デジタルサイネージアワード2021
デジタルサイネージアワード2021のエントリーが開始された。2021年度は特設部門として、未来を先取りしていたデジタルサイネージ事例をあらためて表彰する「未来先取り部門」が設置された。
デジタルサイネージアワードは、業界団体である(一社)デジタルサイネージコンソーシアムが主催するもの。2009年のプレアワードを開始し、2010年から公式に開催され、今年で12回目の開催となる。デジタルサイネージ領域では日本で唯一かつ最大規模である。
これまでに受賞作品の中から象徴的なものをご紹介すると、渋谷デジタル花火大会(2014年)は、ハチ公前のQFRONTの大型ビジョンに自分のスマホから花火を打ち上げるもの。特にスマホ側の指で花火を打ち上げるようなUXが楽しい事例だ。
UV_PRICE/PANTENE(2015年)は、真夏の海の家というロケーションでリアルタイムで紫外線を測定し、紫外線量と連動して商品価格を変化させながら販売を行った事例だ。ロケーションならではの状況をセンサーを使ってダイナミックに表示させ、さらにダイナミックプライシングまでも実現させている。
技術やシステムに関連した受賞例では、交通広告デジタルサイネージ入稿データ共有プラットフォームTADSS(2019年)が重要だ。これはテレビCMとは異なり、デジタルサイネージ媒体ごとに微妙に異なるCM素材の入稿フォーマット(主に動画ファイルの形式)を、最適化して自動変換するサービスである。
このようにデジタルサイネージアワードは、エンタメ性やロケーション特性や最新技術の有効活用など、さまざまな視点や切り口から審査が行われる。デジタルサイネージはロケーション、ハードウエアやシステム、クリエイティビティなどの総合力を必要とするので、いろいろな尺度から審査と評価が行われるのである。
さて、2021年度については以下の部門、カテゴリーから選択してエントリーする。エントリーフィーなどは必要ない。
エントリー部門
- オフィス
- DOOH
- エンターテインメント
- 広告/クリエイティブ
- UX/インタラクティブ
- ホスピタリティ/ソーシャル
- イベント
- 飲食/リテール
- 交通
- 屋外大型ビジョン
- 特設部門 未来先取り(ハードウエア・システム/コンテンツ)
これらの部門は、便宜上選択をするもので、あくまでも参考程度の分類である。部門をよく見ていただくと、ロケーションによる分類軸、利用目的によるもの、技術、UXの違いなど、分類軸は複数ある。ひとつの比較軸にはあえてしていない。
つまり、例えば飲食店内のCO2濃度をセンサーで計測してダイナミックに表示が変化し、その映像クリエイティビティーが非常に斬新、ということが当然あり得るからである。受賞は原則的には部門単位で行うことにはなるが、その事例が複数分野にまたがった場合は主なものでカテゴライズをするか、場合によっては複数部門を同時に受賞することも十分あり得る。
今年特設されたのが「未来先取り部門」である。これは2017年1月以降に公開され、応募の機会を逃していた作品や、あるジャンルでトピックスやベンチマークとなった作品を改めて選出・表彰する部門である。未来先取り部門は、下記の条件を満たしていれば応募可能となっている。ただし2009年~2020年のデジタルサイネージアワードに応募した作品は応募できないので注意が必要だ。
- 「特設」未来先取りハードウエア・システム部門
2017年1月以降に発表されたデジタルサイネージハードウエア・システムで、応募時点で継続稼働中のもの - 「特設」未来先取りコンテンツ部門
2017年1月以降に発表されたデジタルサイネージコンテンツ。表示実績があれば現在放映されていなくても構わない
未来先取り部門が新設されたのには理由がある。デジタルサイネージアワードの12年間の歴史の中で、デジタルサイネージそのものやそれを取り巻く環境は大きく変化をしている。特にコロナ以降はそれが顕著であり、今後はさらなる変化が予想される。こういった視点から、ちょっと早すぎた事例や、今だからこそ再評価される事例、参考になる事例にスポットライトを当てるためだ。いわゆるデジタルサイネージ温故知新と言ってもよい。
エントリーの締め切りは5月26日(水)だ。詳しくはこちらのオフィシャルページをご覧いただきたい。過去の受賞作品もこのリンクから見ることができるので、新しい企画の参考にするのも良いと思う。