txt:稲田出 構成:編集部
8K技術をリードするアストロデザインプライベートショーが今年も開催!
4K/8Kをリードするアストロデザインは、6月13日、14日の2日間、東京・大田区の本社内において 毎年恒例となっている「Private Show 2019 in東京」を開催した。
会場では、8K映像技術を主軸とした、スポーツ、芸術、医療、インフラ検査など多岐にわたる分野への提案を行うほか、「8Kを活用したインフラ検査」「8Kで人物を撮るということ」「8K編集時代のH/W、S/Wにおける課題・考察」「8K時代に向けて:スポーツ/イベントでの8Kライブビューイング実施」といった技術セミナーも開催され、ハード、ソフト両面から今後の発展が期待される8Kをアピールした。
元々測定機器の会社としてスタートした同社だが近年は測定機器よりも制作機材に力を入れているようで、会場でもそうした制作機材やソリューションが目立っていた。
会場は本社ビルの2階と6階で開催され、2階は高輝度8Kプロジェクターと8K/120p映像技術を応用した、アクティブシャッター方式による超リアルな3Dコンテンツを22.2ch音声システムで体感できる8Kシアターや、8K 120Hzシート型有機ELディスプレイ、化学分析および検査機器を披露。
科学分析・検査は、超高速カメラ、マルチスペクトルカメラ、新原理超解像レーザー顕微鏡、外観検査装置、8Kカメラ自動検査装置が紹介されており、医療分野を始めとして様々な業界での8K利用を提案。
8階では、カムコーダーやマルチパーパスカメラなど、アストロデザインが開発した様々な形状の8Kカメラのほか、水中撮影・VRなどの8Kアプリケーションを紹介していた。
また、Tamazone WorkstationによるAIやCGVR、アップコンバート技術や高精細3DCGによるバーチャルミュージアム。ハイパフォーマンスコンピューターTamazone Workstationを使用したノンリニア編集システムのほか、簡易リニア編集システムや240P/120P/60Pに対応しスロー演出の可能なビデオサーバー、4系統のスーパー入力に対応した8K DSK、8K to HDの切り出し用コンバータ、12G-SDI対応55インチ8Kモニターを紹介。
映像などのデータをネットワークで伝送するための各種製品として、8Kの超低遅延IP伝送装置や館内共聴システム、新製品のTSマルチプレクサに加えて、人が身に着けるウェアラブルカメラBody Cameraの実演デモなども行われていた。
AI・CGVRのコーナーではマルチユース8KカメラCM-9019-Bと250°の画角をもつフィッシュアイレンズを組み合わせた撮影システムや自社開発のニューラルネットによるディープラーニングシステムを出展
3DシステムはEntaniya Fisheye HAL 250フィッシュアイレンズを装着した8Kカメラ2台とCCU、ヘッドマウントディスプレイなどで構成されており、高解像度の円周魚眼映像を撮影可能
3D撮影時でもビュアーによりその効果を確認して撮影できる
ディープラーニングによるFHDからUHDへの変換と通常の返還時の画質比較。ニューラルネットにより高速処理と高画質を両立
Postiumは同社が国内代理店をつとめているもので各種LCDモニターを展示。9インチから31インチまでの4ラインナップと2連、3連モニターなどを扱っている
SD-7822はHD/3G-SDI信号のフォーマット情報、音声パケットの有無、タイムコード情報等を手軽に確認できる測定器で、フィールドでの使用を想定しており、小型軽量でバッテリー駆動可能。片手での操作もできる
HD-1679は4K 2系統のライン入力に対して最大8系統のスーパー入力を外部キー・セルフキーにて合成し出力することができるDSKで、ライン2出力の他、スーパーインポーズを確認するプレビュー出力を備えている。また、スーパー同士を合成し出力するコンバイナー装置(USK)としても使用可能
4K DSK HD-1679によるロゴのスーパーインポーズ。12G-SDIまたは3G-SDI×4本の4K入出力に対応、12Gと3Gの混在も可能
デジタルビデオ信号発生器VG-879、VM-1876-MD。HDMI 2.0a、V-by-One HS、12G-SDI、DisplayPort 1.2aなど最新規格に対応したほか、8K/120p、4K/120p、FHD 240Hzなど高速信号伝送をサポート。インターフェースはスロット形式を採用しており、ユニット構成の変更により各種インターフェースや信号形式に柔軟に対応できる。今回新製品であるHDMI2.1ユニットを装着したモデルを出展。このユニットにより8k/60p YCbCr 4:2:0や4K/120p YCbCr 4:4:4での伝送が可能になったほか、FRLおよびTMDSモードに対応
