日本ビデオシステムは、国内においては放送・業務用機器のブランド「PROTECH」の名で有名だが、NAB 2025では「ACEBIL」として出展。光伝送装置、ビューファインダー、モニターの新製品を展示した。

特に注目を集めたのは、RAIDおよびTBSアクトと共同開発したシネマカメラをブロードキャスト仕様に拡張する光伝送システム「Polaris」だ。TBSアクトのチームの意見を取り入れ、現場の視点から全面的に改良が加えられており、以前のモデルから大幅な変更が見られた。

Polaris対応カメラは、KOMODO、KOMODO-X、V-Raptor(S35)、V-Raptor VV、V-Raptor [X]、V-Raptor XL、DSMC2(RED Digital Cinema社)/Ember(Freefly社)/Venice 2(ソニー)などだ。

操作性においては、インカム系統がスタジオカメラと同様の操作方法が可能。また、コネクターは全てカメラ側へ向きが変わり、後方へ突出しない設計となっている。これにより、狭い室内においても後方へスペースを確保することなく撮影が可能となる。

冷却ファンについても改良が加えられ、動作音はほぼ無音となった。高負荷時にはファンが作動するものの、撮影時の音声に影響を与えないレベルに抑えられている。

「Sirius」の展示も注目を浴びていた。Siriusのロゴが本体にあしらわれ、以前のモデルと比較して外観および内部構造において進化が見られた。Sirius対応カメラは、KOMODO、KOMODO-X、V-Raptor(S35)、V-Raptor VV、V-Raptor [X]、V-Raptor XL、DSMC2(RED Digital Cinema社)/Ember(Freefly社)などだ。デモンストレーション機はV-RAPTORに接続されていた。

Siriusには、3G-SDIおよび12G-SDIに対応したモデルが存在し、3G-SDIモデルはHD映像に対応する。12G-SDIモデルにおいては、映像伝送に加えて、ビューファインダーでの映像確認を可能とするリターン切り替えオプションが用意されており、システムカメラのような運用を特徴としている。

Siriusには、新型OLED接眼ビューファインダー「EVF-07V」が組み合わさって展示が行われていた。この接眼ビューファインダーは、1年前のNABでも展示されていたが、その時点から大幅な改良が加えられている。0.7型フルHD有機ELパネルを搭載し、光学系が大幅に見直された結果、クリアで視認性の高い映像表示を実現しているとのことである。このビューファインダーの搭載により、ワンマンオペレートの実現が期待される。

また、7インチOLEDビューファインダー「HDF-777」との組み合わせにより、小規模から中規模のスタジオに適したシステム構築が可能であるとしている。

カメラリモートコントロールユニット「RCP-TA1000」の展示も重要な点である。同製品は、RED、ARRI、キヤノンのカメラに対応する。これまではプロスタジオリモコンシリーズ「RM-C10」として、カメラ制御に特化したシンプルなモデルが提供されていたが、「RCP-TA1000」に多岐にわたる機能を搭載し、操作性の向上が図られている。

基本的な操作性は従来モデルを踏襲し、メニューへの迅速なアクセス、RGB調整、アイリスコントロール、カメラ番号の即時変更が可能である。加えて、背面には12ピンカメラレンズポートが搭載されており、このポートを介してレンズへ直接接続できる。これにより、アイリス制御をジョイスティックから行うことが可能となる。

さらに、セットアップにおいては、従来他社製品で一般的であったコンピューターを用いたネットワークIPアドレスの設定が不要となり、「RCP-TA1000」単体で直接設定できる利便性が備わっている。