「Eureka Park」もいよいよ商標登録されている!
txt:西村真里子・編集部 | 構成:編集部

「これから」の時代に必要なプロダクトを展示した「Eureka Park」に注目

CES2019初日、年々拡大し、今一番熱いスタートアップエリア「Eureka Park」を訪問した。2012からスタートしたCES内Eureka Parkは年々出展社数が増加している。今年は昨年の800社から1.5倍増となる1,100社の出展となった。Eureka Parkに入るとフランスのスタートアップ「French Tech」群が多数出展していることを目の当たりにするが、フランス以外にもイギリス、イスラエル、オランダ、イタリア、台湾、韓国など国を挙げての出展がここ最近のトレンドとなってきている。

日本は昨年スタートした国を挙げてのスタートアップ支援「J-Startup」のパビリオンで22社のスタートアップが新たな投資や商談の機会を探る。ちなみに、Eureka Parkがスタートした2012年から既に1.5Billion US$(約1,627億円)の投資が出展スタートアップにはあるようだ(CESを訪れる投資家の数も年々増えているのだ)。LVCCの会場も人は多いが、体感的にこのエリアがいちばん人が多いかったのではないだろうか?

大企業だけではなく、スタートアップの活躍も注目されるCES2019で見つけた「これから」の時代に必要なプロダクトを作っているスタートアップをここでは紹介する。

「これから」の自動車ディスプレイコミュニケーション、EV化対策

■Gauzy

自動運転時代には運転を自動車に任せられるので移動時間をエンターテインメント化できる。車窓をディスプレイにして映像を流す際に利用できるのがイスラエルのスタートアップGauzyが提供しているソリューションだ。このソリューションでは普段使いの際には透明の窓だが、映像を流す際にはON/OFFボタンで車窓の透過を下げて映像が映りやすくできる。素材の研究を進めているスタートアップならではの自動運転時代の車窓へのアプローチである。

■GBatteries

カナダのGBatteriesはこれからの電気自動車(EV)時代に向けてよりスピーディーに充電させることを目指し「5分充電」を謳い文句に出展していた。CESメディアカンファレンスに登壇したToyota米国社長はトヨタ車は2025年までに全車両をEV対応すると発表し、これからEV普及が加速する際に急速充電テクノロジーは需要高まるだろう。

■Reviver Auto

自動運転時代には車同士のコミュニケーションも活発になると思うが、車道に出ている全自動車が自動運転になる時代はまだまだ先だ。既存の自動車へのコミュニケーションの可能性を高める一つがカリフォルニアのReviver Autoのソリューションかもしれない。こちらは電子ペーパーを利用したナンバープレートなので、必要なメッセージを外に伝達できる。例えば路上駐車している際に「何時に戻ります」というメッセージを残したり、車線を譲ってくれた車に対しての「ありがとう」というメッセージを残したりできる。既にアメリカや中東では導入が進んでいるそうだ。

「これから」の地球に向けた取り組み

CES初の試みとして「CES Eureka Park Climate Change Innovators Awards」環境問題に取り組む企業への表彰の仕組みも作られた。最新テックを追いかけるだけではなく環境問題についても意識を高めるCESである。

■GoSun

GoSunは太陽発電を活用しながら電気もガスも使わず調理できる調理器具である。太陽光を効率よく利用できる蓄電およびバキュームチューブが特徴で、昼夜問わずに調理が可能だ。現在はキャンプ用を意識しているが、ベランダおよび太陽を浴びる場所で調理をするのが当たり前の時代が来るかもしれない。

■NanoScent

イスラエルのNanoScentはリアルタイムに空気中の揮発性有機化合物(VOCs)を感知してくれる。体に悪い影響を与える空気中の成分を即座に教えてくれるので知らず知らずに病気になるというような事態を避けることができるだろう。ちなみにこのNanoScentは昨年までは人の気配を匂いで理解するという「その人がいた感覚」を知らせるテクノロジーとして出展していた。ピボットしてより地球に優しいアプローチをとり、CES環境アワードを受賞したのである。

■myFC

アワードは受賞してないが「水」を分解してエネルギーを生成する充電器を製造する「myFC」はスマホカバー型のチャージャーを発表していた。スマホを約2回完全充電できる「水」充電器はカセットタイプで2ドル。何回もリユース可能なので地球に優しいエネルギーとしては優秀だ。

1,100社以上のスタートアップを見て回るのはかなりしんどいのだが、未来を予想されるプロダクトに出会うと一気に元気になる。今年もEureka Parkはとても見応えがあった。ラスベガスはあいにくの天気ではあったが。

txt:西村真里子・編集部 | 構成:編集部


Vol.02 [CES2019] Vol.04