12G-SDI信号発生器VG-886。今回2台のVG-886を同期して8K120pを出力デモしていた。1台につき4K120pを2枚出力。リファレンス信号を接続して2台を同期させている。LANケーブルにより2台を同時にコントロール
DisparityPort1.4対応テストディバイスUCD-400。同社が国内代理店をつとめているUNIGRAF社のもので、DisplayPort 1.4準拠の入出力インタフェースに対応。HBR3により最大8K/30pおよび4K/120p解像度の入力信号解析のほか信号出力機能に対応しており、シンク、ソースおよびリピータ機器の試験が可能。なお、オプションでVESA認証のDP1.4 LL CTSおよびDCP認証のHDCP2.2 CTSの各認証試験機能にも対応できる
IT-5112とIR-5113による低遅延IP伝送システム。8K(4:2:2/60p)の映像・音声を受信して圧縮を行い、10GBASE-Rに変換してIPで送受信するシステム。受信側ではIPを受信して伸張を行い、8Kを12G-SDI×4系統で出力可能。遠隔地への8K素材伝送や会議システム等、低遅延を求められるところに最適なシステム
IP送信側のIT-5112。8K/4:2:2/60p映像を圧縮し、10GbE 1ポートで実レート約9Gbps伝送
IP受信側のIR-5223。HUB機能を搭載し、映像/音声とは別データを双方向に通信することが可能
人間が身に付けて撮影を行える携帯用小型カメラCJS-P1000やCJS-P2000を使った4G LTE/3G回線を利用の遠隔地の映像をモニタリングシステム
Body Cameraには高画質モデルCJS-P1000と低遅延モデルCJS-P2000の2機種があり、用途によって選択可能
TSマルチプレクサCX-5539-A。DVB-ASIを最大で17系統まで多重し出力できるデジタル放送本線送出設備向けのTSマルチプレクサ。背面はスロット方式で、用途に合わせた構成が可能。最大4系統までのIP入力に対応でDVB-ASIは標準で13系統、最大構成で17系統までの入力に対応しており、DVB-ASIとIPの混在、多重も可能
MMTマルチプレクサCX-5545。4K/8K放送の多重化規格であるMMT(MPEG Media Transport)をリアルタイムで多重化する装置で、SI/EPG送出装置やエンコーダなどの装置から出力されるMMTの多重とMMT-SIの挿入が可能
カメラコーナーではシャープと共同開発のカメラレコーダー8C-B60Aや8K120Hz対応のAB-4815などを出展。スタジオを想定したブース展示となっており、実際に操作できるようになっていた
参考出展の8KカメラUT改善版。シャープのカメラレコーダー8C-B60Aを元にスイッチなどのユーザーインターフェースを改良したもの
8C-B60A専用ビュアーファインダーDF-3516。1920×1080のフルHD解像度の高応答有機ELパネルを採用しており、60i、24sF、50iなど多様な映像フォーマットに対応したマルチフォーマットビューファインダーで、拡大、マーカー、ピーキングなど、カメラの焦点合わせ機能や波形表示機能などを搭載している
ポータブルカメラAB-4815。8K120p/60p映像をリアルタイムにVIDEO出力するカメラシステムで、8KレコーダーHR-7518-Aを利用することで8K120p/60pの映像を収録できるほか、カメラリモコンRB-4816を利用することで遠隔操作が可能
カメラリモートRB-4816。アイリスやゲインの調節のほか、RECスタートや再生、ホワイトバランス、シーンファイルなどカムコーダーのリモートもできる
8K切り出しシステム。高性能CPUと大容量メインメモリーによる高速処理を実現し、サーバーに匹敵する高速・大容量の内蔵ストレージを搭載してほか、グラフィック処理に必要とされるGPUや入出力インターフェースに対応するPCIeスロットを備えた、次世代ワークステーションTAMAZONE WS AW-8800を採用したシステムで、ソフトウェアベースで切り出しを行っている
