欧州家電ショーであるIFA2014に今年も参加してきたが、意外にもデジタルサイネージそのものの展示と、演出としての利用事例が多いので、今回はそれらをまとめて紹介したい。
実際の展示演出としての利用例
■パナソニック
衣料品売り場を想定した背景をプロジェクターで
はじめはパナソニックの98インチ4Kディスプレイの展示である。これはパナソニックの製品そのものの展示であるのだが、利用シーンごとにディスプレイ周辺の壁に別のプロジェクターを利用して、ディスプレイ画面の中身と周辺を連動させている展示演出である。同様のことは、駅の柱に取り付けられたサイネージにおいて、ディスプレイが取り付けられている柱に関連したラッピングを施す事例がこれまでにもいくつかあり、効果的であったのだが、ラッピングは可変できないのに対してプロジェクターによって周辺の映像も変化させることができるわけだ。
空港での利用を想定して
それならばいっその事全部プロジェクターでいいと思うのは間違いである。理由は2つあって、1つは画質と輝度の違い。もう1つは直接光と反射光の違いだ。これらの違いによって、重要な情報はディスプレイ側を使うことで効果を上げることができる。プロジェクターの映像をディスプレイの所だけ切り取ること無くそのまま前画面でプロジェクションしても、ディスプレイの映像の方が明るくて強いのであまり気にすることはないと思う。もちろんきちんとマッピングする方がいい。
中が透けて見えるプロジェクションマッピング
もう一つもパナソニックの事例である。これは今年復活を遂げたテクニクスの展示エリアのプロジェクションマッピングだ。変形させて並べた立方体に投影したもの。表面にそのまま投影したり、中身が透明に見えたりと派手さはないが、なかなか洒落た使い方である。
■ソニー
ソニーブースは壁面が全部プロジェクター
プロジェクター利用では、ここ数年のソニーブースは、ブース全体を取り巻くようにカーブした曲面がさまざまな投影を行っている。広大なスクリーンは空間演出として非常に効果的だ。
■サムスン
冷蔵庫の実機無しでのデモンストレーション
ありそうでなかったのは、冷蔵庫の機能説明において、実機を置かずに全てディスプレイだけで完結させた例だ。サムスンの冷蔵庫の展示で、同社の84インチ4Kディスプレイを使って、色を変えたり、必要な部分に但し書きを入れたりしている。大画面化と高精細化で、こういう使い方が適している場面は他にも多いと思う。他に部分的にドアの部分だけディスプレイ化しているデモもあった。
必要な機能説明のために表示を自由自在に変えられる
ドア一つだけの場合
サムスンは新ホールでサイネージ事例を大量展示
今年からオープンした新しい展示スペースである「CityCube」に、サムスンは展示スペースを移動させ、広大な空間の2階部分を独占使用した。あまりにもスペースが広いからなのか、理由はよくわからないが、家電の展示会であるIFAにも関わらず、デジタルサイネージの展示も驚くほどスペースを割いて行っていた。
テレビのエリアでは、ほとんどが4Kの湾曲テレビで占められていて、その象徴として写真にある湾曲ディスプレイをモニュメント的に配したものが出迎える。実際にはこういう変形よりも、CESでそうだったように、普通に曲面で大画面を構成したほうが迫力があったかもしれない。
湾曲ディスプレイをアピールするサムスンならではのモニュメント
デジタルサイネージの展示としては、ファイナンス、ホスピタリティー、トランスポーテーション、インフライト、リテール、レストランなどのカテゴリーに分けられ、それぞれの利用シーンをブースに再現していた。中でも特徴を挙げるとすれば、株価ボードを84インチの4Kディスプレイ2台を使い、各ディスプレイを4分割して情報を表示していた。ディーリングルームなどではこういう用途もありそうだ。また屋外用ということで、65インチで2500カンデラという超高輝度のモデルも展示があった。
細かい文字も4K解像度で十分判別可能
ホテルの客室でに館内テレビもサイネージの一部
ホテルのレセプション
電車運行情報
空港での案内表示
機内ビデオとタブレットによる機内配信
フライトインフォメーション
リテールでのインストア
リテールでの大画面4K
リテールでの変則設置とお手軽サイネージ
リテールでのショーウィンドウ
65インチ2500カンデラの屋外用超高輝度ディスプレイ
明るい場所での2500カンデラと従来機800カンデラとの比較
レストランでの使用例