txt:西村真里子・編集部 構成:編集部

2019年のテックトレンドを追うCES2019開催前に

CES2019がいよいよ始まる。今年は2019年1月8日から1月11日(現地北米)までの4日間で世界150カ国以上から約18万人が集まり、4,500社程の企業の出展やセッションをもとに2019年以降の家電を中心としたテックトレンドを占う。

今回も各分野で活躍中の方々を招聘し、多元的に多様性を持ってCESに臨んだ。PRONEWS編集部でもそんな混沌さを伝えるべく、多様なアプローチ視点でCESを語ってみたい。

PRONEWS編集部

開催に先立ち毎年メディア向けには「テックトレンド」「Unveiled(CESイノベーションアワード受賞企業の展示)」が展開される。当記事ではメディア向けに発表、紹介されたものから注目の内容を紹介する。

「コネクテッド時代」から「データ時代へ」

CESの主催であるCTA(Consumer Technology Association)のマーケットリサーチ部門のトップであるスティーブ・コーイング氏らがテックトレンドセッションで紹介したCES2019のトレンドとしてあげていた技術は主に以下8つ。

  1. 5G
  2. スマートホーム(コネクテッド&インテリジェンス)
  3. 人工知能、IoTはInternet of Things からthe Intelligent of Thingsへ
  4. テレビ(8K、QLED、字幕)
  5. VR/AR
  6. 自動運転
  7. デジタルヘルス
  8. レジリエントテクノロジー

アメリカでは5Gが昨年末より試験的にスタートし、今年サービス利用が本格化するので、冒頭で5Gに触れられるのは納得が行く。また、CESでIoTを語られるようになって久しいが、この数年の間にAmazon Alexa、Google Assistantなどの人工知能を活用したプロダクトなども増えInternet of Thingsはthe Intelligence of Things(より賢いモノとコトのつながり)へと進化しているとの紹介も面白い。

ここで聞き慣れない言葉と言えば最後の「レジリエントテクノロジー(Resilient Technology)」だろう。レジリエントとは回復という意味で、自然災害や人的災害からのダメージからしなやかに復旧するためのテクノロジーを称してレジリエントテクノロジーと称していたが、自然災害や人的災害(テロなど)から早急に回復できる都市、太陽光を活用した調理器具などのサステナブルなプロダクトなどを指す。

企業も国連のSDGsを意識した活動が増えるなか、CESの中でもレジリエントやサステナブルという言葉が強調されるのも自然な流れだろう。

ここからはCESのテックトレンドセッションを聞いた上での筆者の注目ポイントをUnveiledで紹介されたプロダクトとともに紹介していく。

5G

年始にソフトバンク宮内氏も「2019年は5G元年」という表現をしていたように、今年は5Gに関するニュースを多く耳にすることになるだろう。アメリカではすでに昨年からVerizonやAT&Tが5G商用サービスを数十拠点で開始している。また、5Gを巡っては米国と中国の対立も気になるところでもある。CESのセッションではすでに次世代通信規格6Gについても語られる予定なのも面白い(「6G and the Quantum Internet」)。

カリフォルニアのD-Linkは5Gゲートウェイを紹介しており、いよいよ一般家庭での5G利用が行われる実感が湧いてくる。

音声認識

昨年のCES2018の印象は「Googleに染まったラスベガス」で、CES2018およびラスベガスの街中Google Assistantの看板、Googleのポップアップテント、スタッフがいたるところで目についた。音声認識Amazon Alexaに追いつけ追い越せを目指したプロモーションだったのだが、今年もラスベガスのモノレールには「Hey Google」の文字が目に着く。

さて、一方のAmazon Alexaはすでに20,000個以上の互換性あるプロダクトがリリースされ、機能も6,000以上存在していると発表されていた。中国の自動運転車メーカーであるBYTONのメディアカンファレンスでもAmazon Alexaを搭載した車内システムを紹介していた。CESでは今年も音声認識分野におけるAmazon VS Google対立構造を多くの場所で意識することになりそうである。

BYTONのプレスカンファレンスでAmazon Alexaとのパートナーを発表した。

テレビの進化にも人工知能

2018年12月にNHKが8K放送をスタートさせたが、家電を中心としたテクノロジートレードショーであるCESでも8Kはもちろん注目されている。Samsungは8K QLEDを発表予定だ。

CES主催CTA調べだと8Kテレビの出荷は増加傾向になり、スクリーンサイズも拡大方向にあるようである。8Kは65インチもしくはそれ以上が視聴に最適なサイズになるようで、より大きな画面を求める人達がアメリカ市場では増えていくとの予測である。

家庭内のあらゆるプロダクトに人工知能機能が付き始めるこれから、IoTはInternet of Thingsからthe Intelligence of Things(より賢いモノとコトのつながり)となる時代には、テレビもインテリジェンスになる。IBM Watsonを組み合わせるとブロードキャストされているテレビ映像にも、ローカルな情報を掲載させることができるようになるそうだ。

「デジタルアシスタント」の存在を意識する

今年も会場には、Hey,Googleの広告が目立つ。会期前日の会場から

Amazon Alexa、Google Assistant、IBM Watsonなどはインテリジェンスな「デジタルアシスタント」である。しかも拡張可能だ。テレビの字幕、車内でのコントロールなどの例を上記では紹介したが、生活の困り毎がある際に「デジタルアシスタントがいたらどのように解決してくれるだろう?」という視点で考えると新しいサービスのアイデアが生まれるかもしれない。

優秀なデジタルアシスタントがいればこの原稿を書くのを手伝ってもらいたいと考えるが、読者の皆様はどのようなデジタルアシスタントを必要とするのだろうか?ヒントとなる「インテリジェンスなデジタルアシスト」事例をCES本番期間中もたくさん発見しお届けしたいと考える。

txt:西村真里子・編集部 構成:編集部


[CES2019] Vol.02