TAMAZONE WS AW-8800。8K映像編集や映像解析、リアルタイムファイル化処理、データ圧縮/非圧縮処理、機械学習などのアプリケーションに最適なマシーン。CPUは最大56コア対応可能で、メインメモリーは最大768GB、ダブルハイトGPUカードが最大4枚装着可能となっている。また、8K非圧縮映像をリアルタイムでRead/Write可能な内蔵ストレージスピードを実現している
アストロデザインでは、8Kの可能性を世の中にもっと広く知ってもらうため、2018年6月18日より、8K映像制作機材および編集室のレンタルを開始しており、8K制作に必要な機材を必要なときに調達することができる8K機材レンタルを行っている。対象となる機材はカメラやレコーダーなどの他に編集システムなどのほか、コンサルタント業務も行っている
レンタル商品の水中ブリンプは8Kカムコーダー8C-B60Aを収納できるようになっており、すでにNHKなどで使用されているという
撮影機材はカメラの他、画角220°フィッシュアイHAL220PLレンズなども対象となっている
グラスバレーHDWS 8Kによる編集システム。シャープの8Kカメラ8C-B60AやSSDレコーダーHR-7518-Aなどで対応しているSSDパックMM-210から転送し、BOXHB-7517によりHDWS 8Kを使って直接編集が行えるシステム
8KクロスコンバーターSC-8219。2K/4K/8K-DG/8K-422フォーマットに対応したクロスコンバーターで、8K YCbCr 4:2:2、8K Dual Green、4K、HDの各種映像信号をアップコンバート、ダウンコンバートすることが可能
切り出し機能搭載8KクロスコンバーターSC-8219。12G-SDIx4や3G-SDIx16で入力された8Kから4Kや2Kを切り出すシステムをコンセプト展示
8K240pを4時間記録可能なビデオサーバーSR-8428。4時間連続ループ収録と再生を同時に行うことが可能で、リモートコントローラーによる可変スロー操作や再生に対応。8K240p以外にも480p/240p/120p/60pに対応しており、4KとHDのダウンコンバート映像を同時に出力することも可能
ビデオサーバーSR-8428用のリモートコントローラRB-8428。可変スロー操作や再生などの操作を行うことができる
コンセプト展示されていた8Kリニア編集システム。ブラックマジックデザインの8K対応スイッチャーATEM Constellation 8KやATEM 1M/E Advanced Panelなどをシステムに組み込んだシステム
DSKとしてHD-1679を2台使い8Kをサポート。8K60p YCbCr 4:2:2のライン信号に対してスーパー4系統の合成が可能なほか、8K60p YCbCr 4:2:2スーパーを4系統USKすることができる。スーパー入力として12G-SDI Quadを4系統、ライン入出力1系統が可能
8K非圧縮再生装置GP-8001。SSDを最大48台内蔵可能で大容量の8K/60p 4:2:2映像データなどをDPXに変換したり、解析などを行うことが可能
60p対応ビデオサーバーSR-8438。8K60p映像の8時間連続ループ収録と再生が同時に可能。グラスバレーHQX Codecを搭載しており、高画質で長時間の収録を実現している。リモートコントローラーによる可変速スロー再生が可能なほか、収録中のクリップ登録、編集、削除、および複数クリップを組み合わせたプレイリストの作成ができる
コンセプト展示されていた8Kリニア編集システムは、ブラックマジックデザインATEM Constellation 8KやATEM 1M/E Advanced Panelにより構成されており、レンダリングやデータ転送無しで効率的な編集作業が行える
8KリアルタイムMTF測定装置IP-8030。ズームレンズなどの焦点距離を変えながらの測定やMTFが最適となるF値の探索のほか、光学特性とディテール補正・エンハンス補正などの各種プロセスとの総合MTFの測定がリアルタイムに測定可能。また、光軸歪みの検出や画素構造や各種プロセスによる異方向の検出ができる。4KリアルタイムMTF測定装置IP-4030の8K版
アストロデザインでは8Kによる3Dシアターを開設。8Kによる迫力ある3D映像を同社のINSIGHT Laser 8Kプロジェクターにより投写
8Kによる3Dシアターで使用された英Digital Projection社のINSIGHT Laser 8Kプロジェクター。3つのDMD素子を採用することで、25000ルーメンという高輝度を実現。ダイナミックレンジはHDR(HLG)、色域はBT.2020にも対応可能
制作に使用された8K 3D撮影カメラ