映像制作の現場では、モニターの性能が作業効率と判断の精度を大きく左右する。今回、テレビ朝日映像株式会社で撮影技術を担当する清原光彰氏と、YouTubeチャンネルの企画・運営を通じて映像制作に携わる森岡佑介氏が、LGの5K2Kウルトラワイドモニター「UltraFine™ Display 40U990A-W」を試用した。
両氏には、同社のYouTubeチャンネル「テレビ朝日映像撮影部」向けのレビュー動画制作もあわせて行ってもらっている。まずは、そのレビューの一部を以下の動画から確認してほしい。本記事では、この体験を踏まえて、現場で感じたポイントをさらに掘り下げていく。

テレビ朝日映像撮影部 LG UltraFine™ Display 「40U990A-W」レビュー動画
LG UltraFine™ Display 「40U990A-W」 製品概要

LG「UltraFine™ Display 40U990A-W」は、5K2K(5,120×2,160)の解像度と湾曲40インチパネルを組み合わせたウルトラワイドモニターである。広い作業領域と高い色再現性を重視したシリーズの最新モデルで、映像制作から日常の編集作業まで幅広い用途に対応する。
接続面ではThunderbolt™ 5に対応し、映像出力・データ転送・給電を1本のケーブルでまとめられる設計となっている。ワークスペースの効率化やケーブル類の簡素化に寄与し、小規模編集やロケ現場でも扱いやすい。
仕様や表示特性の詳細な検証については、以下のレビュー記事でも紹介している。より深い情報を知りたい場合は参照してほしい。
技術の現場から見た「安定と共有」

中継や大型ロケなどの技術セクションを統括する清原氏は、まず"チームで映像を見る"現場特有の視点から話を始めた。
「撮影現場ではカメラマンや音声、スイッチャーなど複数のスタッフが同時に映像を確認します。モニターによっては端に立つ人が見づらかったり、角度で色が変わって見えることもあります。UltraFine™ Displayのように広視野角だと、どこから見てもほぼ同じ映像。みんなで同じ画を共有できる安心感がありますね」
40インチというサイズも、技術系スタッフの目線では魅力的だ。「モニターが大きいと単純に見やすいだけでなく、周囲と距離をとっても視認性が落ちない。湾曲形状のおかげで端の映像にも自然に視線が届くのが印象的でした。マルチビュー的な用途にも相性がいいと思います」
さらに筐体の安定性や操作性にも触れる。「スタンドの剛性がしっかりしていて、少し触っても揺れない。高さやチルト調整もしやすいし、現場でも扱いやすい設計です」
制作の現場から見た「作業効率と接続性」

一方、YouTube番組や企業映像などを多く手がける森岡氏は、制作側の立場からモニターの印象を語る。
「ノートPCだけで編集やプレビューをしていると、作業スペースがどうしても狭くなってしまう。5K2Kの横長画面だと、Premiere Proのタイムライン、エフェクト、ブラウザを同時に開けるので効率がいい。特に素材確認や台本を見ながらの編集など、複数の情報を一画面に並べて進められるのが快適でした」
森岡氏がもうひとつ注目したのが、最新規格Thunderbolt™ 5による接続性だ。「USB-C一本で映像出力も給電もできるのは、現場的にすごく助かります。HDMI変換や電源ケーブルの取り回しを考えなくていいし、ディレクターが自分のPCをそのまま持ち込んでもすぐ映せる。機材の持ち込みが多い制作現場には合っていると思います」
近年、映像制作ではノートPCと外付けSSD、オーディオインターフェースなどを組み合わせた小規模編集環境が一般化している。森岡氏は「ケーブルの数が減ることはトラブル防止につながる。配信や中継のように時間が限られた現場では特に助かる」と語る。Thunderbolt™ 5対応によって、これまで別機材やハブに頼っていた接続をモニター側で完結できるようになった点は、現場の合理化を象徴している。
"黒の締まり"とHDRの表現力
テレビ朝日映像撮影部によるレビュー動画(8:09〜)
※表示性能について解説されているので、あわせて確認してほしい。
UltraFine™ Displayは、Nano IPS Blackパネルを採用し、DCI-P3 98%、HDR600に対応する。清原氏は映像を確認した際の第一印象をこう語る。
「黒の締まりがすごくきれいでした。影の部分が潰れず、空の青も自然で、全体のコントラストがしっかりしている。初見で"映像が立体的に見えるなと感じました」
加えて「20万円台の価格でこれだけの画質が出るなら十分」と評価。「100万円を超える放送用マスターモニターとは目的が違いますが、オフライン編集やプレビューにはちょうどいいクオリティ。画作りの最終判断をサポートしてくれるモニターだと思います」と話す。
森岡氏も、制作の立場から「見え方の安定感」に信頼を寄せる。「ディレクターとして自分で色を追い込むことは少ないですが、案件によっては色に強いこだわりを持つ方も多い。そうした現場でも、このモニターなら"見え方に不安がない"と感じました。広い作業領域と正確な色の出方が両立しているのは大きいですね」と述べた。
まとめ
今回のレビューは、実際に制作現場で使用する前段階として、「プロの目線で製品の可能性を探る」ことを目的に実施された。中継・撮影・編集といった立場の異なる2人が共通して語ったのは、「現場で使えるかどうかは、スペック以上に"安心して触れるかどうか"」という点だ。
UltraFine™ Displayは、広い作業領域や高い表示性能に加え、Thunderbolt™ 5による接続のシンプルさ、そして扱いやすい設計が印象的だった。放送や配信のプロが日常的に使うには、まだ改良の余地もある。しかし、清原氏が言う「これなら現場で試してみたい」、森岡氏の「作業効率が上がるイメージが湧いた」というコメントが示すように、確かな手応えを残したことは間違いない。
高価なリファレンス機ではなく、日々の制作を支える"実戦的なモニター"として、「UltraFine™ Display 40U990A-W」が担える役割は大きい。プロの目線からの検証を通して、そのポテンシャルが垣間見えた。