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今年のCES 2024は「ALL ON(なんでもあり!?)」
今年もSIN CITY(罪み深いの街)ラスベガスが年始のテクノロジー熱狂に包まれる時期がやってきた。CES 2024がいよいよ開幕だ。2024年1月9日~12日の4日間の開催で、来場者数 130,000人以上、展示企業数4,000社以上うちスタートアップ展示数1,200社以上が見込まれている。数値の昨年比較は、CES 2023来場者数118,000人、展示企業数3,273社、スタートアップ展示数1,051社と、昨年より1割増しだ(ちなみにパンデミックが広がる前のCES 2020の来場者数は約175,000人)。
ラスベガスの街自体も球形LEDシアターSphereができ華やかさが増している中で、今年はCESの主催のCTA (Consumer Technology Association) が100周年を迎える。CES 2024のタグライン『ALL ON(なんでもあり!)』も含めて、年始のトレードショーらしく華やかとなりそうである。
1年の計はTech Trend To Watchにあり
今年もワクワクするテクノロジーに出会えることに胸躍る中、メディアデイのキックオフイベントとも言える「Tech Trend Watch テックトレンド」と「Unveiled」に参加してきた。話題に事欠かないラスベガス同様、今年のCESではどのようなトレンドやプロダクトが注目されるのだろうか?CESの主催CTAに参加4年目のフューチャリストであるブライアン・コミスキーと、リサーチャーのジェシカ・ブースがテックトレンドを紹介していく。
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今年も昨年以上に多くのメディアがテックトレンドセッションに参加していた。下に掲載した写真を見てほしい。30分並んで入場した後に、立ち見も多く出るほどの人気ぶりだ。
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結論から言うとInternet of the Thingsや昨年のMetaverse of the Thingsなどのキラーワードは特になく例年に比べると比較的地味なセッションだったと言える。しかも開始早々マイクのハウリングが続き、参加メディア数の多さに比較して、少々がっかり感が否めない。機材トラブルも含め登壇したスピーカーが変わったのも大きいかもしれない…。
ただ、その中でもAI、GenZ(11歳から26歳までの世代)動向やゲームについては面白いトレンドを紹介していた。当レポートではそれらを中心に紹介していく。トレンド全体を把握したい方はCESが提供している資料がCES2024のサイトからダウンロードをお勧めする。
まずはトレンドの中心はAIだ
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ChatGPTなどの生成AIが登場したことにより、AIが一般の人にも普及し始めた。CESはコンシューマーテックを中心としているのでこのAIの一般普及というのを大きく見ているようだ。昨年までのCESテックトレンドでもAIは出てはきていたが、今年のようにハイライトされたことはない。CES 2024では一つのトレンドとして「AI」が取り上げられているのも今年の特徴だ。
テックトレンドでは、一般消費者のAIへの期待値を紹介していたのだが、「革新的Innovative」「未来的Futuristic」「インテリジェントIntelligent」というAIを期待する想いが上位を占めていた。ChatGPTやmidjourneyなどを使ってみて怖いよりも便利と思う人が増えていることも背景にあるのだろう。
そして、テクノロジーを積極的に活用するGenZ世代が市場に大きな影響を表すようになってきていることも影響しているかもしれない。アメリカのGenZの86%はテクノロジーが生活に役立つと考え、テクノロジーに積極的にお金を払う。また、世界のGenZの90%が新興国に住んでいる。そして、2027年までに10億人が新規にインターネットに繋がる見込みがある中で、テクノロジーを積極的に取り入れるGenZがテクノロジー市場を拡大し続けていきそうである。
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スピーカーのジェシカは、テクノロジー市場の拡大には、消費者のニーズとエンタープライズ企業のイノベーションが欠かせないという。GenZが求めていくテクノロジーニーズに企業が応えていくこともテクノロジー市場を拡大させるためには必要となる。
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Unveildでも面白い生成AIスタートアップに出会った。フランスのスタートアップ「IMKI」だ。これは生成AIがデザインしたファッションアイテムだ。縫製工場の制約事項をセットしておき、そのルールに従ってデザインを提案してくれるという。今でもUTのように消費者のニーズに合わせたTシャツの製作はできるが、いずれはTシャツプリント以外にもあらゆるファッションアイテムもユーザーが作れる時代がくるかもしれない。
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ゲームに関するテックトレンドが興味深い!
ゲームについてもテックトレンドでは興味深い動向が語られていた。現在消費者が多くお金を払っているソフトウェアはNetflixなどのビデオストリーミングが一位で、ほぼ同じ割合でゲームが続く。
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このゲームも、モバイルゲーム、PCゲーム、コンソールゲームなど複数プラットフォームに跨いでいるのだが、より没入体験を求めるトレンドとなるそうだ。確かに、VRゴーグルが普及し、よりスリルある体験が提供できるようになったのでバイオハザードも VR化された。Apple Vision ProやMeta Quest 3などのデバイスも普及することにより既存のゲームのXR化なども加速しそうである。
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「Unveiled」ではXRデバイスのXREALが最新デバイスを紹介していた。イメージマーカーを組み合わせてARコンテンツのコントロールができるようになるデモなのだが、スマートグラスに映っている情報を手元のカードを動かすことにより切り替えることができた。このデバイスとマーカーの組み合わせが発展していくとARゲームとリアルボードゲームを組み合わせた新しいゲームが開発できるかもしれない。
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そして、いよいよ始まるCES2024
テックトレンドセッションでは紹介されていなかったが、今年はフードテックエリアが拡大し、ビューティーテック分野で初めてロレアル社が基調講演を行う。見どころはいくつもある。
いよいよ始まるCESではAIやゲームはもちろん、フード、ビューティー、そしてホンダが新たなEVを投入するモビリティーエリアなども見てまわりたい。さらにソニーホンダモビリティのブースも新規に登場している。実際に自分の足で調査して、今年のトレンドを届けしていくので期待していて欲しい。
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