出来上がりが予想しにくいが、プリセットを使うとどんな場面に向いているかの目安となるためタイムラプスをこれから始めたいという方には有効かと思う。

また、タイムラプスモードとストップモーションモードでは付属のケーブルを使って本体とカメラを接続すれば、カメラ側のレリーズを行ってくれるのだが、残念ながら付属のケーブルはキヤノンとソニーに対応のみである。

左からソニー用、キャノン用の2本

試しに付属の3極ケーブルをLUMIX GH5SのRemote端子に接続してみたところ、同機種ではスチルのシャッターが下りない代わりに動画のRec信号が送られ、動画の記録が始まってしまった。

試行錯誤した結果、裏技的ではあるがGH5Sではスチルモードに入れ、メニューの動画ボタンをOFFにするとスチルのシャッターが降りる事を確認した。他の機種ではこの技が使えない可能性がある(S5では同メニューが存在せずRECが始まる)。

GH5Sを使用したモーションタイムラプスの設定

いずれにせよ正規の使い方ではないため、是非Panasonicをはじめ他のメーカーに対応したケーブルをオプションで発売してほしいところだ。

バッテリー駆動でのロングライフが可能

使った印象としてはこのスライダーのバッテリーは非常に持ちが良い。ループ動作を行う際などを想定して、給電しながらの使用も可能となっている。通常の屋外撮影においては1日持ち歩いて撮影してもバッテリーが無くなる事はないと思われる。

使った感想

駆動音に関して

モーターの駆動音に関して低速から高速までうるさくないまでも、カメラのマイクがしっかり拾う程の音が発生する。そのため、インタビュー動画などで使用する場合はマイクがなるべくSliderMini2の音声を拾わない様に工夫が必要になる。外部マイクを使用するか、もしくは外部収録をおこないつつスライダーとマイクの距離を保つ必要がある。

なお、筆者はライブ配信で本製品をループモードで使用したのだが、その際の筆者のピンマイクとの距離からおよそ1m~1.5mの位置にSliderMini2を配置。結果BGMや環境音に紛れたせいもあり、全く動作音に気付いた視聴者は居られなかった様だ。

環境音がほぼ無い状態かつ音声のみの配信などを行う際は、駆動音を拾うはずだが、外部マイクさえ使ってしまえば、さほど神経質になる必要はないのかもしれない。

ライブ配信での使用例

デスクに置いておきたくなる大きさ

SliderMini2は特機という感覚よりもかなりガジェット感が強い製品である。前述の様に大きさもコンパクトで重量も軽い。見た目にも主張のすくない無骨なデザインではあるがそれが逆に私がデスクに常備したくなる所以かもしれない。

ちょっとした時にSliderMini2を起動させて、いわゆるSNS映えするような数秒のブツ撮り動画を労も無く撮ることができる点に関しては需要がそれなりにあるかと思う。

狭い所で威力を発揮する

車の中など狭いスペースでロングストロークのスライダーを設置することが困難なシチュエーションでもこのスライダーは便利である。

また、キッチンやデスク周りを撮影したいなど、三脚を立てるスペースが無くてもテーブルトップスライダーをして使う事ができる。

狭いスペースこそ長いストロークは不要なので、このスライダーにはもってこいのシチュエーションだと思う。

ライブ配信にマッチするループ動作

実は、この製品を使ってみようと思ったのは、PRONEWSでもおなじみの友人の照山明氏がライブ配信でこの手の製品を使っているのを見たからだ。前述の様にループモードはスライダーが同じ動きをひたすら繰り返すモードである。YouTubeなどでのトーク中心のライブ配信において、映像としてみる場合はどうしても退屈な画になってしまうのだが、スライダーがループ動作を行うだけでも視聴者の印象は異なる。このスライダーをライブ配信時における常設機材として使うのも面白い。

改善を望む点

まず、この製品は操作においてはスマートフォンを使う事が前提となる。もちろん先に述べたように本体のみでの単純な動作は可能ではあるものの、速度の調整やイーズの設定に関しては必ずスマートフォンアプリでの操作が必要となる。流石に撮影現場にスマートフォンを忘れていく事は少ないと思うが、本体だけで、もうすこし自由度のある操作が出来たらいいのにと思うのは筆者だけではないはずだ。

また、ループ動作などの切り替え操作においてもスマートフォンが必要となるのだが、そのループ動作では設定は速度の設定のみであり、イーズの調整を行う事ができない。構造上難しいのかもしれないが、できればこれに関しても機能追加を望む点である。

まとめ

とにかく、従来のスライダーに比べてその小ささと軽さは画期的なほどだと思う。これだと鞄に忍ばせてちょっとしたスライダーショットを屋外で撮るという気にさせてくれる製品だ。

ジンバルや手動式のスライダーでは現場ではしっかり撮れたと思っていても、いざ収録後に大画面で見ると上手く撮れていないというケースを筆者は多く経験してきた。もちろん技術を磨き経験を積めば失敗の頻度は少なくなるのだが、それでも余分なテイクを重ね「数撃ちゃ当たる」的な撮り方をいまだにするもので、それは非常に原始的な撮影方法だ。

このSliderMini 2はお借りしている間、同機材は筆者の撮影をスマートにサポートしてくれた。これが文明の利器というものなのだろう。設置さえしっかりすればあとはRec中は背面モニタチェックしているだけである。むしろ、その状況は映像チェックというよりもスライド動作の映像に見入ってしまう感覚に近いものだ。

この製品、単にスライドするという動作しかできない製品ではあるが、スライダーを使った正確な撮影は、やはりジンバルなどでは代用がきかないものだと感じずにはいれないものだった。しばらくお借りしていた同機材だが、正直お返しするのが惜しくなってしまったことを最後に述べておきたい。

SUMIZOON|プロフィール

2011年よりサラリーマンの傍ら風景、人物、MV、レビュー動画等ジャンルを問わず映像制作を行う。機材メーカーへの映像提供、レビュー執筆等。現在YouTube「STUDIO SUMIZOON」チャンネル登録者は1万人以上。Facebookグループ「一眼動画部」主宰「とあるビデオグラファーの備忘録的ブログ」更新中。

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編集部

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PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。