今年もクリスマスイルミネーションがあちこちで光り輝く季節になった。その中で、これまであまり見かけることはなかった、3Dホログラムディスプレイを効果的に使ったクリスマスツリーをご紹介したい。
場所は東京丸の内の丸ビルである。丸ビルでは12月25日まで「MARUNOUCHI BRIGHT CHRISTMAS 2021」と題して、1Fロビーのマルキューブでハリーポッターとのコラボレーションによる「Tree of Hogwarts Magic― ホグワーツの魔法の樹 ―」を開催している。
これは今年「ハリー・ポッターと賢者の石」の映画公開20周年を迎え、来年には丸ビル20周年・新丸ビル15周年などの街の節目を迎える丸の内エリアにて、20周年イヤーのフィナーレを飾るイベントの一つである。ハリーポッターの世界観と、魔法ワールドに登場するモチーフが3ホログラムディスプレイによって浮かび上がる、光と音のライティングショーだ。では筆者が撮影した映像をご覧いただきたい。
3Dホログラムディスプレイには3D Phantomを使用している。これはLED光源がライン状に配列されたブレード(回転翼)を高速で回転させ、光の残像によって映像を映し出し、インパクトのある3D映像を肉眼で体験できる3Dホログラムディスプレイで、専用メガネ等は不要である。
こうしたブレードが回転するタイプの3Dホログラムは、その設置方法によって視覚効果が大きく変わるのだが、今回の事例はそれを非常にうまく利用しているのである。
第一に、ディスプレイの向こう側が見えることが重要だ。向こう側が透けて見えること、向こう側に何かしらのリアルなオブジェクトは見えることによって、映像が空中に浮遊しているような効果を最も発揮する。意味のない壁では、浮遊感は感じにくく、であれば通常の2Dディスプレイを使えばいい。
さらにコンテンツもこの浮遊感をより強く感じさせるために、ゆらゆらと揺れるような映像を表示しているので更に効果的だ。ライトショーの合間の時間にキャンドルが表示されるのだが、これが一本一本ゆらゆら動くことで、本当に空間に浮かんでいるように見えるのである。
もうひとつ、3Dホログラムディスプレイはブレードが高速回転しているので、触ってしまうと怪我をする可能性があるため、透明なアクリルパネルなどの保護カバーを付けて使用されることが多い。しかしこのカバーはせっかくの浮遊感を大きく損なってしまうのだ。今回はカバーが何もつけられていない。これは設置環境と、常にスタッフがいるので子供などが触ってしまうことがないように安全についてしっかり配慮されているからだ。
また本稿でも取り上げた新宿の3D猫のように、SNSで広く拡散されることを期待したいわけだが、LED型のディスプレイは普通にスマホで写真や動画を撮影すると、モアレが出てしまったり、画像が欠けてしまったりする場合がある。3D PhantomもLEDが高速回転と点滅を繰り返しているものを残像で見ているので、同様なことが起きる場合がある。
そこで今回の現場とWebでは、撮影の仕方、スマホカメラの設定方法がわかりやすく説明されているのである。どうやら24fpsだとうまくいくようだ。筆者は前述の映像をデジタルカメラでシャッタースピード1/20 24fpsで手持ち撮影している。こういった撮影への配慮は、機材やコンテンツ側で対応しきれない場合などでは必須になってくるだろう。
また、動画には現場で流れている音楽もそのまま収録されている。これをYouTubeにアップロードすると音源の著作権侵害を指摘される。たしかにそのとおりだが、削除が求められるわけではなく、使用はOKだが収益化ができない。SNSでの拡散を考慮すれば正しい判断と言えるだろう。
11月11日から点灯しているこのツリーには、撮影した11月30日時点でも開始30分前から多くの人が集まっている盛況ぶりだ。ハリーポッターという素材のパワーももちろんだが、このディスプレイ演出が非常に魅力的だからに違いない。
ショーが終わったあと、自分のスマホで撮影していた若い女性がその場でいま撮影した動画を確認していたのだが、「うーん、動画じゃ伝わらないねえ」と話していたことがとても印象に残った。そのとおりで、この動画を拡散して、「すごいから絶対実際に見てみて」を付け加えると、現場に足を運びたくなるものだ。
イベントの詳細はこちらである。みなさんもぜひ現場でご覧になることをおすすめする。
魔法を感じる光と音の魔法のライティングショー
「Tree of Hogwarts Magic― ホグワーツの魔法の樹 ―」
2021年11月11日(木)~12月25日(土)
丸ビル1F マルキューブ
17:00~10分毎に実施(※最終回は21:00)