ニューフォリアのブース
「デジタルサイネージジャパン」に先端技術を見る!
6月11日から13日にかけて、今年も幕張メッセで「デジタルサイネージジャパン」が開催された。今年で7回目の開催になる。「Interop Tokyo」などとの同時開催で、今年からはアプリに関する展示会「アプリジャパン」も加わり、13万人を超える来場者が集まるビッグイベントであった。
デジタルサイネージ関連の展示の中で、今回特に注目されたのが、デジタルサイネージとスマホアプリの連携に関連する展示である。とりわけニューフォリアのブースでは、日本にやってきた外国人観光客の行動をモデルケースにしてSightseeing、Shopping、Station、Sports Barという4つのシーンを設定し、それぞれの利用シーンにおけるデジタルサイネージのコンセプト提案を先端技術を駆使して行った。
Sightseeing場面を想定した展示
Sightseeingのコーナーでは、観光地に設置されたデジタルサイネージで、観光案内を表示させるデモを行った。インタラクティブな操作は、サイネージディスプレイのすぐ横に設置されたタブレットで行う。大画面のサイネージには観光地の写真や動画が表示され、タブレット側にはマップ上にその観光スポットがプロットされる。さらに観光客の手持ちのスマートフォンに対して、WebSocketを利用してサイネージの関連情報としての地図を表示させていた。
操作用のタブレットとサイネージに連動するスマートフォンの表示
また、旅行者はそのままスマートフォンを持って目的の観光地まで歩いて行くことを想定し、スマートフォンで目的地までナビゲーションする。ナビの方法もカーナビのように地図上に経路を表示するのではなく、スマートフォンの画面上に進むべき方向が矢印で示され、目的地までの距離も併せて表示される。実際の見知らぬ場所での街歩きを考えると、地図上で経路を表示するよりもはるかにわかりやすい方法だ。
矢印で目的地までナビゲートする
このシーンでの技術要素は、HTML5によるWEBベースのデジタルサイネージとWebSocketによるタブレットやスマートフォンとの連携である。スマホアプリは同社のアプリカンという、ハイブリッドアプリ開発の支援ツールを使って開発している。アプリカンはHTMLとCSS、JavaScriptだけでiOSアプリとAndroidアプリが同時に開発できるものだ。
民生テレビのブラウザだけでデジタルサイネージを実現させている
Stationのコーナーでは、駅のサイネージをデモしていた。一見すると何の変哲もないのだが、これらは市販のテレビ(民生機)に内蔵されたブラウザだけで、HTML5ベースで表示されており、サイネージ用のSTBはもちろん、専用のソフトウェアやアプリも使用していない。これによってデジタルサイネージの初期導入コストが押さえられ、万一のトラブル発生時の障害の切り分けも容易になる。またSTBレスなので、設置スペースも柔軟に対応できるメリットがある。
Shoppingを想定したデモ
Shoppingのエリアでは、「Leap Motion」を利用してジェスチャーコントロールで、さまざまな洋服を探すというデモを行った。また手持ちのスマートフォンに対して同じ画面を旅行者の母国語に翻訳して表示させていた。このアプリもアプリカンで開発したものだ。
Leap Motionを使ったジェスチャーコントロールでデジタルサイネージを操作する
サイネージは英語表示
ロシア人旅行者のスマートフォンにはロシア語を自動表示
最後がSports Barでの利用シーンである。ここでは店内でサッカー中継を見ながら、応援しつつスマートフォンを振ることで、その回数に応じて割引クーポンが発行されるというデモ。何回振ったか、クーポンがどれくらい発行されたかは店内のサイネージにも表示され、観戦しながら客同士も競い合って楽しんでもらおうというものだ。
パブリックビューイングを盛り上げるためのフリフリ系アプリ
スマートフォンをシェイクさせる
シェイクした回数によって店の割引クーポンが発行される
また旅行先でメニューが読めず困った経験はだれでもあるだろう。そこでスマートフォンのカメラでメニューを写すと、自動翻訳されるアプリも紹介していた。
旅行者には嬉しいメニューの自動翻訳アプリ
ニューフォリアの一連の展示は、デジタルサイネージ市場の一層の拡大を、導入コストの低減や利便性の向上で実現させ、そのためにWebSocketやハイブリッドアプリなどを上手く組み合わせようという取り組みである。ハイエンド市場がある程度落ち着き、これからロングテール的な市場を開拓していくためには、必要不可欠なアプローチだろう。
同社はデジタルサイネージ向けのコンテンツアグリゲーションにも長年取り組んでおり、今後は小規模な広告や販促利用のためのマーケットプレイス構築も検討していくようだ。これまでのようなモノ売り主流のデジタルサイネージ業界において、一石を投じるような動きに注目をしたいと思う。