V-1SDIをはじめ新製品が勢揃い。DJ市場にも本格参入

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ローランドは、日本時間9月9日から10日にかけて、オークランド、パリ、ブリュッセル、ベルリン、トロント、ニューヨーク、ロサンゼルスの8都市をインターネットのライブストリーミングにより、リレー中継して行ったオンラインイベント「The Future Redefined」を開催。シンセサイザーや電子ドラム、デジタル管楽器、DJ機器、ギターアンプなど最新の電子楽器類31機種を発表した。

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国内では、9月9日に東京・飯田橋にあるベルサール飯田橋にて、マスコミや関係者などが招待され最新の製品紹介のほか、新製品を使ってのミュージシャンによるライブ演奏などが開催された。このような規模でライブストリーミングを使った製品発表はローランドでは初めての試みとなっており、発表された新製品の全てを実際に手に取って演奏&操作可能なハンズオンのコーナーも併設されていたほか、輸入商品の新製品を紹介するコーナーも設けられていた。

3G-SDI搭載のV-1SDI登場!

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HDMIや3G-SDI入出力に対応したほか、DSK機能が搭載されたビデオスイッチャーV-1SDI

V-1SDIは、ビデオ入出力がHDMIの現行機V-1HDに3G-SDIを搭載した機種で、新たにテロップやロゴをインポーズ可能なDSK機能などにも対応している。入力チャンネル数はV1-HD同様4chだが、1chと2chが3G-SDI入力、3chが3G-SDIまたはHDMI入力、4chがHDMIでスケーラーが搭載されており、HD以外のビデオフォーマットにも対応可能。DSKはこの4chを利用することで実現しており、クロマキーまたはルミナンスキーによる合成が可能となっているほか、サイズや表示位置などの設定も可能。PCなどを接続して手軽に文字やロゴをスーパーできることが特徴となっているようで、独立したキー入力には対応していない。

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基本的なデザインや大きさなどは現行機V-1HDとほぼ同じだが、DSKが搭載されたことで、トランスフォーマーボタンがDSKになっている

最近は比較的安価な業務用カメラでもSDIに対応した製品が多くなり、こうしたカメラと組み合わせることで、マルチカメラによるライブスイッチングや収録がリーズナブルかつ手軽に実現可能となったといえよう。また、HDMIケーブルよりSDIで使われる同軸ケーブルの方が安価かつ柔軟性のあるケーブルで長距離伝送が可能なので、カメラの取り回しもよく運用性の面でもメリットがあるといえる。価格はオープンとなっているが、20万円ほどになる模様。

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4系統の入力と3G-SDIによるPVW、PGMの2系統出力を装備しているほか、プログラムアウト/プレビューアウト/4画面マルチビューワーに設定が可能

往年のローランドがよみがえる

同社はシンセサイザーや電子楽器、ビデオ機器などを主な商品としているが、今回Serato社との共同開発による、DJコントローラー「DJ-808」や、アナログレコード用ターンテーブル「TT-99」、DJミキサー「DJ-99」を発表。新たにDJ市場に本格参入した。

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DJコントローラーDJ-808は、PCに収録された音楽ファイル再生のほか、ターンテーブルやCDプレーヤー、マイクなども接続可能。ボイスエフェクト機能を搭載しており、リバーブやキーススケールなどの設定が可能

DJ-808はSerato社のDJソフト「Serato DJ」用の専用のフェーダーやマルチカラーパット、スピードやスクラッチ操作を行うプラッターなどが搭載されているほか、ローランドのTRシリーズのリズムサウンドやTR-REC方式のステップシーケンサーを内蔵しており、独自のリズムパターンの作成や演奏などに対応している。また、同社の電子楽器と同期可能なAIRA LINKも搭載されている。

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Serato社のDJソフトSerato DJに完全対応。PC内の楽曲ファイルの選択や各種エフェクトなどが可能

TT99

ターンテーブルTT-99とDJミキサーDJ-99。トルクの強いダイレクトドライブ方式を採用しており、スクラッチプレーも安心して行える。ミキサーはDVSインターフェース用の端子を装備しており、DJソフトとの連携も可能

TT-99およびDJ-99は1983年に発売されたリズムマシーン「TR-909」の発売33周年を記念してワールドワイドで3,000台数限定発売(国内500台)するもので、TR-909のカラーリングやデザインを踏襲したものとなっている。TT-99は、トルクや立ち上がりといったDJターンテーブルに必要な性能を備えているほか、SP盤用の78回転にも対応している。DJ-99には酷使されることの多いフェーダーにAudio Innovate社の非接触クロスフェーダーを採用している。

電子楽器としては、往年のアナログシンセを最新のデジタル技術で復活させたプラグアウトシンセサイザー「System-8」やリズムコンポーザー「TR-09」、ベースライン「TB-03」、ボコーダー「VP-03」の4機種が発表された。

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往年のアナログシンセを現代に甦らせるプラグアウトシンセサイザーSystem-8

System-8はACBテクノロジーにより往年のアナログシンセサイザー「JUPITER-8」や「JUNO-106」を再現できるとともに、最大4機種までのシンセサイザーエンジンを本体にロードすることが可能で、この4台のシンセサイザーを自由に組み合わせての演奏が可能となっている。

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ベースラインTB-03、ボコーダーVP-03、リズムコンポーザーTR-09

TR-09、TB-03、VP-03はそれぞれ「TR-909」「TB-303」「VP-330」を現代に再現したもので、音色だけでなくデザイン的にも当時を再現している。その他電子楽器として、エアロフォン「AE-10」や電子アコーディオン「FR-4x」、電子ドラムVシリーズ、電子ピアノ「GP-607」「RP-501R」「DP603」「FP-90」といった製品が発表された。

Aerophone

エアロフォンAE-10。ソプラノからバリトンまでのサックスのほか、フルート、トランペット、バイオリン等の管弦楽器などを再現可能

FR4x

電子アコーディオンFR-4x。162オーケトラ音色、32オルガン音色、3ドラムセットと多彩な音色を内蔵

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新製品の電子ドラムVシリーズ。フラッグシップモデルTD-50KV。TD-50Kのほかコンパクトに折り畳み可能なTD-1KPX-Sの3機種が発表された

CP607

グランドピアノタイプの電子ピアノGP-607。そのほかにアップライトタイプとして「RP501R」と「DP603」、ポータブルタイプの「FP-90」が新製品として発表された

海外ブランド輸入販売開始

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英Aston Microphones社のマイクロホンAston Originと上下に対する吸音と遮音にも対応。スタジオや自宅などでボーカルブース環境を提供するリフレクションフィルター「Aston HALO」

ローランドはヘッドホンメーカーのV-MODA社を傘下に入れたほか、新規事業として新たに英Aston Microphones社のマイクロホンや豪Audiofly社のイヤーモニター、英FLUID AUDIO社のモニタースピーカーといった海外ブランドの輸入販売を開始する。会場ではこうした輸入製品のブースも設けられており、新製品を中心とした出品が行われた。

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FLUID AUDIO社のパワード対応ニアフィールドモニタースピーカー

AF

Audiofly社のイヤーモニター

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V-MODA社のDJ用ヘッドホン

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編集部

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PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。