ソニーは、NAB2025の同社ブースにおいて、2025年7月に発売予定のシステムカメラの新商品「HDC-F5500V」の展示を行った。同社は長年にわたりシステムカメラを手掛けているが、本製品は従来の3分の2インチB4マウントではなく、PLマウントを採用している。イメージセンサーには、スーパー35mmの4Kグローバルシャッター機能を有するCMOSセンサーを搭載している。これは、一般的にラージセンサーと呼ばれるものを搭載したシステムカメラであると言える。

実際に撮影される映像は、ラージセンサー特有の浅い被写界深度による表現が可能となる。例えば、音楽ライブ制作やドラマ制作といった用途に最適としている。

今回発表されたHDC-F5500Vは、Vの付かないモデルが既に日本国内でリリースされており、ライブ音楽制作やドラマ制作などで活用されている。

新商品の特徴は、型名末尾のVに示される光学式可変NDフィルターを標準搭載していることだ。光学式の可変NDフィルターが標準搭載されている点が特筆される。

従来のシステムカメラにおけるNDフィルターの透過率は段階的に設定されており、撮影シーンに応じて適切な透過率のフィルターを選択する必要があった。しかし、本モデルにおいては、NDフィルターの透過率を0.3(1/2=1ストップ)から2.4(1/256=8ストップ)の範囲でシームレスに調整することが可能となっている。

例えば、アイリスを固定した状態で明るさの調整が可能となる。これにより、撮影現場における映像表現の自由度へ、アイリス操作を伴わずに拡大する点が重要である。

ブースでは、特徴的な機能の一つとして、被写体深度コントロール機能が紹介された。HDC-F5500Vにはこの機能が搭載されており、例えばF値2.8で可変NDが1/23に設定されている場合、リターンコントローラーから被写界深度コントロール機能を割り当てた状態で操作することで、明るさを一定に保ちながら被写界深度のみを調整できる。

アイリスと可変NDを同時に連動制御させることにより、明るさを維持したまま、ボケ味の程度を調整することが可能となる。これは、ソニー独自の興味深い機能と言える。