異なるソフト間での共有作業を行うために
MediaCentral | UX connector for Adobe Premiere Proによるシステム
ある程度の規模のプロダクションになると、分業作業になるのはもちろんだが、編集に携わる人達も複数になることもよくあることである。例えば、現場収録後ディレクターが現場でNG抜きやOKカットを並べて仮編を行ったり、ニュース取材では現場で取材した映像とともに取材したコメントなどと共にネットで収録素材を配信したり、ファイルベースでの運用になってからテープ(VTR)では不可能だった様々な運用がなされている。
AvidではAAF(Advanced Authoring Format)によって異なる編集ソフト間でプロジェクトファイルをやり取りできる環境を提供しているが、それぞれのソフトでAAFに書き出すという作業が必要になっていた。また、Avid Media ComposerとAdobe Premiere Proは同じ編集ソフトだが、After EffectsやPhotoshopとの連携もありAdobe Premiere Proと併用して使われることも多いようだ。
MediaCentral | UX connector for Adobe Premiere Proは、こうした異なるソフト間の連携をより高度に進めたもので、AAFでの連携とは次元の異なる作業環境が提供されるという。すでにAvidではAAFによりMedia Composerと他社の編集ソフトとファイルの相互利用を可能にしており、共同作業の利便性を図ってきたわけだが、MediaCentral | UX connector for Adobe Premiere ProはMedia ComposerとAdobe Premiere Proの連携をさらに深めたものとなっている。これにより、Adobe Premiere Proを介してAfter EffectsやPhotoshopを利用するなど、分担作業の効率化が可能となる。
MediaCentral | UX connector for Adobe Premiere Proとは
Adobe Premiere ProからMediaCentral | UX connector for Adobe Premiere Proにアクセス
ファイルを共有して共同作業を行うためにはサーバーが必要となるが、Avidでは前回ご紹介したストレージプラットフォームNEXIS | E4があり、今回のデモではアセットマネジメントシステムInterplay | Production 3.6や、チェックイン&トランスコードMedia | Director 1.5、そしてMediaCentral PlatformのクラウドベースWebフロントエンドMediaCentral 2.6がセットになった構成となっている。
Interplay | Productionはサーバーとの中立ちをするアセットマネジメントシステムとなっており、MediaCentralによりAdobe Premiere Proインターフェース内にInterplay | Productionのインターフェースを出すことができるようになっている。なお、Media | Directorは、Media ComposerとAdobe Premiere Proでは読めるフォーマットが異なることがあるためトランスコードの自動化を行うもので、マニュアル操作(自動化しない)の場合は無くてもかまわない。
Media Composerではチェックインウィンドウを開くことで、Interplay | Productionにより共有サーバーNEXISにアクセス可能※画像をクリックすると拡大します Interplay | Productionのインターフェース
※画像をクリックすると拡大します
Media Composerではチェックインウィンドウを開くことで、Interplay | Productionにより共有サーバーNEXISにアクセスでき、各種ファイルにアクセスするこができるようになっている。
Adobe Premiere ProではエクステンションからAvid MediaCentralを選択することで、同様なウィンドが開きMedia Composerと同じ操作を行うことが可能
Adobe Premiere ProではエクステンションからAvid MediaCentralを選択することで、同様のウィンドウが開きMedia Composerと同じ操作を行うことが可能だ。基本的にInterplay | Productionと同じ機能を備えているので、素材のプレビューや検索、メタデータの表示などを行うことができる。
Media Composerと同様にInterplay | Productionによる各種操作を行うことができる
プロジェクトをAAFに書き出す作業が必要ないため、スムーズな作業が可能。ただしプラグインを使用した場合やエフェクトおよびトランジションなどはAAF変換と同様の制限がある。こうした相互のソフトでの互換性の問題はこれだけではなく、サポートしているファイルフォーマットにもあるわけで、AAF変換ではリンクしている素材ファイルは手作業で1つ1つ変換する必要があるが、MediaCentral | UX connector for Adobe Premiere ProやMedia | Directorにより、こうした面倒な作業も一括して自動変換してくれる。
コンバートするかそのままかを選択
チェックイン&トランスコードMedia | Directorにより変換の状況をチェックできる※画像をクリックすると拡大します
一度だけMediaCentralに登録作業を行う必要がある
また、MediaCentralのメッセージツールにより、コメントのやり取りもMedia Composer同士と同様にAdobe Premiere Proでもできるようになっているので、ファイルの更新情報や注意点、各種指示などのやり取りを相互に行うことができる。Media ComposerとAdobe Premiere Proは異なるプラットフォームにかかわらず、そうした違いを意識しない運用を可能にしている。
写真はAvid Media Composer※画像をクリックすると拡大します
コメントのやり取りもMedia Composer同士と同様にAdobe Premiere Proでもできる(写真はAdobe Premiere Pro)
たとえば、Media ComposerのMXFはOP-Atomが標準となっており、それを連携のためMXF1aに変換するような場合でもMedia | Directorが自動的に行ってくれる。変換はバックグラウンドで行われ、変換処理中でも編集作業を行うことができる。
高速なネット回線が一般的になり、必ずしも作業にかかわるスタッフが一か所に集まる必要性はなくなりつつある。特に映画やドラマなどでは作品の内容に応じて必要な人材を必要な期間だけ集めて作業を行うスタイルも出てきている。作業の内容やスタッフ(クリエイター)によってさまざまなツールを使うことになるわけで、効率的なワークフローが必要になってくる。協業を行う際のファイルのやり取りにかかる時間はかかわる人数が多くなるほどロスタイムも増えるわけで、こうした実際の作用以外の部分でいかに省力化を図るかが課題といえよう。
Avidはこうしたプラットホームの核となるサーバーや関連するソフトウェア、Media ComposerやPro Toolsなどをそろえているが、MediaCentral | UX connector for Adobe Premiere Proは、異なるメーカー間でプロジェクトファイルを効率的に共有できる画期的な製品といえるだろう。